加齢、カビ、それとも…? おさまらない背中のかゆみの原因と薬の選び方

背中がかゆくなること、ありませんか? 手が届きにくい箇所ということもあり、なかなかかゆみがおさまらなくてイライラしてしまったり…。そんなお悩みを解消するために、原因や治療法、解消に役立つ生活習慣をご紹介します。

おさまらない背中のかゆみの原因と薬の選び方

背中がかゆくてイライラ…。この悩み、よくあること?

背中のかゆみに悩む人は、意外に少なくありません。かゆみを感じて鏡で見てみると、ポツポツしたものができていたり、カサカサして赤くなっていたり……なんてことも。

背中に限ったことではありませんが、体が温まって血行が良くなると、かゆみは強くなりがちです。そのため、入浴後や布団に入って温まったころにかゆくなり、思わずかきむしりたくなったことがある人も多いのではないでしょうか?

でも、かゆいからと言って力任せにかくのはNG。強い刺激を与えることで皮膚を守るバリア機能が壊れ、炎症が起こってさらにかゆみを増してしまいかねません。

さらに、かき壊した部分に細菌が入ってジュクジュクした状態になり、範囲がどんどん広がる、いわゆる「とびひ」になる可能性もあります。
背中がいくらかゆくても、孫の手でゴリゴリかいたり、ボディタオルでゴシゴシこすったりして刺激を与えるのは避けてください。

背中がかゆくなる主な原因と見分け方

背中のかゆみを引き起こす原因として、特に多いのがニキビと湿疹。意外に思われるかもしれませんが、ニキビでもかゆみを伴うことがあるのです。

ニキビの場合、見た目は毛穴がポツポツと腫れている状態のものが大半。環境変化、ホルモンバランスの崩れなど、さまざまな要因で毛穴の詰まりや皮脂の過剰分泌が発生し、常在菌であるアクネ菌が増殖して炎症を起こします。

一方、湿疹は皮膚の乾燥が大きな原因。多くはカサカサして粉を吹いたような状態で、ひどくなると炎症を起こして赤くなります。乾燥しやすい時期はもちろん、年齢を重ねると皮脂の分泌量が少なくなり、さらに乾燥しやすくなるので注意が必要。

また、カビの一種である真菌がかゆみを引き起こすこともあります。
よく知られているのは、水虫の原因となる白癬(はくせん)菌。足の裏や指の間などにできやすい水虫ですが、体にできるものは体部白癬と呼ばれ、患部は赤くガサガサした丸い発疹ができます。

さらに、元々皮膚に存在する常在菌のマラセチア菌も原因のひとつ。この真菌が過剰に増えると毛穴の炎症が起こり、マラセチア毛包炎へとつながります。
この病気は皮脂分泌の多い頭部や顔によく見られますが、背中や胸に発症することもあり、毛穴に一致した赤いポツポツができるため、ニキビにも間違われやすいのが特徴。かゆみを伴うこともあります。

このほか、湿布などによるかぶれ、虫刺され、初期の帯状疱疹などが、背中のかゆみを引き起こすこともあります。

背中のかゆみを改善する、市販薬の選び方

背中のかゆみが気になると、ボディクリームや入浴剤による保湿ケアを始める人も少なくないはず。乾燥しているだけなら良いのですが、もし、ブツブツができている場合は皮膚の病気なので、悪化する前に薬によるケアを始めましょう。

市販薬によるセルフケアを行う場合は、当然ながら症状に合わせた薬を選ぶ必要があります。
ニキビであればニキビ用のお薬を使わないといけませんし、真菌が原因であれば白癬なのかマラセチアなのか、購入時には薬剤師とも相談しながら、それぞれに適した抗真菌薬を使うようにしましょう。

水虫と思い込んで抗真菌薬を使用したところ、実は乾燥による湿疹だったため悪化してしまった…という例も少なくありません。乾燥による湿疹にはステロイド外用薬が有効ですが、こちらもニキビなど間違った症状に使うと悪化に繋がります。

ステロイド外用薬は適した症状に対しては効果的ですが、長く使い続けるのは不適切。1週間ほど使ってみて症状が改善されなかったり、悪化してしまったりするようなら皮膚科を受診するようにしてください。

背中のかゆみを改善する、市販薬の選び方

乾燥によるかゆみを繰り返さないためには、背中の保湿ケアを心がけて

背中のかゆみでよく見られる湿疹を予防するなら、皮膚のバリア機能を保つことが大切。そのためにも、適度な保湿ケアを毎日行うようにしましょう。
最初のうちは面倒に思うかもしれませんが、乾燥しがちな入浴後と朝の2回に行うことを習慣付けたいですね。

保湿剤は大別すると、軟膏、クリーム、ローションの3種類があります。保湿力が高くてべとつきやすいのは軟膏、保湿力は弱めながらサラッとしていて塗りやすいのがローションで、クリームはその中間。
使い心地の好みで選んだり、乾燥しやすい冬はクリーム、蒸れやすい夏はローションといった具合に使い分けたりするのがオススメ。
べとつきますが、かき傷がある場合や目の周りなどはしみない軟膏が良いでしょう。

なお、背中のように広い箇所の場合は、容量が少ないものだとすぐになくなるため、続けるのが面倒に感じてしまうこともあるもの。ジャータイプやポンプタイプといった大容量のものを選ぶと、購入の頻度が減って続けやすくなります。

また、保湿ケアに加え、乾燥しづらくする工夫も必要。冬はエアコンの暖房を使うと乾燥しやすいため、設定温度を高くしすぎない、加湿器を併用する、といった工夫をするのがおすすめです。また、長風呂や熱いお湯に浸かることも乾燥しやすくなる要因なので、入浴時には注意してください。

背中の保湿ケア

監修

池袋駅前のだ皮膚科

野田真史 先生

小学生から高校生の時期、重いアトピー性皮膚炎に悩まされた経験から皮膚科医を志す。
2007年、東京大学医学部医学科を卒業。2014年、東京大学大学院医学系研究科卒業、医学博士を取得。
ニューヨーク州医師免許を取得し、ロックフェラー大学で診療・研究を行う。
2016年、東京大学医学部付属病院 皮膚科助教。2018年に池袋駅前のだ皮膚科を開院し、さまざまな皮膚トラブルの解決に努めている。

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