皮脂欠乏症の症状・治療法

皮脂欠乏症とは

  • 皮脂欠乏症は、皮膚の表面にある脂分(皮脂)が減少して、皮膚が乾燥する病気です。
  • 皮膚がカサカサして厚くなったり、皮膚の表面がざらついたり、その一部がフケのようにぽろぽろと剥がれ落ちたり(落屑:らくせつ)、亀裂ができたりします。このように、皮膚が乾燥してカサついた状態を、「乾皮症(かんぴしょう)」と呼ぶこともあります。
  • 皮脂欠乏症は、中年以降のシニアに多い病気です。
  • 空気が乾燥する秋から冬に症状が出やすく、湿度の高い夏場は症状が軽くなります。
  • 乾燥によって違和感やかゆみを生じやすく、掻くと悪化して湿疹へと進行することがあり、乾燥湿疹などといわれることもあります。

皮脂欠乏症の原因

  • 皮脂欠乏症は、皮脂の分泌が不足することによって、皮膚が乾燥する病気です。
  • 正常な皮膚は、水分を蓄えた角質層、そしてその表面をコーティングしている皮脂(皮脂膜)の働きによって、皮膚から水分が蒸散するのを防ぎ、潤いを保ちます。これが“肌のバリア機能”です。
  • 加齢とともに皮脂の分泌が減ると、皮脂膜の働きが弱くなり、皮膚から水分が抜け出るため、次第に皮膚が乾燥します。
  • ひどい乾燥が続くと、角質層がひび割れて隙間ができ、そこからさらに水分が抜け出して症状が進行します。

皮脂欠乏症の症状

  • 皮膚が乾燥して白っぽくなったり、カサカサしたり、皮膚が厚くなったりして違和感を覚えるようになります。
  • 乾燥が続くと皮膚は厚くなり、白くなった角質がフケのようにぽろぽろと剥がれ落ちたり、亀の甲羅のように皮膚がひび割れたりします。
  • 手足やスネ、体幹部を中心に、比較的広い範囲に症状が現れます。
  • 乾燥によって肌のバリア機能が低下し、皮下の知覚神経が敏感になるため、かゆみやヒリヒリ感などの違和感を覚えるようになります。
  • さらに進行すると、皮膚の表面にさざ波状や網目状の細かいシワが刻まれ、赤み(紅斑:こうはん)が出るようになります。
  • かゆくて掻いてしまうと、それが刺激となり、炎症を伴う乾燥湿疹「皮脂欠乏性湿疹(ひしけつぼうせいしっしん)」へと進行することがあります。
  • いわゆる乾燥湿疹といわれる皮脂欠乏症の症状は、空気が乾燥する秋から冬に悪化しやすく、湿度の高い夏場は軽快する傾向があります。
  • 春から夏になっても症状が軽快しない、または悪化している場合は内科的な病気が影響している可能性があります。例えば、アトピー性皮膚炎や糖尿病などの病気、人工透析、一部の抗がん剤治療などによって、皮脂欠乏症のような皮膚の乾燥がみられる場合があります。

皮脂欠乏症の予防・対策

  • 皮脂欠乏症を予防するためには、正しいスキンケア習慣を身につけ、健康な皮膚を保つことが大切です。

正しい入浴方法

  • 洗浄力の強いボディーソープは皮膚に必要な皮脂まで除去してしまうため、使用は控えましょう。
  • ナイロンタオルなどで皮膚を強く擦ってしまうと、角質層を傷つけ、皮膚にダメージを与えてしまいます。皮膚に余計な刺激を与えないように、よく泡立てたボディーソープで包むようにやさしく洗いましょう。
  • 洗浄成分の洗い残しはかぶれの原因になります。洗い残しがないようによくすすぎましょう。

入浴後のスキンケア

  • 入浴後はタオルをやさしく押し当て、余分な水分をふき取りましょう。ゴシゴシと強く擦ってしまうと、皮膚を傷つけてしまうため、注意しましょう。
  • 入浴後の皮膚はふやけたような状態になっていて、刺激に対して非常にデリケートです。一見潤っているように見えても、外気に触れると一気に乾燥が進みます。皮膚がしっとりとしているうちに、保湿剤を塗って水分を逃がさないようにしましょう。

その他生活のなかで気をつけたいこと

  • 空気が乾燥すると、皮膚も乾燥しやすくなります。冬場やエアコンを使用している時は、加湿器などを使って部屋の乾燥を防ぐことが大切です。
  • アルコール・香辛料などの刺激物は、血行をよくして皮膚のかゆみを誘発します。過剰摂取を避けましょう。
  • 繊維の摩擦などの刺激によってかゆみが生じやすくなります。木綿など、刺激の少ない肌着・衣類を着用して、皮膚へのストレスを減らしましょう。
  • かゆいからといって、患部を掻いてしまうと、それが新たな刺激となって症状が悪化します。掻いたところから炎症が広がったり、感染を起こしたりすることもあるため、掻かないことが大切です。
  • かゆくて掻いてしまいそうな時は、皮膚科で適切な治療を受けましょう。

皮脂欠乏症の治療法

  • 初期の皮脂欠乏症に対しては、ワセリンなどの保湿剤で治療をします。ワセリンは、皮膚の水分の蒸散を防ぐとともに、皮脂膜の代用として用いることができ、外部の刺激から皮膚を守ってくれます。
  • ただし、乾燥が原因で強いかゆみが出ている場合は、患部に炎症が起きているサインです。乾燥が原因のかゆみに対しては、保湿剤を塗るだけでは不充分なので、ステロイド外用剤に切り替え、かゆみの元となる炎症をしっかりと抑えて治療する必要があります。かゆみに加えて、赤みを伴う湿疹が出ている時も、充分な強さのステロイド外用剤を塗って、すみやかに炎症を抑えましょう。

こんな時は受診を

  • 赤みやかゆみなどの炎症を伴わない、初期の皮脂欠乏症であれば、保湿などの正しいスキンケア習慣を続けることで、たいてい自然によくなります。
  • 強いかゆみが出る、症状が長引いている場合や、ステロイド外用剤を5~6日間使用しても症状が改善しない、あるいは悪化している場合は、すぐに皮膚科を受診しましょう。

監修

帝京大学医学部皮膚科 名誉教授

渡辺晋一先生

1952年生まれ、山梨県出身。アトピー性皮膚炎治療・皮膚真菌症研究のスペシャリスト。その他湿疹・皮膚炎群や感染症、膠原病、良性・悪性腫瘍などにも詳しい。東京大学医学部卒業後、同大皮膚科医局長などを務め、85年より米国ハーバード大マサチューセッツ総合病院皮膚科へ留学。98年、帝京大学医学部皮膚科主任教授。2017年、帝京大学名誉教授。帝京大学医真菌研究センター特任教授。2019年、『学会では教えてくれない アトピー性皮膚炎の正しい治療法(日本医事新報社)』を執筆。

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