指の皮ふトラブルの症状として「指に小さな水ぶくれができた」「手先や指の腹が赤く腫れる」「手のひらに膿をもった水ぶくれができる」というものがあります。
症状がすすむと皮がむけて指紋がなくなったり、ひび割れたりすることもあるので、悪化する前に対処することが大切です。
手や指が腫れたり、水ぶくれができたときにはどのような原因があるのか解説します。
考えられる皮膚トラブル
手湿疹、洗剤かぶれ
水仕事の多い主婦、理容師、美容師などに起こります。
指先や指の腹が赤くなったり、小さなブツブツができます。
悪化すると皮がむけて指紋が消えたり、ただれやひび割れを起こします。
汗疱(かんぽう)、異汗性湿疹
手指や手のひら・足底に、かゆみを伴う小水疱が出現する湿疹性の皮膚疾患で、異汗性湿疹(いかんせいしっしん)とも言われる。原因は不明。
掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
手のひらや足の裏に、膿をもった水ぶくれがたくさんでき、慢性に経過します。
火傷、熱傷
熱による皮膚・粘膜の障害のことであり、誰でもが一度は経験したことのある外傷のひとつです。
熱傷はその深さにより
I度熱傷は表皮(皮膚の表面)までの損傷で、皮膚が赤くなり、ひりひりした痛みを伴います。
II度熱傷は真皮(表皮の下の皮膚)に達する熱傷で、水疱ができ強い痛みを伴います。
III度熱傷は皮膚が真皮より深いところまで損傷された状態で、一見通常の皮膚と変わりなく見えることもあります。
※ステロイド外用剤対象外の疾患です。専門医の治療が必要です
指・手・腕の皮膚トラブルの対処・治療法
手の皮膚トラブルは、原因が排除できず長期化、慢性化するケースが多くみられます。
また、「手荒れはハンドクリームで治る」という誤った認識や「手荒れぐらいでステロイド剤を使うのは怖い」とのイメージもその要因の1つ。
かゆい、赤い、ブツブツといった症状は炎症なので、ステロイド外用剤を使用して一気に治すことが大切です。
炎症を抑えてから、保湿クリームなどで再発を予防しましょう。
治療にあたっての注意
- ステロイド外用剤は、年齢に合った強さ(ランク)のものを使用してください。ランクの低い薬を長期間使い続けることは、症状を長引かせ連用することにつながります。
- 患部以外や予防目的には使わないようにしましょう。
- 1週間で改善しない場合や症状が悪化したときは、炎症ではない別の疾患や原因が除去できていないことが考えられるので、その場合はお医者さんの診察を受けましょう。
監修
帝京大学医学部皮膚科 名誉教授
渡辺晋一先生
1952年生まれ、山梨県出身。アトピー性皮膚炎治療・皮膚真菌症研究のスペシャリスト。その他湿疹・皮膚炎群や感染症、膠原病、良性・悪性腫瘍などにも詳しい。東京大学医学部卒業後、同大皮膚科医局長などを務め、85年より米国ハーバード大マサチューセッツ総合病院皮膚科へ留学。98年、帝京大学医学部皮膚科主任教授。2017年、帝京大学名誉教授。帝京大学医真菌研究センター特任教授。2019年、『学会では教えてくれない アトピー性皮膚炎の正しい治療法(日本医事新報社)』、2022年『間違いだらけのアトピー性皮膚炎診療(文光社)』を執筆。