ステロイド外用剤の基礎知識と上手な使い方

ステロイド外用剤の基礎知識と上手な使い方

Q:剤形による使い分けは?

A:症状や部位により適した剤形を選びましょう。

OTC医薬品のステロイド外用剤には、軟膏、クリームをはじめ様々な剤形があります。症状や部位により適した剤形を選びましょう。

  • 軟膏
    刺激性が少なく、患部を保護する作用があります。乾燥(カサカサ)した患部、びらん・潰瘍など湿潤(じゅくじゅく)した患部のどちらにも使えます。保湿作用がありますが、ステロイド外用剤を保湿剤としては使用しないで下さい。
  • クリーム
    軟膏に比べてベタつかず使用感がよいですが、湿潤した患部には適しません。
  • ローション
    軟膏やクリームが塗りにくい頭髪部などへの使用に適しています。湿潤した患部には適しません。
  • ジェル
    髪の生え際などの部位に適しています。湿潤した患部には適しません。
  • スプレー
    手を汚さず広範囲に使用できます。使用量がわかりにくく、正常な皮膚にも散布してしまう可能性があります。
紅斑 丘疹 小水疱 膿疱 びらん 潰瘍 痂皮 落屑 苔癬化 角化
軟膏
クリーム × ×
ローション × ×
ジェル × ×
スプレー × ×

○:適している 空欄:使用してもよい ×:使用注意

Q:部位による使い分けは?

A:特に使い分ける必要はありませんが、顔、首、陰部など吸収のよい部位は使用期間に注意しましょう。

ステロイド外用剤は、皮膚から吸収され効果を示しますが、吸収される割合は部位によって大きく異なります。顔・首・陰部などは吸収がよく、薬の効果が出やすくなっています。逆に手のひらや足の裏は吸収が悪くなっています。

吸収のよい部位ほど長期連用した場合に局所性副作用が出やすくなりますので、特に注意が必要です。安全期間の目安としては、顔・首・陰部は2週間、その他の部位は4週間ですが、セルフメディケーションでは5~6日使用しても症状が改善しない場合にはお医者さんに相談しましょう。

吸収のよい部位ほど長期連用した場合に局所性副作用が出やすくなりますので、特に注意が必要です。

安全期間の目安としては、顔・首・陰部は2週間、その他の部位は4週間ですが、セルフメディケーションでは5~6日使用しても症状が改善しない場合にはお医者さんに相談しましょう。

Q:年齢による使い分けは?(目安)

A:赤ちゃんや幼児へ使用する場合は効果がおだやかなタイプを選択しましょう。

ステロイド外用剤の選択には、下表を目安としてください。
※ストロングランクは赤ちゃんや子どもにも使えますが、皮膚のバリア機能が未成熟なため、薬剤が浸透しやすく、ウィークやマイルドランクでも大人にストロングランクを使った場合と同程度の効果が期待できます。

湿疹・皮膚炎において医療現場では充分な強さのステロイド外用剤を使うことがスタンダードです。かき壊して悪化したり、慢性化することを防ぎ、短期間で治癒するための有効な手段です。強いステロイドだからといって恐れる必要はありません。半世紀以上にわたる臨床経験から各成分の特性や長期連用による副作用についても充分認知されています。使用期間、部位の注意事項をお守りいただければ安全に使用できます。

  • 1週間以上は続けて使用しないでください。
    ⇒5〜6日使用しても改善しない、あるいは悪化した場合は、他の原因、もしくは疾患の程度がセルフメディケーションの範囲を超えていることが考えられますので、お医者さんに診てもらってください。
  • 顔面・陰部には充分注意して使用してください。※ご使用の際は、薬剤師さん等から充分な説明を受けてください。
    ⇒顔面:化粧用や髭剃りあとなどに使うと長期連用につながり、副作用がおこる恐れがあるため。
    ⇒陰部:ヘルペスや皮膚カンジダ症など感染症疾患と区別が難しいため。
  • 使用する面積はご自身の手のひら2〜3枚まで。
    ⇒患部の大きさが上記を超える場合は、疾患の程度がセルフメディケーションの範囲を超えていることが考えられますので、お医者さんに診てもらってください。
  • 患部以外に使わない、予防的に使わない。
  • アトピー性皮膚炎の方はお医者さんに相談。
    ⇒お医者さんの治療方針に基づいた投薬コントロールが必要です。

Q:ドラッグストアでは、どんなお薬を売っているのですか?

A:一般的にドラッグストアや薬局の皮膚コーナーでは、疾患別や部位別にいろいろな薬が販売されています。

疾患別に同じ棚に陳列されていますが、それぞれの薬をよく見ると、症状に合わせて、いろいろな種類の成分が配合されている、たくさんの薬があることに気がつきますね。原因がはっきりとわかっている場合は、薬選びもしやすかったりしますが、いつの間にかできてしまった湿疹については、その状態をよく見極めて、適切な処置をすることが大切です。皮膚トラブルや自分の症状に合わせた、最適な薬の選択を心がけましょう。

Q:湿疹・かぶれ・皮膚炎の薬にはどのような種類があるのですか?

A:代表的な薬として、ステロイド外用剤および非ステロイド性抗炎症外用剤があります。

■ ステロイド外用剤

  • ストロング(強い)タイプ
  • マイルド(中くらい)タイプ(アンテドラッグ含)
  • ウィーク(弱い)タイプ

■ 非ステロイド性抗炎症外用剤

代表的な湿疹・かぶれ・皮膚炎の薬の成分としてステロイドがあります。
ステロイド成分は、湿疹・かゆみ・皮膚炎に対して、様々な働きで作用して炎症の悪化を防いだり、炎症やかゆみを抑えることがわかってきました。

これと比較して非ステロイド外用剤は、主にプロスタグランジンなど炎症を促進する化学伝達物質の産生を抑制することで、炎症を鎮めると考えられていますので、作用的には、ステロイド成分よりも穏やかになります。

抗炎症効果の強さはステロイド外用剤が明らかに優れています。湿疹・皮膚炎の治療では、すみやかに症状を抑えることが症状を悪化させないポイントです。従って、治療の基本となるのはステロイド外用剤ということになります。

非ステロイド外用剤は、ウイルスや真菌などの感染が疑われたり、ステロイド外用剤が使えない場合に使用することがあります。

Q:ステロイド外用剤はどのように選べばよいのですか?

A:症状にあわせて、充分な強さのステロイド外用剤を選択します。

効果の不充分な薬剤を使ってもなかなか治らず、症状の悪化や治療の長期化、慢性化を招いてしまい、黒ずんだ湿疹の痕が残ってしまうこともあります。

そのため、充分な効果が得られる強さのステロイド外用剤を使用し、短期間できれいに治すことを目的とした治療が一般的です。

OTC医薬品ではウィークからストロングまでの3タイプの強さがありますが、中学生以上の場合には第一選択はストロングです。一方、肌への薬剤の浸透しやすさから、赤ちゃんにはウィーク、小学生未満の子どもにはマイルドがよいでしょう。セルフメディケーションの範疇の湿疹・皮膚炎であれば、ストロングステロイドを使えば1週間以内で治癒します。

Q:ステロイド外用剤は怖い薬ですか?

A:使用上の注意を守って使用すれば、心配ありません。

ステロイド外用剤は効き目の優れたお薬ですが、だから副作用が強いというわけではなく、使用上の注意を守って使用すれば、心配はありません。

ただし、以下の点に注意しましょう。

  • 広範囲に(大量に)使わない。
  • 長期間使用し続けない。
  • 感染を起こしている部位には使わない。

製品に入っている添付文書などにも詳しい説明がありますので、よく読んで使用しましょう。

Q:ステロイド外用剤はどのように使い分ければよいですか?

A:部位、剤形、使用する人の年齢などによって使い分けます。

ステロイド外用剤を使用する時に知っておきたいのが、部位による吸収率の違いです。ステロイド外用剤の皮膚からの吸収率は、塗布する部位によって大きく違ってきます。部位以外にも年齢や皮膚の状態によって吸収率が変わります。新生児や乳幼児は皮膚のバリア機能の形成が不充分であるため、薬剤が浸透しやすくなっています。

また、湿疹などで皮膚に傷がある、肌が乾燥している場合なども吸収率が高くなります。ステロイド外用剤は長期連用により副作用が発現することもありますが、特に吸収率の高い部位への使用は短期間にとどめ、漫然と使用することがないように注意してください。

Q:ステロイド外用剤の正しい使い方は?

A:適量を患部に塗ります。

ステロイド外用剤は、適量を、すり込まずに塗ること。炎症が起こっている患部にすり込むことは、さらなる刺激となり、症状を悪化させる原因となります。
また、たっぷりつけたからといって効果が高まるわけではありませんが、副作用を心配して少ししかつけないことが多いので、多少べとつくぐらいつけましょう。また逆に広げすぎたり、他のクリーム剤などと薄めては充分な効果が得られません。

具体的には、口径5mmチューブから、大人の人差し指の第一関節の長さくらいを出した場合、大人の手のひら2枚くらいの広さの患部に使用するのが適量です。これを“フィンガーチップユニット”と言い、ステロイド外用剤に限らず塗り薬一般の使用量の目安になるので、覚えておくとよいでしょう。※5gなど口径の小さいチューブの場合は多めに出してください。

監修

帝京大学医学部皮膚科 名誉教授

渡辺晋一先生

1952年生まれ、山梨県出身。アトピー性皮膚炎治療・皮膚真菌症研究のスペシャリスト。その他湿疹・皮膚炎群や感染症、膠原病、良性・悪性腫瘍などにも詳しい。東京大学医学部卒業後、同大皮膚科医局長などを務め、85年より米国ハーバード大マサチューセッツ総合病院皮膚科へ留学。98年、帝京大学医学部皮膚科主任教授。2017年、帝京大学名誉教授。帝京大学医真菌研究センター特任教授。2019年、『学会では教えてくれない アトピー性皮膚炎の正しい治療法(日本医事新報社)』を執筆。

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