顔や身体など、皮膚にできるブツブツは、皮膚に何らかのトラブルが起きているサインです。一口にブツブツといってもさまざまなタイプがあり、それぞれに合った対処が必要です。今記事では、皮膚にできるブツブツの種類や疾患、対処法を解説します。
皮膚にできるブツブツの種類
皮膚にできるブツブツの多くは、皮膚炎の症状として現れます。例えば、いわゆるかぶれやあせもなどによる湿疹では、皮膚に炎症反応が起こり、赤み、ブツブツなどの症状が見られます。このような皮膚炎に伴う湿疹として現れるブツブツを医学的には「丘疹(きゅうしん)」といいます。湿疹は治るまでに「湿疹三角」と呼ばれる経路をたどります。
最初に、皮膚の赤み(紅斑:こうはん)から始まり、その次のステップとして丘疹になります。丘疹は皮膚面から5㎜以下の幅で、丸く半球型に盛り上がった状態のことを指し、かゆみや痛みを伴うものや痛みのないものなど、さまざまなタイプがあります。
ブツブツは、皮膚炎の症状として現れる以外にも、皮膚のターンオーバーの乱れ、皮脂分泌のバランスの乱れ、発汗に伴う皮膚トラブル、虫刺され、あるいは手足口病などのウイルス感染症の症状の一つとして現れることがあります。
ブツブツができる可能性がある疾患
ブツブツは全身どこにでもできることがあります。ブツブツができた時に考えられる疾患としては以下のようなものがあります。
乾燥湿疹・皮脂欠乏性湿疹
乾燥肌に炎症が加わり、強いかゆみを伴った湿疹が現れます。入浴時の洗いすぎやこすりすぎ、外気の乾燥などによって、表皮の潤いが失われ、皮膚のバリア機能が低下します。その結果、刺激に敏感になり掻くことで炎症が起こったり、場合によってはアレルゲンが入りやすくなり、アレルギー反応を起こし湿疹となります。
接触皮膚炎
特定の物質に皮膚が触れることで、赤みやブツブツ、水ぶくれができ、強いかゆみと痛みが現れます。「かぶれ」とも呼ばれます。化学物質による刺激 、おむつや衣類の摩擦などが原因で起きる「刺激性接触皮膚炎」、アレルギー反応によって起きる「アレルギー性接触皮膚炎」があります。
あせも(汗疹)
汗に含まれるミネラル、老廃物が汗の通り道をふさぐことで皮膚の内部に汗がたまり、皮膚に小さな水ぶくれやブツブツが現れます。行き場を失った汗が、皮膚組織を刺激して炎症を起こし、赤み、強いかゆみが出ることもあります。高温多湿で汗をかきやすい季節に発症しやすく、赤ちゃんや子どもだけでなく、大人や高齢者にも生じます。
ニキビ(尋常性ざ瘡)
ニキビは「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」という皮膚疾患の俗称です。皮脂の分泌過多や毛穴の詰まりによって、毛穴に皮脂が溜まります。その中で「アクネ菌」が増殖して炎症を起こし、ブツブツができます。最初は白っぽいブツブツが見られますが、炎症がひどくなると芯のある赤いブツブツ、膿の溜まったブツブツになります。
日光過敏症(光線過敏症)
特定のアレルギーや体質、薬剤の影響などの背景を持つ人が、日光を浴びることによって皮膚に炎症が見られます。症状は多彩で赤み、かゆみ、蕁麻疹のような皮疹やブツブツが出る場合もあります。
アトピー性皮膚炎
皮膚は乾燥していて、赤いブツブツができ、掻き壊すと患部がジュクジュクしてかさぶたができたり、皮膚の表面がゴワゴワと分厚くなったりします。顔、耳、首、わきの下、ひじ、ひざなどの部位に、左右対称に出やすいのが特徴です。
毛嚢炎(毛包炎)
細菌感染症の一つです。皮膚にできた傷を介して、毛穴にある毛根を包む部分に細菌が入り込んで炎症が起きます。毛の生えている場所に一致して、赤みのあるブツブツやはれ、盛り上がりができます。
虫刺され(虫刺症)
吸血性の蚊やブヨ、ダニ、ノミ、身体に毒を持ったハチ、毛虫、ムカデ、クモなどに刺されることで皮膚に炎症が起きます。痛みやかゆみ、赤み、はれ、ブツブツ、水ぶくれといった症状が現れます。
毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)
皮膚の毛穴に一致した粟粒大のブツブツ「皮疹(ひしん)」が多くできる皮膚の疾患です。「毛孔性角化症(もうこうせいかくかしょう)」とも呼ばれます。患部に触ると、サメ肌やおろし金のようにザラザラしており、乾燥しているのが特徴です。
乳児湿疹
乳児期の赤ちゃんに見られる湿疹の総称です。食べ物や繊維刺激に触れやすい口のまわり、顎のまわりを中心とした顔面や、皮脂の分泌が盛んな頭部、蒸れて汗がたまりやすい首のまわり、手首、足首などにブツブツができます。
おむつかぶれ(おむつ皮膚炎)
おむつがあたる部分に炎症が起こる皮膚炎のことです。赤ちゃんが長時間おむつを着用することで、おむつの中が蒸れる、皮膚が尿・便に触れることが刺激となって炎症が起こります。ヒリヒリ感やかゆみを伴う赤み、ブツブツ・ただれといった症状が現れます。
手足口病
コクサッキーA群ウイルスやエンテロウイルスによるウイルス感染症で、38℃程度の発熱のあと、手や足、口の中を中心にかゆみのないブツブツができます。1~5才頃の子どもを中心に夏期に流行します。
突発性発疹
新生児~1才半の赤ちゃんに多い疾患です。ヒトヘルペスウイルス6型および7型によるウイルス感染症で、38度以上の高熱が3~5日続き、解熱したあと、全身に赤いブツブツが広がります。
皮膚にブツブツができた時の対処法
皮膚のブツブツにはさまざまな原因があり、それぞれの対処法、治療法は異なります。ブツブツができたら、触らない、潰さないようにしましょう。
炎症によるブツブツ
皮膚の炎症に伴って、赤みのあるブツブツが出ている場合は症状の元である炎症をおさえる治療が必要です。かぶれや虫刺され、あせもなどによるブツブツが該当します。症状が軽度のものに対しては、市販のステロイド外用剤を塗って、セルフケアをしましょう。
ニキビ(尋常性ざ瘡)
ニキビに対しては、市販のニキビ治療薬を使用して治療します。ただし、市販のOTC医薬品を使用しても、症状が改善しない、悪化している場合は使用を中止し、医師に相談しましょう。
日光過敏症(光線過敏症)
発症の背景にアレルギー体質が関連していたり、使用中の薬剤による影響が関連していたりすることもあります。強い日差しを避けることが大切ですが、それでも症状が改善しない場合や同じような症状を繰り返す場合は皮膚科を受診し、医師の診断と治療を受けましょう。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎に対する適切な治療を受け、症状をコントロールすることが大切です。専門医を受診し、相談しましょう。
毛嚢炎(毛包炎)
軽度の毛嚢炎の場合は、皮膚を清潔に保つようにすることでたいてい自然に軽快します。赤みや痛みなどの症状が気になる時は、患部に細菌感染が起きているため、細菌の増殖をおさえる抗菌剤による治療が必要です。抗菌剤入りの市販の塗り薬でセルフケアするとよいでしょう。症状がひどい場合や広範囲にわたる場合は、医療機関を受診しましょう。
虫刺され(虫刺症)
蚊やブヨ、毛虫、ダニなどあらゆる虫刺されにはステロイド外用剤による治療が必要です。
毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)
症状は思春期頃にピークを迎えますが、中年以降には自然に治ることがほとんどです。そのため、基本的に特別な治療は必要ありません。しかし、症状が気になる場合は医師に相談しましょう。
乳児湿疹
乳児湿疹は、生後2週から12週くらいまでに現れる一過的な湿疹 のため、皮膚を清潔に保っていれば、たいてい成長とともに自然に治ります。ただし赤みやかゆみが強い時や、生後3カ月以降も症状が続く場合は医師に相談しましょう。
おむつかぶれ(おむつ皮膚炎)
おしりを拭いた時や入浴時に赤ちゃんが泣く、赤み・湿疹などの炎症が広がっている、患部にただれや水ぶくれができているといった場合は、小児科や皮膚科を受診しましょう。
手足口病
手足口病は特効薬が存在しないため、経過観察を行い、自然治癒を促します。手足口病が疑われる時は医療機関を受診し、医師の診断と治療を受けましょう。
突発性発疹
突発性発疹はウイルス感染症のため治療薬はありません。積極的な治療は行わず、自然に治るのを待ちます。ただし、ほかの疾患との区別がつきにくいので、症状に気づいたら小児科や皮膚科で医師に相談しましょう。
その他、原因がはっきりしないブツブツができた時、症状が続いている時、我慢できないほどのかゆみや痛みがある時は、皮膚科を受診し、医師に相談しましょう。また、全身に蕁麻疹のような症状が出ている時やブツブツ以外に風邪のような症状が場合は、内科または皮膚科を受診し、診断と治療を受けましょう。
監修
天下茶屋あみ皮フ科クリニック 院長
山田貴博 先生
2010年名古屋市立大学医学部卒。NTT西日本大阪病院(現・第二大阪警察病院)にて初期臨床研修後、大阪大学大学院医学系研究科 神経細胞生物学講座助教として基礎医学研究に従事。阪南中央病院皮膚科勤務を経て、2017年天下茶屋あみ皮フ科クリニック開院。