『帯状疱疹』の原因・症状・治療法【症例画像】

帯状疱疹の症例画像1

帯状疱疹の症例画像2


症例画像を鮮明にする

※ボタンを押下することで症例画像が切り替わります。

帯状疱疹とは

帯状疱疹(たいじょうほうしん)とは、神経の流れに沿ってしびれやかゆみ、ピリピリした痛みといった神経症状が出た後に、小さな赤い水疱(すいほう:水ぶくれ)が現れる病気です。ただし神経症状が後に出ることもあり、また神経症状が軽くて気がつかないこともあります。発疹が帯状に出ることから「帯状疱疹」といわれています。

症状は身体の左右どちらか一方に現れることが多い病気です。神経の奥深くに潜んでいる「水痘帯状疱疹(すいとうたいじょうほうしん)ウイルス」が老化やストレス、免疫力の低下をきっかけに再び活性化することが原因で起こります。

水痘帯状疱疹ウイルスは子どもの病気「水痘(すいとう)」、いわゆる「水ぼうそう」の原因ウイルスであり、子どもの頃にこの病気にかかったことのある人は帯状疱疹を発症するリスクがあります。ただし子どもの場合は、水痘にかかっても軽い症状の場合が多いので、水痘にかかったかどうかわからないことも多いです。水痘にかかったことがない人に水痘をうつす可能性がありますが、帯状疱疹としてうつすことはありません。

帯状疱疹の特徴

帯状疱疹は過去に水ぼうそうにかかった時に神経の奥深くに入り込み、潜んでいた水痘帯状疱疹ウイルスが再び活性化することによって生じます。若年層は免疫力が比較的活発なため、高齢者が多いです。

一般的には、免疫力が低下し始める50才以上になると発症しやすくなります。日本人の多くは子どもの頃に水ぼうそうにかかった経験があるため、日本人の約90%が水痘帯状疱疹ウイルスを保有しており、3人に1人が80才までに帯状疱疹を発症するといわれています。

近年では、10代~40代の若年層でも大きなストレスや病気などの契機が加わることで、帯状疱疹を発症する例が増えています。若年層で帯状疱疹を発症する人が増えている背景には、2014年に始まった幼児への水痘ワクチン定期接種により水ぼうそうの子どもが激減したことに伴って、水痘帯状疱疹ウイルスに接する機会が減り、免疫が活性化されなくなったことが関係していると考えられています。

帯状疱疹は全身のどこでも発生する可能性があります。最も発生しやすいのは、上腕や胸まわり、背中などの上半身です。その他、腰やおなかまわり、顔面にも発生しやすいことが報告されています。身体の左右どちらか一方に症状が出ることが多いのも帯状疱疹にみられる特徴です。

また、激しい痛みや皮膚症状とともに神経がダメージを負うことによって生ずる神経痛を伴うことも特徴で、稀に神経麻痺をきたすことがあります。適切な治療を受けずに放置していると重症化して合併症のリスクが高くなるため、できるだけ早期に診断・治療を受けることが重要です。

帯状疱疹の症状

帯状疱疹の症状には、主に皮膚症状と神経症状があります。

皮膚症状

神経の流れに沿って皮膚の赤みと小水疱(小さな水ぶくれ)を伴った発疹が帯状に現れます。水ぶくれは破れて潰瘍(かいよう)になることもあります。最後はかさぶたになり、たいてい2~3週間で治ります。炎症がひどい場合は色素沈着を起こすことがあります。

神経症状

皮膚症状が現れる数日前から神経の流れに沿ってしびれやかゆみ、ピリピリ・チクチクしたような痛みが出ます。痛みは発疹が出てから7~10日後にピークを迎え、皮膚症状が落ち着くと大体痛みも軽快していきます。

中には、皮疹が治まってもしびれや痛みが後遺症として残ることがあり、数カ月程度で自然によくなることが多いのですが、何年も続くことがあります。これを「帯状疱疹後神経痛(たいじょうほうしんごしんけいつう)」といいます。その他、初期症状として微熱や頭痛、リンパ節のはれなどの全身症状が出ることもあります。

帯状疱疹の原因

子どもの頃に感染し、神経の奥深くに潜んでいた水痘帯状疱疹ウイルスが、加齢や生活習慣の乱れ、過度なストレスの影響によって宿主の免疫力が低下したタイミングで活動を再開し、帯状疱疹を引き起こします。

水痘、帯状疱疹を発症するメカニズム

①初感染
乳幼児期に空気感染あるいは接触感染によって水痘帯状疱疹ウイルスに感染します。はじめて水痘帯状疱疹ウイルスに感染した時は、一般に「水ぼうそう」として呼ばれている水痘の症状が出て1週間程度でよくなります。大人になって発症すると、重症化する確率が高くなります。

②潜伏感染
水痘帯状疱疹ウイルスに一度感染すると、水痘の治癒後に神経の奥深くにある「神経節」へと移動し、潜伏します。神経節に潜んでいる間はウイルスが悪さをすることはないので、数年~数十年間は無症状のまま、感染が持続します。

③活動再開
加齢、疲労、ストレスによって著しく免疫力が落ちると、神経節に潜んでいた水痘帯状疱疹ウイルスの活動が活発になります。手術や放射線照射などによる体力・免疫力低下が引き金になって、水痘帯状疱疹ウイルスが活性化することもあります。

④帯状疱疹
活動を再開した水痘帯状疱疹ウイルスは、神経節から神経を伝って皮膚表面へと出てきて帯状疱疹を引き起こします。

帯状疱疹の合併症と後遺症について

帯状疱疹で最も気をつけなければならないのは、合併症のリスクについてです。特に高齢者では帯状疱疹の症状自体も激しく、合併症のリスクも高いため、注意が必要です。活性化した水痘帯状疱疹ウイルスは神経の枝に沿って皮膚表面に広がり、かゆみや痛み、赤みや水ぶくれなどの症状を引き起こします。

この時、特に免疫力の弱い高齢者では活性化したウイルスによる神経細胞へのダメージも大きくなるため、水ぶくれなどの皮膚症状が軽快した後も、痛みや神経のしびれや麻痺などが続くことがあります。一般的にウイルスの活性が強く、皮膚症状が激しいほど合併症の発症リスクも高くなるといわれています。

帯状疱疹の後遺症や合併症としては、主に以下のようなものがあります。

帯状疱疹後神経痛

かゆみや赤み、水ぶくれなどの皮膚症状が軽快してもピリピリするような痛みが継続するものです。神経細胞内で活性化した水痘帯状疱疹ウイルスによって神経そのものが破壊され、回復が遅れることによって生じます。通常、皮膚症状が軽快するにつれて、ピリピリするような痛みも徐々に治まっていくものですが、帯状疱疹後神経痛では、数カ月以上、場合によっては何年にもわたって痛み症状が継続します。50才以上で帯状疱疹を発症した人に比較的よくみられる後遺症です。

その他の合併症

稀に無菌性髄膜炎、脳炎、脊髄炎など生命に関わるような合併症を生ずることがあります。また、神経の枝がダメージを受けることにより、運動麻痺や排尿・排便障害を合併したり、あるいは頭頚部に帯状疱疹を発症した場合、角膜炎・結膜炎などの目の病気を発症し、重症化すると視力が低下することもあります。ただしこれらは稀なケースです。その他、顔面神経麻痺やめまい、難聴などを合併することもあります。

帯状疱疹の治療法

帯状疱疹は医療機関での治療が必要です。早期に適切な治療を受けずに放置するなど、症状が長引けば長引くほど合併症や後遺症の発生リスクが高くなります。できるだけ早期に皮膚科や内科を受診し、適切な治療を受けましょう。

基本の治療は抗ウイルス薬

軽度~中等度の帯状疱疹に対しては抗ウイルス薬の内服で治療し、重症例に対しては抗ウイルス剤の点滴で治療します。特に症状が激しい場合は入院して点滴治療を行うこともあります。抗ウイルス薬はウイルスのDNAの合成を妨げ、増殖を抑えることで帯状疱疹の進行を抑制します。痛みに対しては対症療法として鎮痛剤を使用することもあります。後遺症を残さないためにも、自覚症状が出たらなるべく早く治療を開始することが大切です。

医療機関を受診しましょう

帯状疱疹に対する市販のOTC医薬品は販売されていません。自分で治療することはできないため、思い当たる症状がある場合はすみやかに専門医を受診しましょう。

帯状疱疹の予防法

帯状疱疹の発症を100%防ぐことはできませんが、生活習慣の見直しやワクチンの接種によってある程度発症を予防することができます。また、小児に接する機会の多い、小児科医や保育園の先生は水痘にかかった小児に接する機会が多く、また皮膚科医も帯状疱疹患者を診察することも多いので、ウイルスに対する抗体価が上がるため、帯状疱疹になる可能性は少なくなります。

生活習慣を整える

帯状疱疹にならないためには、免疫力を維持することが重要です。乱れた食生活・睡眠不足・運動不足・過度なストレスやダイエットは免疫力を低下させ、帯状疱疹の発症リスクを高めてしまいます。充分な睡眠、栄養バランスのとれた食事をして体調を整え、適度な運動やストレス発散を取り入れるなどの生活習慣を心がけましょう。

また、風邪をひいて体力が落ちたことをきっかけに、帯状疱疹を発症する例も少なくありません。日々の体調管理と感染症の予防を徹底し、体調を崩さないようにすることが大切です。

ワクチンを接種する

帯状疱疹はワクチンを接種することである程度予防することができます。ワクチン接種による帯状疱疹の予防効果は100%ではありませんが、接種しておくことで万が一、帯状疱疹が発症した場合でも症状が軽く済みます。

日本では50才以上の人を対象に生ワクチンと不活化ワクチンのいずれかの接種が推奨されています。対象年齢に該当する方は医師に相談し、ワクチン接種を検討しましょう。

監修

帝京大学医学部皮膚科 名誉教授

渡辺晋一先生

1952年生まれ、山梨県出身。アトピー性皮膚炎治療・皮膚真菌症研究のスペシャリスト。その他湿疹・皮膚炎群や感染症、膠原病、良性・悪性腫瘍などにも詳しい。東京大学医学部卒業後、同大皮膚科医局長などを務め、85年より米国ハーバード大マサチューセッツ総合病院皮膚科へ留学。98年、帝京大学医学部皮膚科主任教授。2017年、帝京大学名誉教授。帝京大学医真菌研究センター特任教授。2019年、『学会では教えてくれない アトピー性皮膚炎の正しい治療法(日本医事新報社)』、2022年『間違いだらけのアトピー性皮膚炎診療(文光社)』を執筆。

関連記事

\他にも読まれている関連記事をご紹介/

他の症状を探す

他の症状を探す場合はこちらから

症状一覧ページへ