よく使う手や指が乾燥すると、家事や仕事に支障が出てしまいませんか?「ハンドクリームを塗っているのに、すぐに乾燥してしまう…」といった方は、もしかしたら対策が間違っているのかもしれません。
カサカサの手指を放っておくとひび割れに発展することもあるので注意が必要です。手や指先が乾燥する時に考えられる原因について見ていきましょう。
考えられる皮膚トラブル
手湿疹、洗剤かぶれ
水仕事の多い主婦、理容師、美容師などに起こります。
指先や指の腹が赤くなったり、小さなブツブツができます。
悪化すると皮がむけて指紋が消えたり、ただれやひび割れを起こします。
皮膚掻痒症
発疹など目立った症状が見られないのに、かゆみだけがあります。
かいたところに炎症を起こし、二次的に湿疹などができることがあります。
かゆみだけですが、全身にかゆみが出る場合や、外陰部や肛門周囲、頭部など一部分にかゆみが出ることもあります。
アトピー性皮膚炎
左右対称にひじやひざの内側にできるのが特徴です。ひどくなると全身に広がります。
年齢(乳児期、幼小児期・学童期、思春期・成人期)によってできやすい部位や症状が変化します。多くは思春期前に軽快しますが、10~20%は成人後も継続します。
乳児期では頬にジュクジュクした発疹がでて顔全体に広がり、さらに体や手足にも広がります。
年齢とともに慢性化して、皮膚が厚くなり、粗くカサカサになった状態になります。強いかゆみを伴います。
季節的には、夏にジュクジュクし、冬は乾燥してカサカサする傾向があります。
指・手・腕の皮膚トラブルの対処・治療法
手の皮膚トラブルは、原因が排除できず長期化、慢性化するケースが多くみられます。
また、「手荒れはハンドクリームで治る」という誤った認識や「手荒れぐらいでステロイド剤を使うのは怖い」とのイメージもその要因の1つ。
かゆい、赤い、ブツブツといった症状は炎症なので、ステロイド外用剤を使用して一気に治すことが大切です。
炎症を抑えてから、保湿クリームなどで再発を予防しましょう。
治療にあたっての注意
- ステロイド外用剤は、年齢に合った強さ(ランク)のものを使用してください。ランクの低い薬を長期間使い続けることは、症状を長引かせ連用することにつながります。
- 患部以外や予防目的には使わないようにしましょう。
- 1週間で改善しない場合や症状が悪化したときは、炎症ではない別の疾患や原因が除去できていないことが考えられるので、その場合はお医者さんの診察を受けましょう。
監修
帝京大学医学部皮膚科 名誉教授
渡辺晋一先生
1952年生まれ、山梨県出身。アトピー性皮膚炎治療・皮膚真菌症研究のスペシャリスト。その他湿疹・皮膚炎群や感染症、膠原病、良性・悪性腫瘍などにも詳しい。東京大学医学部卒業後、同大皮膚科医局長などを務め、85年より米国ハーバード大マサチューセッツ総合病院皮膚科へ留学。98年、帝京大学医学部皮膚科主任教授。2017年、帝京大学名誉教授。帝京大学医真菌研究センター特任教授。2019年、『学会では教えてくれない アトピー性皮膚炎の正しい治療法(日本医事新報社)』、2022年『間違いだらけのアトピー性皮膚炎診療(文光社)』を執筆。