デリケートゾーン・陰部の『かゆみ』の原因は?対処法、ケア方法を解説


「デリケートゾーン」は医学用語ではなくはっきりした定義はありませんが、陰部とその周辺を指しています。「デリケートゾーンがかゆくてつらい」と悩んでいても、誰にも相談できない人も多いのではないでしょうか。今回はデリケートゾーンのかゆみの原因や対処方法、かゆみを予防する正しいケア方法を解説します。

デリケートゾーン・陰部のかゆみの原因は?

陰部周辺のデリケートゾーンは男女ともに繊細で、少しのきっかけでかゆみなどのトラブルが起きます。例えば、尿・便・汗による刺激のほか、衣服によるこすれ、汗による蒸れなどで起こる「かぶれ」を原因とするものがよく見られます。

かぶれによるかゆみ

自身の排泄物や生理用品・下着に触れることが刺激となり、デリケートゾーンの粘膜や皮膚がかぶれて炎症が起き、かゆみ症状が出ます。医学用語では、かぶれのことを「接触皮膚炎(せっしょくひふえん)」といいます。

デリケートゾーンはもともと皮膚が薄く、常に下着や衣服で覆われています。そのため、高温・多湿の環境下になり、排泄物に含まれる成分やこすれなどの刺激に対して敏感になります。

男性の場合は下着に圧迫される部位に症状が出やすくなりますが、女性の場合はさらに生理用品による蒸れとこすれ、ガードルなどの補正下着による締め付けでもかゆみ症状が起きやすくなります。炎症を生じるのでかゆみだけでなく、赤みも出ます。



かぶれ以外のデリケートゾーンにかゆみを引き起こす疾患

  • 性器カンジダ症
    カンジダというカビが寄生して起こる感染症です。男性の多くは無症状ですが、女性では腟から白く濁った(酒かす状、かゆ状、ヨーグルト状、カッテージチーズ状のような)おりものが出て、かゆみ症状がでることがあります。カンジダは健康な人でも常在菌として存在しています。しかし、免疫力が低下すると繁殖が盛んになり、不快な症状を引き起こすことがあります。
  • 性器ヘルペス
    単純ヘルペスウイルスに感染することで起こります。陰部の粘膜やそのまわりの皮膚にかゆみや「水疱(水ぶくれ)」、「ただれ(びらん)」などの症状が出ます。性行為のほか、ウイルスのついた便座、タオルなどの共用などで感染することがあります。一度感染するとウイルスを完全に除去することはできず、ストレスなどによって免疫力が低下すると身体の奥に潜んでいたウイルスが活性化し、再発します。男性の場合、症状は軽いことが多いですが、女性の場合は強い痛みを伴うことがあり、入院が必要なこともあります。
  • 腟トリコモナス症
    「腟トリコモナス」という原虫(微生物)による感染症です。男性の多くは無症状ですが、女性に感染すると悪臭のあるおりものが出て、陰部にかきむしりたくなるようなかゆみが生ずることがあります。性行為で感染するほか、タオルやシーツの共用で感染することがあります。
  • いんきんたむし(股部白癬)
    白癬菌という真菌(カビ)の一種が股間周辺の皮膚に寄生して起こります。男性に多く、股の間や臀部、太ももの付け根を中心に、かゆみのある円形の発疹が現れます。かつては中学生や高校生の運動部の生徒に多かったのですが、最近は運動後にシャワーを浴びるなどの習慣が行き届いてるため、ほとんどみられません。ただし高齢者で水虫がある人が、清潔にしていないため股部白癬になることがあります。


デリケートゾーンのかゆみの対処法

デリケートゾーンのかゆみの対処法は、かゆみの原因がかぶれによるものか、感染症によるものかで大きく異なります。感染症によるかゆみがある時は医療機関を受診し、感染症そのものに対する治療が必要になります。

一方、明らかにかぶれによってかゆみが出ている場合は、市販のOTC医薬品を使ってセルフケアすることもできます。

かぶれによる炎症がなく、ムズムズする不快感が気になる程度であれば、ステロイド成分の入っていないデリケートゾーン用の塗り薬でもかまいませんが、かぶれによる炎症があり、かゆみや赤みがひどい場合は炎症を抑える働きのあるステロイド外用剤を使用して炎症を抑える治療が必要です。

ステロイド外用剤の強さのランク


市販のステロイド外用剤には、作用の強い順に「ストロング」「マイルド」「ウィーク」があります。通常、大人の場合はストロングランクを使用しますが、デリケートゾーンは皮膚が薄く、ステロイド成分を吸収しやすいため、1つ弱いランクの「マイルド」ランクのステロイド外用剤を使用しましょう。ステロイド外用剤を塗る時は粘膜部分を避け、かゆみ症状のある部位だけに塗りましょう。

デリケートゾーンのかゆみで医療機関を受診する目安

デリケートゾーンのかゆみ以外に、水ぶくれやただれ、痛み、おりものの異常などがある場合は感染症の疑いがあります。その他、複数のパートナーと性交渉がある人や身近に感染症にかかった人がいる場合は、感染症のリスクが高いため、医療機関を受診しましょう。

かぶれによるかゆみだと思って、ステロイド外用剤を5~6日間使用しても症状が改善しない、または悪化している場合はステロイド外用剤の使用を中止し、医療機関を受診してください。

デリケートゾーンのかゆみを予防する方法

かぶれによるデリケートゾーンのかゆみは正しいスキンケアで予防できます。デリケートゾーンは蒸れやすく、雑菌が増殖しやすい環境なので、毎日の入浴で清潔を保ちましょう。デリケートゾーンを洗う時は弱酸性のソープを使用し、よく泡立ててから泡で包むようにやさしく汚れを落としましょう。

ほかにも、一日を通して通気性のいい下着を身につけることも大切です。女性の場合はおりものシートや生理用品による蒸れやこすれが原因でかゆみが起きることもあります。自分の肌にあった製品を選び、こまめに交換するようにして、常に清潔に保つようにしましょう。

監修

帝京大学医学部皮膚科 名誉教授

渡辺晋一先生

1952年生まれ、山梨県出身。アトピー性皮膚炎治療・皮膚真菌症研究のスペシャリスト。その他湿疹・皮膚炎群や感染症、膠原病、良性・悪性腫瘍などにも詳しい。東京大学医学部卒業後、同大皮膚科医局長などを務め、85年より米国ハーバード大マサチューセッツ総合病院皮膚科へ留学。98年、帝京大学医学部皮膚科主任教授。2017年、帝京大学名誉教授。帝京大学医真菌研究センター特任教授。2019年、『学会では教えてくれない アトピー性皮膚炎の正しい治療法(日本医事新報社)』、2022年『間違いだらけのアトピー性皮膚炎診療(文光社)』を執筆。

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