髪をきちんと洗っているつもりなのにかゆい、ヘアブラシが当たって痛みを感じる……。こうした症状は、頭皮にできたニキビが引き起こしているかもしれません。しっかり治すには、どのように対処すれば良いのでしょうか?
頭皮にニキビができる原因は?
髪の毛に隠れ、見えにくいのが頭皮のニキビ。ニキビというと思春期にできやすいイメージですが、頭皮の場合は30代〜40代の男性に見られることも多くあります。
主な原因は他の箇所と同様、ニキビの元となるアクネ菌の増殖と、毛穴の詰まり。特に頭皮は皮脂の分泌量が多いため、毛穴が詰まりやすくなる分、ニキビができやすい箇所とも言えます。また、ストレスや不規則な生活のほか、帽子をかぶることが多くて蒸れやすい、整髪料などの成分が合わないといった生活習慣が関わることも少なくありません。
かゆみや痛みを伴いがちで、繰り返す人が多いのも頭皮にできるニキビの特徴。かいたり触れたりすることで悪化の可能性があるので、気になっても触って刺激を与えないようにしましょう。
ニキビ以外の可能性も? ありがちな頭皮トラブルいろいろ
頭皮がガサガサしていたり、荒れていたりするとかゆみを伴うこともありますが、たとえポツポツができていても、一概にニキビとは言えません。
よく見られるのは、頭皮が炎症を起こす湿疹や脂漏性皮膚炎。脂漏性皮膚炎は皮膚に常在するカビの一種、マラセチア菌が要因とも言われ、頭皮だけでなく顔のTゾーンなど皮脂の分泌量が多い箇所に出やすい症状です。
湿疹や脂漏性皮膚炎の典型的な症状は、どちらも赤みがありカサカサしていること。皮膚がはがれ落ち、フケのように見える場合もあります。一方、ニキビは皮膚が盛り上がり、押すと痛かったり、時には膿を持っていたりしますが、見分けるのはなかなか難しいため、自分だけで判断するのは控えましょう。
頭皮ニキビの治療法は?気になったらまずは皮膚科へ
頭皮のニキビは湿疹や脂漏性皮膚炎と見分けづらいだけでなく、合併していることもよくあるもの。そうなると治療法も変わってくるため、気になったときはまずは皮膚科で相談することをおすすめします。
頭皮の場合、顔と違ってピーリングやレーザーの治療が行えません。そのため、皮膚科では抗生剤の飲み薬と塗り薬が中心となります。頭皮は頭髪があって薬を塗りにくいため、塗り薬は軟膏よりローションの処方が一般的。治癒までの期間に個人差はありますが、早ければ1〜2週間で治ることもあります。
一方で、治ったからと言って、薬の使用をやめると再び症状が出るケースがあるので注意が必要。長引いて悪化すると頭皮が傷付き、毛根が潰れて毛が生えなくなる瘢痕性(はんこんせい)脱毛症に繋がることもあります。
脱毛が気になって皮膚科に来たら、実はニキビの悪化による瘢痕性脱毛症だった……という話も聞くので、早めに正確な診断をつけ、適切な治療を受けるようにしてください。
なお、市販薬で頭皮用を謳った製品は少ないもの。もし使う場合は、顔の皮膚への使用が認められた製品を選ぶと良いでしょう。
日々の習慣に! 頭皮のニキビを繰り返さないためにできること
頭皮のニキビを予防するなら、生活習慣にも気を付けるようにしましょう。たとえば、シャンプーや整髪剤など、髪の毛に使う製品の成分が合わないとニキビの原因になることがあるもの。もし新しいものを使い始めてからニキビができるようなら、いったん使用をやめて様子をみてください。
また、細菌の繁殖を促さないよう、帽子やヘルメットをかぶる時間は減らして蒸れを抑える工夫や、枕カバーをはじめとした寝具を清潔に保つことも必要。さらに、頭皮を労るため、ヘアブラシを強めに使って傷付けるといったことも避けましょう。
このほか、ニキビ全般の注意点でもありますが、食生活では低カロリーを心がけたいもの。また、血糖値の上昇がニキビの原因になるとも言われているため、血糖値を上げやすい高炭水化物の食品や乳製品などは控えると安心です。
監修
池袋駅前のだ皮膚科
野田真史 先生
小学生から高校生の時期、重いアトピー性皮膚炎に悩まされた経験から皮膚科医を志す。
2007年、東京大学医学部医学科を卒業。2014年、東京大学大学院医学系研究科卒業、医学博士を取得。
ニューヨーク州医師免許を取得し、ロックフェラー大学で診療・研究を行う。
2016年、東京大学医学部付属病院 皮膚科助教。2018年に池袋駅前のだ皮膚科を開院し、さまざまな皮膚トラブルの解決に努めている。