見た目にも影響を及ぼす足首や膝裏などの足の腫れ。腫れをともなう皮ふトラブルの原因は実にさまざまです。
かゆみをともなっている場合、かき壊して炎症が悪化してしまうこともあるので注意が必要です。また、かき壊してしまうと痕が残ってしまうこともあるのでなるべく避けたいですよね。
疾患によって対処方法が異なるため、まずは原因を知ることが大切です。
考えられる皮膚トラブル
接触皮膚炎
一般的には「かぶれ」と呼ばれています。
刺激の強いものに触れると誰にでも起こる「一次刺激性接触皮膚炎」と、アレルギーとして起こる「アレルギー性接触皮膚炎」があります。
かぶれた場所がかゆくなり、だんだん赤くなってきます。
小さなブツブツや水ぶくれができたりします。
水虫(足白癬)
かゆみ、小さなブツブツ、皮がむける、ジュクジュクする、足の裏の角質が固くなる、かさぶたができるなど。
爪の中に白癬菌が入り込むと、爪が白く濁ったり分厚くなってポロポロとくずれる爪水虫(爪白癬)になります。
※ステロイド外用剤対象外の疾患です。専門医の治療が必要です
虫刺され
吸血性の蚊、ノミ、ブユ、ダニや、毒をもったハチ、アブ、クモ、毒蛾、毛虫などに刺されることで、皮膚に炎症を起こします。
蕁麻疹
かゆみとともに、突然皮膚が赤くなり、もりあがったように見えます。かゆいところをかくと、赤くみみずばれができます。
多くは数時間以内で痕を残さずに消失します。1ヶ月以内で治まるものを「急性蕁麻疹」、1ヶ月以上繰り返すものを「慢性蕁麻疹」といいます。
ほとんどがかゆみを伴いますが、チクチクするような痛みや、焼けるような痛みを伴うこともあります。
大きさや形は、2〜3mmの円形、楕円形のものから、直径10cm以上の地図状のものまでさまざまです。”
足・太もも・膝の皮膚トラブルの対処・治療法
湿疹(ぶつぶつ)が見られる場合は、ステロイド外用剤でかゆみや炎症を抑えながら、足をかかないことが大切です。
また、弱いランクのステロイド剤から試してみるのではなく、年齢に合ったランクのステロイド外用剤で一気に治しましょう。ステロイド外用剤は副作用が強いというわけではなく、「広範囲に使わない」「長期間使わない」「感染を起こしている部分には使わない」などの注意を守って使用するようにしましょう。
治療に当たっての注意
- 1週間で改善しない場合や症状が悪化したときは、炎症ではない別の疾患や原因が除去できていないことが考えられるので、その場合はお医者さんの診察を受けましょう。
- 水虫でも湿疹が見られますが、白癬菌による感染性なので、ステロイド外用剤ではかえって悪化する場合があります。特に家族に水虫をもった方がいる場合など、「もしかして水虫かも?」と思ったら、お医者の診察を受けましょう。
監修
帝京大学医学部皮膚科 名誉教授
渡辺晋一先生
1952年生まれ、山梨県出身。アトピー性皮膚炎治療・皮膚真菌症研究のスペシャリスト。その他湿疹・皮膚炎群や感染症、膠原病、良性・悪性腫瘍などにも詳しい。東京大学医学部卒業後、同大皮膚科医局長などを務め、85年より米国ハーバード大マサチューセッツ総合病院皮膚科へ留学。98年、帝京大学医学部皮膚科主任教授。2017年、帝京大学名誉教授。帝京大学医真菌研究センター特任教授。2019年、『学会では教えてくれない アトピー性皮膚炎の正しい治療法(日本医事新報社)』、2022年『間違いだらけのアトピー性皮膚炎診療(文光社)』を執筆。