食事療法をもっと楽しく
腸は食べ物の消化・吸収を行う場所です。そのため、どのような食事をとるかで負担のかかり具合が変わります。過敏性腸症候群(IBS)にとって食事療法は、大事な療法のひとつです。
過敏性腸症候群(IBS)の主な症状は下痢と便秘ですが、いずれも症状などに個人差があります。そのため、何をどう食べればよいのかも人それぞれ。生活の中で自分の体に合う食事を探り、よい食習慣を身につけることが大事です。
いくら個人差があるとはいえ、過敏性腸症候群(IBS)に悩む多くの方に適さない食品があります。それは、脂質が多い食べ物、冷たすぎたり熱すぎたりする食べ物や飲み物、香辛料、コーヒーなどのカフェイン飲料、炭酸飲料、アルコール飲料など。そして、暴飲暴食や早食いのように胃腸に負担がかかる食べ方も避けるほうがよいとされています。
もちろん、これらを控えれば過敏性腸症候群(IBS)が必ず治るわけではありません。何を食べたら調子がよくなるか、逆に悪くなるか、食べるタイミングや回数、就寝・起床時間、ストレスの有無……どのような要因が体に負担をかけているのかを知り、体と相性の悪い食べ物や、悪影響をおよぼす生活習慣を除くことが改善につながります。まずは、落ち着いて日々の生活を振り返ってみましょう。
脂質が多い食事 | 脂質は消化に時間がかかるため胃腸の負担が大きくなる |
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過冷・過熱の食品 | 胃や腸を刺激し、さらに腸を動かしてしまう可能性がある |
香辛料 | |
カフェイン飲料 | |
炭酸飲料 | |
アルコール飲料 | アルコールを大量に摂取すると消化・吸収が悪くなる |
過敏性腸症候群(IBS)をよくするには胃腸への負担を減らす必要があります。
噛むことは消化の第一歩です。食べ物を口に入れた瞬間から消化はスタートします。噛み砕かれた食べ物は、食道を通って胃へ。胃に入った食べ物は胃液によってドロドロの粥状になり、小腸で消化・吸収されて大腸へ移ります。大腸では余分な水分が吸収され、残りが肛門から排泄されます。
よく噛まずに飲み込むと、十分に砕けていない食べ物が胃に入ることに。すると、胃や小腸の負担が大きくなり、消化不良を起こしやすくなります。消化管はつながっているので大腸にも悪影響が……。ひと口ずつよく噛んで食べようとすると、自然に食事時間が長くなり、満腹感が高まるので暴飲暴食も抑えられます。胃腸の負担がより軽減されるため、お腹の調子が整えやすくなるのです。よく噛むことは、次の食事からすぐに実践できます。是非、試してみましょう。
また、噛むことはストレス解消にも効果的。ストレスを抱えがちな方は、ストレスで増える活性酸素を減らす抗酸化成分を摂取するのに加え、よく噛んで食べることも意識してください。
執筆者プロフィール
【健康ライター、管理栄養士】
管理栄養士として健康づくりに役立つ情報発信をしたいと考え、健康ライターになる。主にWEBサイトや書籍などで、健康・育児関連の記事を執筆。栄養素のはたらきを重視したレシピづくりも行っている。忙しいときでも手軽につくれる簡単レシピが得意分野。最近は、食べ物をもっと深く知るために作物の育て方などを勉強中。