金属アレルギー、金属かぶれの症状・治療法【症例画像】

イヤリングによる金属かぶれの症例画像


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金属アレルギー、金属かぶれとは

  • 金属かぶれとは、特定の金属に対するアレルギー(金属アレルギー)によって、その金属に触れたり、その金属を含む食べ物を身体に取り込むことによって起きるアレルギー症状の総称です。
  • 金属によるアレルギーは、「金属に直接触れることで皮膚がかぶれるタイプ」と、「全身に症状が出るタイプ」の2つのタイプがあります。
  • 金属に直接触れることで皮膚がかぶれるタイプの金属かぶれは、金属製のアクセサリーやベルトのバックル、金属を使用した染料で染めた装身具や衣類、および化粧品など、金属を使った製品に触れた部位に一致して皮膚にかぶれの症状が現れる病気です。また汗をかかないと症状は出にくく、汗をかきやすい夏や運動した後に生じやすいのが特徴です。
  • 全身に症状が出るタイプは稀で、原因となる金属を食品や歯科材料などを介して身体の中に取り込むことで起きるアレルギー症状で、症状の出方は様々です。
  • いずれのタイプの金属かぶれであっても、原因となる金属を避けることによって、ある程度症状をコントロールできます。
  • 金属かぶれの症状は時間が経過してから現れることもあるので、原因となる金属を自分で特定することは困難です。気になるときは医療機関でパッチテストを受けましょう。

原因

  • 金属かぶれは、ピアスやネックレスなどのアクセサリーやベルトのバックル、革製品、装身具、衣類、化粧品などに含まれる金属が、汗などの体液に触れることで溶け出し、体内に吸収されることで起こります。
  • 金属の体内への侵入経路は、皮膚表面に限らず、呼吸器や消化器、全身の粘膜を介することもありますが、稀です。
  • 金属に対するアレルギー反応は、①「感作(かんさ)」と②「誘発(ゆうはつ)」の2つのプロセスによって起こります。
  1. 「感作」…金属は汗に触れると陽イオン化し、体内に入り込みます。イオン化した金属は、身体の中のタンパク質と結合して「金属タンパク複合体」になり、免疫細胞によって異物として記憶されます。免疫細胞は、次に同じ異物が体内に侵入してきたときに、すぐに攻撃できるように備えます。
  2. 「誘発」…感作された物質が体内に再び入ってくると、過剰な免疫反応が起こり、様々なアレルギー症状を引き起こします。感作された物質であれば、たとえ微量であっても強いアレルギー反応が起きることもあります。
  • 金属かぶれは、全ての人がなるわけではなく、触れる金属の種類とその人の体質などの条件によって発症します。金属に触れる機会が多かったり、金属をつけたままスポーツをしたり、高温多湿の環境にいて汗をかくことが多かったりすると発症しやすくなります。
  • 私たちの身の回りには、様々な金属がありますが、汗によって溶けやすい金属ほど、体内に取り込まれやすく、アレルギーを引き起こしやすいことがわかっています。特に、ニッケル、コバルト、クロムの3つは三大原因金属とも呼ばれ、汗に含まれる塩素イオンに反応してイオン化しやすく、体内に移行して金属アレルギーを引き起こしやすい物質です。

金属アレルギーの三大原因金属

 原因金属 使われているもの
ニッケル イヤリング、ネックレスなどのアクセサリー、ベルトのバックル、ニッケルメッキ、硬貨、塗料など
コバルト メッキ、塗料、硬貨、青色系染料、顔料、化粧品、セメント、乾燥材など
クロム メッキ、インク、塗料、革製品のなめし剤
  • 歯科で使われるブラケット(矯正装置)、詰め物、インプラントなどに含まれる金属もアレルギーの原因となることがあります。歯科材料が原因で起きる金属アレルギーの症状は「歯科金属疹」(しかきんぞくしん)とも呼ばれます。水銀、ニッケル、スズ、コバルト、クロム、パラジウム、白金、銅、亜鉛、金などによるアレルギーが知られています。
  • ごく稀に、骨接合金属や血管内ステントなどの医療用体内埋め込み金属もアレルギーを引き起こすことがあります。
  • 純度の高いチタン、ジルコニウム、サージカルステンレス、プラチナ(PT900~1000)はイオン化しにくい特性があるため、アレルギーを引き起こしにくい金属です。ただし、これらの金属を製品として加工する際は、他の金属との「合金」として使用することが多いため、混合された金属によってアレルギーを引き起こすことがあるので注意が必要です。

症状

  • 金属アレルギーの症状の出方には、金属が直接肌に触れてかぶれを引き起こすタイプと、金属が食品や歯科材料を介して体内に入り、全身の色々な部位に皮疹が出るタイプの2つがあります。
  • 皮膚がかぶれるタイプ…原因となる金属を使った製品に触れた部位に一致して皮膚に赤みやかゆみ、ブツブツなどのかぶれの症状が現れます。このように、特定の物質に触れることによって皮膚がかぶれることを、医学的には接触皮膚炎と呼び、金属アレルギーによるかぶれも接触皮膚炎の一種です。金属は汗や体液に触れることで溶け出すため、汗をかく状況や、ピアスホールなど金属が体液に触れる状況でアレルギーを発症しやすくなります。
  • 全身に症状が出るタイプ…一度感作された原因金属を、口から体内へと吸収することによってアレルギー反応が起き、身体の広い範囲に赤み、かゆみ、ブツブツなどの皮膚症状を引き起こします。チョコレート、ココア、豆類、香辛料、貝類、胚芽に含まれる微量の金属によっても強いアレルギー症状が現れることがあります。医学的には、金属に直接触れた箇所がかぶれるタイプと区別するために、「全身性接触皮膚炎」と呼びます。
  • 歯科材料に含まれる金属に対するアレルギー反応としては、口の中がただれたり、全身にザラザラしたブツブツを伴う赤紫の色斑が出たり、足の裏もしくは手のひらに水ぶくれや膿疱(白い膿の入った袋)がたくさんできることがあります。

治療・予防法

  • 金属かぶれかどうかの判断は主にパッチテスト(金属をしみこませたフィルムを皮膚に貼ってアレルギーの有無を判定するテスト)の検査結果をもとに医師が診断します。気になる症状があるときは、医療機関で検査を受けましょう。
  • 特定の金属が一度感作されてしまうと、金属によるアレルギー自体は治療することはできません。ただし、原因金属がわかっているときは、それらに触れたり口から取り込んだりすることを避けることによって、ある程度症状をコントロールすることができます。
  • アレルギー反応による赤みやかゆみ、ブツブツなどの皮膚症状に対しては、充分な強さのステロイド外用剤で炎症を抑え、症状を抑えます。

こんなときは医療機関へ

以下のような症状があるときは、医療機関を受診しましょう。

  • ステロイド外用剤を一週間程度使用しても症状が治まらなかったり、何度も発症を繰り返すとき
  • 手のひら2~3枚分を超えて広範囲に皮膚症状がでているとき
  • 水ぶくれができた場合や、かゆみ、痛みがひどい場合
  • 稀に、アナフィラキシーショックという重篤な症状に陥ることがあります。皮膚症状以外に、息苦しさ、めまい、吐き気などの症状が現れた場合は、すみやかに医療機関を受診する必要があります。

予防法

  • 金属かぶれは誰でも発症するリスクがあります。金属かぶれにならないためには、金属アレルギーを引き起こしやすい金属に頻繁に触れないように心がけましょう。眼鏡や時計など、肌につけて使用する日用品は、チタン製やニッケルフリーのものを選ぶとよいでしょう。アクセサリーも、イオン化しやすいメッキ製品は避け、純度の高いプラチナや金を選ぶと比較的安全です。
  • 夏場や運動時など、汗をかきやすい状況では金属を身につけないようにすることも大切です。
  • 金属が体液に触れやすいピアスは、金属アレルギーを引き起こしやすいので要注意です。ピアスを開ける場合は、医師の指示に従うこと、ピアスホールが安定するまでは、チタン製あるいは金属以外の素材のものを使用することが大切です。
  • 入れ歯やインプラント、歯の詰め物は、金属かぶれの発症につながることがあります。口腔ケアを習慣づけ、虫歯にならないようにしましょう。
  • もし金属かぶれになってしまった場合は、原因金属を避けることが一番の発症予防になります。医師の指導のもと、身の回りの金属製品や微量の金属を含む食品に注意を払って生活しましょう。

監修

帝京大学医学部皮膚科 名誉教授

渡辺晋一先生

1952年生まれ、山梨県出身。アトピー性皮膚炎治療・皮膚真菌症研究のスペシャリスト。その他湿疹・皮膚炎群や感染症、膠原病、良性・悪性腫瘍などにも詳しい。東京大学医学部卒業後、同大皮膚科医局長などを務め、85年より米国ハーバード大マサチューセッツ総合病院皮膚科へ留学。98年、帝京大学医学部皮膚科主任教授。2017年、帝京大学名誉教授。帝京大学医真菌研究センター特任教授。2019年、『学会では教えてくれない アトピー性皮膚炎の正しい治療法(日本医事新報社)』を執筆。

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