スネの粉ふきやかゆみ、ただの乾燥で片付けるのはNG!タイツに白い粉は皮膚からの危険サイン

冬になると皮膚がカサカサしてかゆくなったり、スネが白い粉をふいたりしますよね。
タイツの上から無意識に脚をかいていたら、黒いタイツなのにかいたところが白くなって恥ずかしかった」「タイツを脱いだら内側に白い粉がたくさんついていた」なんて経験がある方もいるのでは。
この症状、ただの乾燥ではなく、皮膚の角化を伴うまで進行した「乾皮症」かもしれません。
放置しても改善せず、かゆくてかきむしってしまうと湿疹などに悪化してしまうので要注意!きちんとしたお薬での対処が大切です。

ただの乾燥トラブルかと思ったら…本当はこんな病気かも

冬に起こりがちな、スネなどの粉ふきやかゆみ…。ただの乾燥トラブルだと思ってボディクリームを塗っているけど、なかなか治らない場合、その乾燥肌はもしかしたらこんな「病気」かもしれません。

老人性乾皮症

角質層の水分を保持する機能の低下や皮脂分泌が減少して皮膚が乾燥した状態を「乾皮症」といいます。加齢による皮脂分泌の減少などが主な原因がいわれているため、「老人性」とついていますが、冬の乾燥や入浴時の洗いすぎも原因となり、年齢に関わらず発症します。

皮脂欠乏性皮膚炎

乾皮症が続くと、衣類のしめつけなどによる外部からの刺激に敏感になり、少しの刺激でもかゆみを引き起こします。乾燥した皮膚をかくことによって炎症を引き起こすことを「皮脂欠乏性皮膚炎」といいます。さらに、症状が進みかき壊してしまうと「貨幣状湿疹」へと進行します。

ドライスキンによる掻き壊しの症例画像


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かき壊して悪化する前に!尿素配合のお薬でしっかり治そう

ただの乾燥だと思って放っておくと、粉ふきがなくならないどころか、かき壊して症状が悪化することもある乾皮症。そうなる前に尿素配合のお薬でしっかり治療することが大切です。
なぜ、粉ふきを伴う乾皮症には尿素配合のお薬が最適なのでしょうか?尿素には、乾燥の進行によって肌表面に積もった古い角質層をやわらかくして、取り除く作用があります。
また同時に、皮膚に浸透して角質層の水分を保ち、肌の内側から皮膚を潤す作用があるため、医療現場でも粉ふきを伴う乾皮症の治療には尿素配合のお薬が処方されています。

尿素とヘパリン類似物質の使い分け

尿素 ヘパリン類似物質
保湿
古い角質の除去 ×

尿素配合のお薬の中には、尿素10%〜20%配合と製品によって配合量に差がありますが、配合量の多い20%のほうが余分な角質を取り除く作用が強いとされています。
ただし、皮膚の薄いところやかき壊して傷になっているところに使用するとしみることがあるので、注意が必要です。

かき壊して湿疹や炎症を起こしてしまったときは

かき壊して炎症を起こしてしまった場合や、ブツブツとした湿疹ができてしまった場合は、かゆみや炎症をおさえる効果のあるステロイド軟膏を使用しましょう。

まとめ

かき壊して悪化してしまうこともある粉ふきを伴う乾皮症。まず尿素配合のお薬で古い角質層を取り除き、内側からしっかり保湿しましょう。
強いかゆみや赤みを伴うなど湿疹になってしまった場合はかき壊す前にステロイド軟膏を使用し、状況に合わせて使い分けることが重要です。

監修

帝京大学医学部皮膚科 名誉教授

渡辺晋一先生

1952年生まれ、山梨県出身。アトピー性皮膚炎治療・皮膚真菌症研究のスペシャリスト。その他湿疹・皮膚炎群や感染症、膠原病、良性・悪性腫瘍などにも詳しい。東京大学医学部卒業後、同大皮膚科医局長などを務め、85年より米国ハーバード大マサチューセッツ総合病院皮膚科へ留学。98年、帝京大学医学部皮膚科主任教授。2017年、帝京大学名誉教授。帝京大学医真菌研究センター特任教授。2019年、『学会では教えてくれない アトピー性皮膚炎の正しい治療法(日本医事新報社)』、2022年『間違いだらけのアトピー性皮膚炎診療(文光社)』を執筆。

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