『接触皮膚炎(かぶれ)』の原因・症状・治療法【症例画像】

接触皮膚炎(かぶれ)とは

接触皮膚炎(接触性皮膚炎とも呼ばれます)とは、皮膚に何らかの物質が触れ、それが刺激やアレルギー反応となって炎症を起こしたものです。「かぶれ」とも呼ばれ、湿疹や赤み、かゆみ、水ぶくれや腫れなどさまざまな症状を伴います。基本的には原因物質が触れた部分に症状が現れます。

原因

接触皮膚炎は、皮膚に触れる物質の刺激が強いために生じる「刺激性接触皮膚炎」、皮膚に触れる物質にアレルギーがある場合に生じる「アレルギー性皮膚炎」、紫外線が関わる「光接触皮膚炎」に大別され、炎症が起こる原因はそれぞれ異なります。

刺激性接触皮膚炎

私たちの皮膚には様々な刺激から守るバリア機能が備わっていますが、この機能の許容範囲を超えた強い刺激に触れてしまったときに起こる炎症を「刺激性接触皮膚炎」といいます。これは原因物質自体がもつ刺激によって起こるため、アレルギーに関係なく誰にでも起こる可能性のある疾患です。

原因物質に触れたあと数分程度で症状が出ることが多いですが、原因物質の濃度が低いと、原因物質に何度も触れることで徐々に症状が現れる場合もあり、人により様々です。

アレルギー性接触皮膚炎

肌に触れた原因物質に対して体の免疫システムが働き、”これは体にとって有害な物質だ”と認識してしまった時に起こる炎症を「アレルギー性接触皮膚炎」と呼びます。そのため刺激性皮膚炎のように誰にでも起こることはなく、原因となる物質にアレルギーのある人のみ現れる疾患です。

アレルゲンの種類や濃度、量によりますが、アレルギーが成立するのには2週間ほどかかりますが、なかには半年ほどしてからアレルギーが成立することがあります。アレルギーが成立するまでは皮膚症状は見られませんが、いったんアレルギーが成立すると、数時間〜1日程度でアレルギー反応を引き起こすことが多いです。但し稀に3〜7日程度過ぎてから症状がでることもあります。

植物による接触皮膚炎

イヤリングによる接触皮膚炎


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光接触皮膚炎

光接触皮膚炎は肌に触れただけでは症状が起こることはないのですが、その部分に光や紫外線が当たるとかぶれや炎症が起こる皮膚炎を指します。光が当たった部分のみに症状が発現するため”光アレルギー”と呼ばれることもあります。皮膚が赤くなるだけでなく、発疹やかゆみ、水ぶくれなどひどい火傷のような症状が出ることがあります。

原因となる物質

原因となる物質は多岐にわたりますが、なかでも頻度の高いとされるものを以下にご紹介します。短期的な場合は、野菜や果物などの食物や日用品、植物などが原因となることが多いですが、慢性的な場合、原因を推測することは非常に難しくなります。

原因となる物質例
植物 イラクサ、ウルシ、ヤマハゼ、ブタクサ、ドクダミ、イチョウなど
野菜 二十日大根、里芋、しそ、セロリ、アスパラガスなど
果実 桃、パイナップル、パパイヤ、マンゴー、柑橘類など
香辛料 唐辛子、生姜、コショウ、バニラなど
日用品 ゴム製品、洗剤、下着、手袋、靴下、シャンプーなど
金属 ニッケル、マンガン、コバルト、クロムなど
化粧品 口紅、アイシャドウ、ファンデーション、毛染め、マニキュアなど
医薬品 湿布、目薬、抗生物質、痛み止めなど

化粧品は化粧品を使用した部位だけに皮膚炎を生じ、気づかないで使用していると色素沈着を起こすこともあります。

また金属はアクセサリーや時計などで普段身に付ける物によることが多いですが、ベルトなどの革製品やスカーフなどの染料にも金属が使われています。また金属カブレは金属が汗と反応することによって生ずることが多いので、汗をかく夏季に多く見られます。

なお医薬品は病気を治す目的で使用されるため、多くの人には治療効果があり、かぶれの症状を起こすことは稀です。しかし体にとっては異物であるため、その薬が原因でかぶれを起こす場合もあります。

症状

接触皮膚炎は刺激物やアレルギーの原因物質に触れた部位にかゆみや、ヒリヒリとした痛み、赤みや腫れが生じます。時にはブツブツした湿疹や水ぶくれだけでなく、皮が剥けたり、肌がガサガサになる場合もあります。ただし手のひらは皮が厚いので、原因物質に触れても症状は出にくく、原因物質を触った手で、体の柔らかいところに触れると、その場所に症状が出てきます。

特に刺激性接触皮膚炎の場合はかゆみより痛みを強く感じることもあります。軽度であれば赤みや小さな水ぶくれ、または角質が剥がれ落ちるだけの場合もありますが、炎症がひどいと火傷のような大きな水ぶくれが起こり、激しい痛みを伴うことがあります。

またアレルギー性接触皮膚炎は原因物質に触れた部分が、かゆみを伴って赤く腫れることがあります。悪化すると症状の範囲が広がり、周りの肌にまで影響を及ぼす場合があります。厄介なことにアレルギー性接触皮膚炎は物質に触れてすぐに起こるとは限りませんが、通常24時間以内に生ずる事が多いです。刺激性も接触性も治ったあとも色素沈着が残ることがあるため、放置せず早期から治療を行うようにしましょう。

治療・予防法

治療

まずはかぶれの原因物質を特定し、それを取り除くことが必要です。もし原因となるような刺激物質に触れた場合は石鹸でよく洗い流してください。かゆみがひどくてもできるだけ掻いたり触ったりしないよう気をつけましょう。

治療法としては刺激性・アレルギー性にかかわらず、炎症やかゆみを抑えるためステロイド外用薬などを使用します。また炎症の範囲が狭い場合は冷やしたガーゼを当てると症状を和らげることができます。

なお症状が軽い場合は数日で完治することもありますが、症状が改善しない場合や長期間続く場合はお近くの病院や薬局で相談してください。

予防法

1.原因物質に触れない

何よりもまず、原因物質を特定し触れないことが最も重要です。原因がはっきりしない場合でも、かぶれの可能性があるものはできるだけ避けるようにしましょう。継続的に触れるリスクがある場合は、手袋や衣類を身に付けると肌を守ることができます。

2.肌を清潔に保つ

肌に付着した物が炎症を悪化させることがあるため、常に肌を清潔に保つようにしましょう。汗をかいたときなどはこまめに拭き取るか、シャワーやお風呂で洗い流すと良いでしょう。また洗ったあとは乾燥しないよう保湿を行うとより肌荒れ防止につながります。

3.掻かないようにする

かゆみがあった時に掻いてしまうことでさらに悪化し、かゆみが広がって悪循環となります。また掻いたことでできた傷から菌が入ると、化膿してしまうことも考えられるためできるだけ触らないようにしましょう。

4.肌にあったものを使用する

衣服やアクセサリー、化粧品や洗剤など日常的に使用するものは素材や成分に注意し、自分にあった物を選びましょう。アクセサリーに含まれる金属は汗と反応し、炎症を起こすこともあるため注意するようにしてください。

 

監修

帝京大学医学部皮膚科 名誉教授

渡辺晋一先生

1952年生まれ、山梨県出身。アトピー性皮膚炎治療・皮膚真菌症研究のスペシャリスト。その他湿疹・皮膚炎群や感染症、膠原病、良性・悪性腫瘍などにも詳しい。東京大学医学部卒業後、同大皮膚科医局長などを務め、85年より米国ハーバード大マサチューセッツ総合病院皮膚科へ留学。98年、帝京大学医学部皮膚科主任教授。2017年、帝京大学名誉教授。帝京大学医真菌研究センター特任教授。2019年、『学会では教えてくれない アトピー性皮膚炎の正しい治療法(日本医事新報社)』、2022年『間違いだらけのアトピー性皮膚炎診療(文光社)』を執筆。

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