「最近なんだか頭がかゆい……」「シャンプーを変えてみたけど頭皮のかゆみが治らない」そんなときは、頭皮に皮ふトラブルが生じているかもしれません。
「頭皮がかゆい」と一口にいっても、乾燥やあせも、脂漏性皮膚炎などさまざまな原因が考えられます。対処せずに放置していると、かきこわして悪化することも。
悪化する前に、かゆくなる原因を知ることが大切です。
考えられる皮膚トラブル
シャンプー、薬剤かぶれ
かぶれの原因となる物質によるアレルギー症状で、シャンプーや薬剤が触れた箇所と一致してかゆくなり、だんだん赤くなり、小さなブツブツや水ぶくれができたりします。
ドライスキン(乾燥肌)
単にカサつくのみや、かゆみを伴うこともあります。
アレルギー反応や感染症を起こしやすくなり、さらに、金属・洗剤・花粉などの外的刺激にも過敏に反応する敏感肌になります。
脂漏性皮膚炎
皮脂の分泌が多い脂漏部位(髪のはえぎわ、まゆげ、鼻のわきなど)にできるカサカサした湿疹です。新生児~乳児期と思春期以後に多くみられます。
頭皮や髪のはえぎわ、まゆげなどにフケがでて赤くなります。かゆくなることもあります。
ひどくなると固まってかさぶたになることもあります。
汗疹・あせも
皮膚の表面近くに汗がたまる水晶様汗疹(白いあせも)と、皮膚の深いところに汗がたまる紅色汗疹(赤いあせも)の2つのタイプがあります。
水晶様汗疹は、透明、もしくは白っぽい水ぶくれがたくさんできますが、かゆみは伴いません。
紅色汗疹は、赤く小さなブツブツができます。かゆみのほかに、チクチク、ヒリヒリした感じもあります。
アタマジラミ
アタマジラミは保育園、幼稚園、低学年児童の頭髪に寄生し人の血を吸って生きている害虫で、季節を問わず頻繁に発生しています。
吸血されたあとは激しいかゆみに悩まされます。
※ステロイド外用剤対象外の疾患です。専門医の治療が必要です
頭皮の皮膚トラブルの対処・治療法
頭皮の状態がいつもと違い、かゆみが続いたりフケが多くなったと感じたらすぐに対処することが大切。早ければ早いほど症状の回復が期待できます。
自分で治療する場合、毛髪がある部分は軟膏やクリームではなく、ローションタイプを使用しましょう。入浴後など頭や頭皮が清潔な状態で、かゆいところに指で直接塗ってください。大量に塗りすぎると目に入る心配があるので量を加減しましょう。
治療にあたっての注意
- 頭皮用ステロイド剤のほとんどがマイルドランクです。ランクが低すぎると、かえって治療が長引いてしまうこともあります。
- ステロイド剤は、通常、数日から1週間程度で効果が現れます。もし5〜6日たっても症状に変化のない場合は、炎症ではない可能性があるので、すぐにお医者さんに診てもらいましょう。
- 頭皮にベタッとした脂っぽいフケが多くみられる場合は、「脂漏性皮膚炎」かもしれません。カビの仲間が原因の感染症であり、個人では治療方法の判断が難しいため、お医者さんに相談しましょう。
監修
帝京大学医学部皮膚科 名誉教授
渡辺晋一先生
1952年生まれ、山梨県出身。アトピー性皮膚炎治療・皮膚真菌症研究のスペシャリスト。その他湿疹・皮膚炎群や感染症、膠原病、良性・悪性腫瘍などにも詳しい。東京大学医学部卒業後、同大皮膚科医局長などを務め、85年より米国ハーバード大マサチューセッツ総合病院皮膚科へ留学。98年、帝京大学医学部皮膚科主任教授。2017年、帝京大学名誉教授。帝京大学医真菌研究センター特任教授。2019年、『学会では教えてくれない アトピー性皮膚炎の正しい治療法(日本医事新報社)』、2022年『間違いだらけのアトピー性皮膚炎診療(文光社)』を執筆。