『あせも(汗疹)』の原因・症状・治療法【症例画像】

あせも(汗疹)の症例画像


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画像提供:帝京大学皮膚科 名誉教授 渡辺晋一氏

あせも(汗疹)とは

  • あせもは、何らかの原因で汗の通り道がふさがれ、汗が皮膚の外に出なくなることによって、皮膚の中に汗がたまることで起こります。
  • 汗をかきやすく、蒸れやすい場所などにポツポツができ、かゆみや炎症を伴うこともあります。
  • 高温多湿になりやすい夏場によく見られます。
  • 汗をたくさんかきやすい乳幼児はもちろん、大人でもよく見られる症状です。
  • 医学的には「汗疹(かんしん)」と呼ばれます。

あせも(汗疹)の原因

  • 汗に含まれるミネラルや老廃物が汗の通り道をふさぐことで、汗をうまく排出することができなくなり、皮膚の内部にたまった汗がポツポツ(発疹)を形成します。
  • 行き場を失った汗が皮膚組織を刺激して炎症を起こし、赤みや強いかゆみが出ることもあります。

あせも(汗疹)ができやすい環境

あせもは、発汗量が多く、肌表面の通気性が悪い状態の時に起きやすくなります。

  • 高温多湿環境での運動
  • 湿布、包帯、絆創膏、ギプスによる蒸れ
  • 通気性の低い衣服の着用
  • 発熱時
  • 長時間同じ姿勢で座っているなど、汗のたまりやすい習慣
  • 汗をかきやすい体質や肥満体形

乳幼児の場合は身体の表面積は小さいものの、汗を分泌する汗腺の数が大人と変わらず、密集しているため汗をかきやすく、あせもがよく見られます。

あせも(汗疹)ができやすい部位

  • あせもは「首まわり」「ひじ・ひざの内側」「足の付け根」など、汗をかきやすく、蒸れやすい部位によく発生します。
  • 乳幼児の場合は、オムツで覆われている部分や、背中にもよく発生します。

あせものできやすい場所

あせも(汗疹)の症状

通常、汗腺でつくられた汗は真皮層にある「導管」という管を通って表皮に運ばれ、体外へと排出されます。あせもは、この汗の通り道のどこかが詰まることによって起きるのですが、「汗詰まり」が発生する深さによって、「水晶様汗疹」、「紅色汗疹」、「深在性汗疹」の3つのタイプに分けられています。深いところに「詰まり」が発生するほど、治りにくく、症状が重くなります。

1. 水晶様汗疹(白いあせも)

  • 水晶様汗疹(白いあせも)とは、最も浅い部位にできる汗詰まりのことです。
  • 直径数mmの透きとおった水ぶくれがポツポツと出る症状で、炎症によるかゆみや赤みはありません。
  • 見た目から「白いあせも」とも呼ばれています。
  • 皮膚の一番表面に近くにある汗の出口がふさがれ、角質層の中に汗がたまることによって起きます。
  • 新生児の顔面に出やすいが、大人でも発熱した時に出ることがあります。
  • 1~数日で自然に治ることが多いです。

2.紅色汗疹(赤いあせも)

  • 紅色汗疹(赤いあせも)は、やや深い部位にできる汗詰まりのことです。
  • 1~2mm大の赤いブツブツした発疹ができます。
  • 角質層よりも下層の表皮の中に汗詰まりが発生し、行き場をなくした汗が周辺の皮膚組織に染み出すことで炎症が起きます。
  • 炎症によって強いかゆみと赤みがあるのが特徴で、その見た目から「赤いあせも」とも呼ばれています。
  • 高温多湿の環境や、肥満している人、汗を大量にかきやすい人に多いです。
  • かゆみが強いため、掻きむしってジュクジュクした傷をつくりやすく、細菌感染を起こすこともあります。

3.深在性汗疹

  • 深在性汗疹は、表皮の最も深い部分にできる汗詰まりのことです。
  • 身体の外に汗を出せなくなるので、発汗すると赤みもかゆみもない青白いなだらかな盛り上がりができることが特徴です。
  • 発汗による体温調節が機能しなくなるので、熱中症の危険があるのですぐに医療機関の受診が必要です。
  • 主に亜熱帯地方に多い症状で、日本ではほとんど見られることはありません。

あせも(汗疹)を放置すると感染症になることもある

  • 「白いあせも」は、自然に治ることも多いのですが、炎症を伴う「赤いあせも」には要注意です。
  • 炎症が起きたまま時間が経つと、ブツブツの中心に膿が溜まる膿疱性汗疹に進行することがあります。
  • かゆみが強いため、掻きむしることでブツブツがつぶれて湿疹化しやすく、さらに細菌感染を起こすと、「とびひ(伝染性膿痂疹)」や「あせものより(多発性汗腺膿瘍)」に進行することもあります。
  • 「とびひ」はジュクジュクした傷に細菌が繁殖することで起きる感染症で、掻きむしっているうちに周囲に「飛び火」して広がります。
  • 「あせものより」は、あせもを放置し掻きむしることで、汗詰まりの部分に細菌が付着し、その細菌が導管の奥深くまで侵入することで、痛みのある「おでき(膿瘍)」ができます。重症になると周囲のリンパが腫れたり、微熱がでたりすることもあります。

痂皮性のとびひ(かさぶたができる)

水疱性のとびひ(水ぶくれができる)


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画像提供:帝京大学皮膚科 名誉教授 渡辺晋一氏

あせも(汗疹)と間違いやすい「汗かぶれ(汗あれ)」

  • あせもと間違いやすい症状に、「汗かぶれ(汗あれ)」があります。
  • 汗かぶれは、汗の水分によって皮膚がふやけ、そこに汗に含まれる塩分やアンモニアが浸透することで皮膚がかぶれたり、衣服による圧迫や繊維のこすれなどによって皮膚があれたりする肌トラブルで、「接触皮膚炎(接触性皮膚炎、かぶれ)」の一つです。
  • あせもは汗詰まりが原因なので、汗の出口にそって赤いブツブツができるのに対し、汗かぶれでは、発汗に異常はなく、汗と外的刺激が触れた部位全体に赤みとかゆみが出ます。
  • 乾燥などによって、皮膚のバリア機能が低下している人は、汗かぶれを起こしやすくなるため、スキンケアで保湿するなどして日ごろから皮膚の健康を保ちましょう。

汗によるかぶれとあせもの違い(出典 田辺三菱製薬)

あせも(汗疹)の対策・予防法

あせもは、身近な肌トラブルです。家庭でのスキンケアで予防し、軽症のあせもに対しては、市販の治療薬(OTC医薬品)でセルフケアしましょう。

あせも予防のポイント

1.皮膚のコンディションを整え、清潔に保つ

汗の詰まりを発生させないためには、肌を清潔に保つことが大切です。かいた汗をそのままにしておくことも、肌トラブルの原因になるので、汗をかいたらシャワー、入浴をしましょう。

2.通気性を良くする

衣服の素材を吸水性の良いものにしたり、ゴムやベルトで締め付けないようにしたり工夫をして、通気性を良くしましょう。同じ姿勢で長時間過ごすことも避けましょう。

3.住環境を工夫する

高温多湿の季節には、汗をかきやすく、かつ皮膚がベタベタして蒸れやすくなります。エアコンを活用し汗をかきすぎないようにしましょう。

あせも(汗疹)ができてしまったら…

  • あせもは放置すると、掻き壊して湿疹になったり、ひどいと細菌に感染して膿を持つようになったりして治りにくくなります。あせもを悪化させないためにも、症状に合わせてしっかりと対策をしましょう。
  • あせもの中でも、炎症を伴わない「白いあせも」のほとんどは、皮膚を清潔に保つスキンケアを続けることでほぼ改善します。亜鉛華単軟膏などの医薬品を使用する場合もあります。
  • 炎症を伴う「赤いあせも」の場合は、適切なケアをしないと悪化することがあるので注意が必要です。

赤いあせもは悪化する前に治療

  • 患部が赤くなり、かゆみがあるのは、皮膚の中で炎症が起きているからです。赤いあせもに対しては、ステロイド外用剤を使って、かゆみ、赤みのもとである炎症を抑えましょう。
  • 早くきれいに治すためのポイントは、なるべく早い段階で充分な効き目のあるステロイド外用剤を使い、掻き壊しを防ぐことです。
  • あせもは、無意識に掻き壊してしまうことがあります。掻き壊してジュクジュクした傷ができると、細菌が繁殖して化膿しやすくなります。掻き壊してジュクジュクしたあせもにも使える抗生物質を配合したステロイド外用剤を活用しましょう。
  • ステロイド外用剤には、主に軟膏タイプとクリームタイプがあります。クリームタイプのものは、さらっとして使いやすいのですが、やや刺激性があり、ジュクジュクした傷には使用できないので、化膿している時は、刺激の少ない軟膏タイプのものを選ぶようにしましょう。
  • ステロイド成分は、「副作用があるのでは?」と誤解されることがありますが、通常の使用によって重大な問題が起きることはほとんどありません。デリケートな部分や、赤ちゃん・子どもには、作用の弱いステロイド成分を使用することで治療することができます。

監修

天下茶屋あみ皮フ科クリニック 院長

山田貴博 先生

2010年名古屋市立大学医学部卒。NTT西日本大阪病院(現・第二大阪警察病院)にて初期臨床研修後、大阪大学大学院医学系研究科 神経細胞生物学講座助教として基礎医学研究に従事。阪南中央病院皮膚科勤務を経て、2017年天下茶屋あみ皮フ科クリニック開院。

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