食事療法をもっと楽しく
「出るかも」と思ってトイレに行ったけど、コロコロした便が少しだけ……。
過敏性腸症候群(IBS)の便秘は、一般的な便秘とは様子が異なります。多くみられる便秘は大腸の動きが弱いのが原因。便が大腸内に長時間停滞し、水分が吸収されすぎて硬くなって出にくくなります。過敏性腸症候群(IBS)の便秘は、一般的なものとは逆に腸が動きすぎて起こります。腸が過剰運動で狭く細くなって便が通りづらくなり、細切れに。腸に停滞する時間が長くなるので、水分が吸収されてコロコロの形状になります。
どちらの便秘も不足しているのは水分です。きちんと水分摂取を行うと便が硬くなりにくくなり、便秘解消効果が期待できます。
ただし、水分=飲み物ではないのでご注意を! カフェインを含む飲料やアルコール飲料は、利尿作用などで排出される水分が多くなります。そのため、たくさん摂取してもあまり意味がありません。選ぶなら、水や麦茶などのノンカフェイン飲料を。冷たいものをガブガブ飲むと腸が刺激されるので、常温のものをこまめに摂取するのがおすすめです。
便秘の解消に水分摂取はとても重要です。しかし、水分をきちんと摂っていれば便秘が解消されるかというと、そうではありません。便秘になっている腸内は、腸内細菌のバランスが崩れていると考えられます。
過敏性腸症候群(IBS)を引き起こす原因のひとつと考えられているストレス。過剰なストレスは、体にとって望ましくない作用をもたらす悪玉菌と呼ばれる大腸菌などを増やし、乳酸菌などの善玉菌を減らすと言われています。
便秘を解消するには、腸内細菌のバランスを正常な状態に戻す必要があります。やるべきことは善玉菌を増やすこと。善玉菌のエサとなる食物繊維が豊富な野菜などを毎日しっかり摂取すると、腸内環境は次第に整ってきます。また、乳酸菌を多く含む発酵食品は、腸内環境をよくする効果があるとされています。ヨーグルト、納豆、味噌など、さまざまな発酵食品の中から自分の体と生活に合うものを選ぶことも大事です。腸内細菌を元気にしてくれる食物繊維と乳酸菌を毎日積極的に摂るように心がけましょう。
執筆者プロフィール
【健康ライター、管理栄養士】
管理栄養士として健康づくりに役立つ情報発信をしたいと考え、健康ライターになる。主にWEBサイトや書籍などで、健康・育児関連の記事を執筆。栄養素のはたらきを重視したレシピづくりも行っている。忙しいときでも手軽につくれる簡単レシピが得意分野。最近は、食べ物をもっと深く知るために作物の育て方などを勉強中。