空気が乾燥しがちな冬は、肌トラブルも増える季節。
白い粉をふく、かゆみ、ブツブツとした湿疹が出るという場合は、乾燥肌が深刻な状態にまで進行してしまっているかもしれません。
Contents
乾燥しやすい部分は顔や手だけじゃない!?
脚のすねや背中などはもともと皮脂の分泌が少なく、乾燥しやすい部分。
普段は服で覆われていて気づきにくいですが、実は、かゆみやカサつきなどの症状が現れやすいのです。
乾燥肌は放置すると「炎症の悪化サイクル」におちいる!
乾いた肌はバリア機能が低下しているため、外からの刺激に敏感になってしまっている状態。
かゆみを感じやすくなり、つい掻いてしまうことで炎症を起こし、ブツブツとした湿疹が出てくることがあります。
この湿疹、「乾燥湿疹」と呼ばれる病気なのですが、「冬だから仕方ない」と放置されがちなので、寝ている間などにさらに掻いてしまい、掻きむしってしまうなど、さらに症状が深刻化してしまう方が多くいます。
この「炎症の悪化サイクル」におちいると、冬が終わっても傷あとが残るなど取返しのつかないことに。 そうなる前に、正しく対処することが必要なのです。
しっかりケアするにはステロイド軟膏が有効!
保湿クリームは薬ではないので、既に起きている炎症を治すことはできません。
かゆみやブツブツとした湿疹にまで進行している場合、ステロイド軟膏を使用し、炎症をイッキに治してしまいましょう。
また、患部を掻き壊しジュクジュクと化膿してしまっている場合は、抗生物質入りのステロイド軟膏がおすすめです。
ステロイド軟膏の上手な使い方
「ステロイドは、副作用が怖いから」と使用量を控えめにする方もいますが、正しく使用すれば副作用の心配はほとんどありません。
むしろ、少なすぎると効果が得られず悪化させてしまう場合もありますので「適量」を塗ることを心がけてください。
また、乾燥肌対策には日々の保湿も大切ですが、ステロイド軟膏と保湿剤を使い分けることが大切です。
2つを併用する場合は、乾燥のみの部分は保湿、かゆみや湿疹がある部位はステロイド軟膏と、別々に塗り分けるようにしましょう。
使用頻度の目安
症状が重い場合は1日3回、軽い場合は2回程度塗りましょう。 症状がおさまってきたら徐々に回数を減らしていきましょう。
また、皮ふの吸収率が高い顔や首は薬の効果が出やすいので、使用はなるべく短期間に留めるようにしましょう。
ステロイド軟膏を5〜6日使用しても改善しない、または悪化してしまう時は、他の原因や疾患の程度がセルフメディケーションの範囲を超えていることが考えられるので、すぐにお医者さんに診てもらいましょう。
まとめ
気づいた頃には乾燥肌が進行してしまっていた…なんてことにならないためには、早めのケアが大切です。
まずは日頃から保湿を徹底し、炎症を起こしてしまった場合はすぐにステロイド軟膏で治療する、ということを覚えておきましょう。
監修

帝京大学医学部皮膚科 名誉教授
渡辺晋一先生
1952年生まれ、山梨県出身。アトピー性皮膚炎治療・皮膚真菌症研究のスペシャリスト。その他湿疹・皮膚炎群や感染症、膠原病、良性・悪性腫瘍などにも詳しい。東京大学医学部卒業後、同大皮膚科医局長などを務め、85年より米国ハーバード大マサチューセッツ総合病院皮膚科へ留学。98年、帝京大学医学部皮膚科主任教授。2017年、帝京大学名誉教授。帝京大学医真菌研究センター特任教授。2019年、『学会では教えてくれない アトピー性皮膚炎の正しい治療法(日本医事新報社)』、2022年『間違いだらけのアトピー性皮膚炎診療(文光社)』を執筆。