湿疹?蕁麻疹?『ストレス』と関連が考えられる皮膚疾患とその症状

日々生活をしていると、皮膚に突然、赤みやブツブツ、かゆみなどの皮膚トラブルが現れることがあります。このような症状には、虫刺されやかぶれ、特定のアレルギーといった原因が明らかなものもあれば、全く思い当たる原因がなく症状が現れるケースも多く見られます。特に、湿疹や蕁麻疹など、思い当たる原因がないにもかかわらず、繰り返す皮膚症状には、私たちが日常生活で抱えるストレスや体調の変化が関係していることもあります。今回は、ストレスとの関連が考えられる皮膚の病気と、それらの代表的な症状を解説します。

ストレスと皮膚トラブルの関係

皮膚に現れる赤みやブツブツ・かゆみなどの皮膚トラブルは「何らかの物理的刺激」や「何らかに対するアレルギー反応」が直接的な原因で起こることがほとんどです。その場合は、原因になる物質を特定してそれを避ければ、症状が改善する場合や発症を回避できる場合があります。

しかし、私たちが日常的に経験する皮膚トラブルの中には、原因が特定できないケースも多く見られます。「虫に刺されたり、何かにかぶれたりしたわけでもないのに、何となく肌の調子が悪い」「仕事に追われて毎日忙しかったり、規則正しい食事がとれなかったりすることが続くと、顔に吹き出物ができやすい」といったことを、誰しも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。このような原因がはっきりとしない皮膚トラブルの背景には、何らかのストレスが関係している場合があります。

ストレスには「心理的ストレス」「環境的ストレス」「身体的ストレス」などさまざまなものがあります。実際には、これらのストレスが複雑に絡み合って、皮膚のコンディションに影響を与えると考えられています。

例えば、日々の仕事が忙しくて睡眠不足が続く、規則正しい食事がとれないといった環境に置かれていると、身体的にも心理的にも強いストレスにさらされます。強いストレスを受けると脳から「ストレスに対抗せよ」との指令が出され、その指令は副腎皮質から分泌される抗ストレスホルモン「コルチゾール」などによって全身に伝えられます。このストレスに対する反応は、生まれ持った生体防衛システムの一つで、ストレスにうまく対処するために機能します。ところが、ストレスが強すぎたり、ストレスが長期化したりすると自律神経や免疫系の働きが乱れ、やがて全身にさまざまな悪影響が出ることもあります。

皮膚も当然身体の一部なので例外ではなく、強いストレス反応が続くと、体調を崩してしまうこともあります。普段は何ともなかった「食べ物」「摩擦」「薬品」「暑さ」「寒さ」などの刺激に対して、皮膚の免疫細胞が過剰反応を起こし、かゆみや赤みなどの炎症が出やすくなったり、もともとあった症状が悪化したりする場合もあります。

また、ストレス反応が続くことで、全身のホルモンのバランスが変化し、その影響で皮脂分泌が過剰になり、吹き出物やニキビができやすくなることもあり得ます。

ストレスと関連が考えられる皮膚疾患

ストレスと関連が考えられる皮膚の病気にはさまざまなものがあります。代表的な病気としては、「皮膚掻痒症(ひふそうようしょう)」、「アトピー性皮膚炎」、「蕁麻疹」、「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」などが挙げられます。ストレスが直接的な原因ではないですが、悪影響を及ぼしていることは充分考えられます。

皮膚掻痒症

皮膚掻痒症の症例画像

皮膚掻痒症の症例画像


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画像提供:帝京大学皮膚科 名誉教授 渡辺晋一氏

ブツブツなどの目立った症状がないにもかかわらず、皮膚がかゆくなる病気です。皮膚掻痒症には身体の一部がかゆくなるタイプと、全身がかゆくなるタイプの2種類に分けられます。内臓の病気などの基礎疾患を背景に発症し、空気の乾燥などで悪化します。また、心理的ストレスの影響によって症状が悪化する可能性も指摘されています。まず、原因となる疾患を治療することが大切ですが、保湿ケアや心理的な負担を軽減することが症状の改善に役立ちます。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎:左右対称の皮膚炎・かぶれ

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アトピー性皮膚炎:乳児期では頬にジュクジュクした発疹

症例画像:乳児期では頬にジュクジュクした発疹

アトピー性皮膚炎:ひじやひざの内側にできる皮膚炎・かぶれ

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画像提供:帝京大学皮膚科 名誉教授 渡辺晋一氏

アトピー性皮膚炎は、改善と悪化を繰り返しながら慢性の経過をたどる病気で、症状の再燃や悪化には心理的なストレスが大きく関わっているという考えもあります。実際、引っ越しや就職、受験などを控えてストレスを感じたことをきっかけに、アトピー性皮膚炎の症状がひどくなったという経験をした人もいます。イライラした時、逆にホッと気が弛んだ時についつい患部を掻いてしまい、掻けば掻くほどそれが刺激になってかゆみが増すといった悪循環に陥ると、さらに症状が悪化します。また、アトピー性皮膚炎の場合は、しつこい症状を繰り返すため、なかなか治らないことがストレスとなって症状が悪化するという悪循環のサイクルに陥ってしまうこともあります。

慢性蕁麻疹

アトピー性皮膚炎:左右対称の皮膚炎・かぶれ

蕁麻疹の症例画像

アトピー性皮膚炎:乳児期では頬にジュクジュクした発疹

蕁麻疹の症例画像(拡大)


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画像提供:帝京大学皮膚科 名誉教授 渡辺晋一氏

慢性蕁麻疹は、皮膚の赤みや、境界のはっきりした円形または地図状の膨疹(ぼうしん:皮膚の盛り上がり)が繰り返し現れる皮膚疾患です。慢性蕁麻疹の直接的な原因は何らかの物質や外的刺激あるいは基礎疾患などですが、発症・悪化の背景として心理的なストレスとの関連が指摘されています。実際、蕁麻疹の皮膚の細胞を調べるとストレス反応にかかわるタンパク質が増え、その影響でかゆみ物質であるヒスタミンがたくさん放出されていることが確認されています。心理的な調査でも、蕁麻疹に悩む人の多くが無自覚にストレスを背負っている、またはストレスを抱え込みやすい傾向があることがわかっています。

尋常性ざ瘡(ニキビ)

ニキビの症例画像

ニキビの症例画像

ニキビの症例画像

ニキビの症例画像


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画像提供:帝京大学皮膚科 名誉教授 渡辺晋一氏

尋常性ざ瘡、いわゆる「ニキビ」は、皮脂の分泌過多と毛穴の詰まりによって、毛穴の中でアクネ菌が増殖することで炎症を起こし、ブツブツができる皮膚疾患です。はじめは白っぽいブツブツであったものが、炎症がひどくなると芯のある赤いブツブツや膿の溜まったブツブツになります。

尋常性ざ瘡は、私たちにとって身近な皮膚疾患で、日本人の90%以上が一度は経験しているといわれています。皮脂腺が発達し、皮脂分泌が盛んになる思春期に多く見られる疾患で、ストレス、睡眠不足などはニキビの発症を誘発したり、悪化因子になったりすることがあります。

ストレスをためない日常生活の過ごし方

社会で生きていく中で、日々のストレスをゼロにすることはできませんが、可能な限りストレスを軽減できるような生活を心がけることが大切です。ストレスをためない日常生活の過ごし方のポイントは、次の3つです。

1.充分な睡眠や休息をとる
2.規則正しい食事で充分な栄養をとる
3.適度な運動や趣味を楽しむ時間をつくり、心身をリフレッシュする

まず、一番に見直したいのが「充分な睡眠、休息がとれているか」です。ストレスに強く、しなやかな心身をキープするためには、まず充分な睡眠で1日の疲労を回復したり、休息を上手にとってリフレッシュしたりすることが重要です。睡眠のリズムが崩れていないかなど、日々の生活を見直し、意識して休息をとりましょう。

規則正しい食生活で充分な栄養をとることも大切です。現代の食生活では、タンパク質、食物繊維、ビタミン、ミネラルなどが不足しやすいため、それらの栄養素を過不足なくとれるように心がけましょう。

日常生活の中で、うっすら汗をかくような適度な運動を取り入れることも重要です。外出自粛生活やリモートワークが増えた影響で、知らないうちに大きなストレスを抱え込んでいる人が増えています。運動や趣味の時間を意識的に作り、心身ともにリフレッシュしましょう。

皮膚科へ行く目安

皮膚の一部に赤みやブツブツなどの湿疹が出た時は、皮膚に炎症が起きているサインです。充分な強さのステロイド外用剤を塗ってすみやかに炎症を抑えましょう。ただし、症状が出ている範囲が広く手のひら2~3枚分を超える時や、ステロイド外用剤を1週間使用しても症状が回復しない、または症状が悪化している時は、セルフメディケーションの範囲を超えています。その場合は、皮膚科を受診し、医師の治療を受けましょう。

また、アトピー性皮膚炎や繰り返す蕁麻疹の場合は、専門医による検査や治療が必要ですので、自己判断はせず、医療機関を受診しましょう。

監修

天下茶屋あみ皮フ科クリニック 院長

山田貴博 先生

2010年名古屋市立大学医学部卒。NTT西日本大阪病院(現・第二大阪警察病院)にて初期臨床研修後、大阪大学大学院医学系研究科 神経細胞生物学講座助教として基礎医学研究に従事。阪南中央病院皮膚科勤務を経て、2017年天下茶屋あみ皮フ科クリニック開院。

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