『毛虫』に刺されたらどうする?症状、対処、予防法を解説

野外でのレジャーやガーデニングが楽しめる季節になると、毛虫に遭遇する機会が増えます。毛虫の一部には、身体に有毒な毛(毒針毛:どくしんもう 、毒棘:どくきょく)を持つものがあり、これらに直接触ったり、風で飛ばされてきた毛に触れたりすることで、皮膚に痛みやかゆみを伴う湿疹が現れることがあります。毛虫に刺された時はどうすればよいのか、毛虫による虫刺されの症状や対処法、予防方法を解説します。

毛虫皮膚炎とは

毛虫皮膚炎とは、蝶や蛾の幼虫が持つ有毒な毛(毒針毛:どくしんもう 、毒棘:どくきょく)に触れることによって起こる皮膚の炎症のことです。毛虫皮膚炎は、毒を持つ毛虫に直接触れることでも起こりますが、直接触れていなくても、毛が付着した葉や枝に触ったり、風に飛ばされてきた毛に触れたりすることで、皮膚炎を起こす場合もあります。また、毛虫の抜け殻や死骸などにも、有毒な毛が付着しており、触れるだけでも皮膚炎になることがあるため注意が必要です。

毛虫皮膚炎を起こす毛虫の種類

日本では、約300種類の蝶と約5000種類の蛾が生息しており、それらの幼虫の中で、毛を持つタイプの幼虫のことを一般的に「毛虫」と呼びます。しかし、毛虫のすべてが毒を持っているわけではなく、皮膚炎を起こす有毒な毛を持つ蝶や蛾は50種類程度といわれています。ここでは、日常的に遭遇しやすい毛虫について解説します。

  • ドクガ類…有毒毛を持つ毛虫です。代表的な種類は、ドクガ、チャドクガ、モンシロドクガなどがいます。長さ0.1~0.2mmほどの小さな釘状の毒針毛が、1匹あたり数十万~数百万本も密集して生えています。触れてから数時間~1,2日経過した後、赤みや強いかゆみを伴う発疹が出ます。ドクガ類はツバキ、サザンカなどを好むため、これらの木が多い公園や庭などでの被害が多く報告されています。また、チャドクガの幼虫は5~6月と8~9月に出現します。
  • イラガ類…毒棘を持つ毛虫です。日本には17種類のイラガ類の幼虫が生息しており、すべて有毒です。代表的なものとしては、イラガ、ヒメクロイラガ、ナシイラガなどがいます。イラガ類の毒棘が皮膚に刺さると、毒液が注入され、刺された瞬間に激しい痛みと赤み・腫れを伴う皮膚炎を生じます。カキノキ、サクラ、ナシ、クリ、カエデなどを好みます。また、イラガの幼虫は7~10月に出現します。

これらの毛虫は、意外にも街路樹や庭木など、私たちの生活エリアに生息しています。都心部でも被害にあうことがあるので注意しましょう。

毛虫皮膚炎の症状

毛虫の有毒毛に触れた部位を中心に、皮膚にピリピリとした痛みや赤み、蕁麻疹のようなブツブツが出現します。毛虫による皮膚炎は、くび筋や腕など、衣服で覆っていない部分を中心に発生するのが特徴です。

毛虫の有毒毛には、一本一本が小さく、密集して生える「毒針毛」と身体の表面に鋭い棘として出ている「毒棘」の2種類があり、どちらに触れたかによって症状の出方に違いがあります。毒針毛を持つ毛虫に刺された場合は、刺された直後は無症状であることがほとんどで、数時間たってから皮膚に炎症が起き、赤みや腫れ・ひどいかゆみなどの症状が出ます。患部を掻いたり擦ったりすると、毒針毛が他の部位に広がって、広範囲に皮膚症状が出ることがあります。一方、毒棘を持つ毛虫に刺された場合は、刺さった瞬間に激しい痛みを感じるのが特徴です。

ドクガ類の場合は、刺された直後に皮膚に突然強いかゆみを伴う赤い膨疹(皮膚の盛り上がり)が現れる「即時型反応」と、1~2日後に皮膚に丘疹(ブツブツ)が現れる「遅延型反応」に分けられます。これらの皮膚炎は、毛虫の毒成分に対するアレルギー反応によって起きるため、症状の出方には個人差があります。

毛虫皮膚炎の対処法

毛虫に刺されたら、患部を掻いてはいけません。刺されたところを掻いたり、擦ったりすると、毛虫の毒毛が他の部位に移動して症状が広がり、悪化します。刺されたことに気付いたら、患部に素手で触れないように気をつけながら、ガムテープなどの粘着テープを使って、付着した毒毛を取り除きましょう。流水と石鹸で患部をよく洗い流すのもよいでしょう。毛虫による皮膚炎は、かゆみや炎症が強く、掻くことによって悪化しやすいため、毒毛を取り除いたら市販のステロイド外用剤を塗ってしっかりと治療します。

市販のステロイド外用剤は、充分な強さのものを使用します。中学生以上~大人なら「ストロング」ランクのステロイド外用剤を塗って経過をみましょう。

幼児~小学生の子どもが毛虫に刺された時は、「マイルド」ランクを、2才未満の赤ちゃんは「ウィーク」ランクのステロイド外用剤を塗って治療します。ただし、小さな子どもや赤ちゃんの場合は大人に比べて症状が強く出る傾向があります。小さな子どもや赤ちゃんが毛虫に刺された時は、症状をよく観察し、心配な時は皮膚科を受診しましょう。

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毛虫皮膚炎で病院に行く目安

ステロイド外用剤を5~6日使用しても症状が改善しない、または悪化している時は医療機関を受診しましょう。小さな子どもや赤ちゃんが毛虫に刺された場合は、大人に比べて症状が強く出る傾向があるうえに、我慢することができずに患部を掻いてしまって、悪化させてしまう場合もあるため、病院を受診しましょう。

ごく稀に、毛虫に対する重篤なアレルギー反応が起こることがあります。毛虫に刺された後、もしも頭痛や吐き気、めまいなどの全身症状が現れた場合、患部と離れた部位にも蕁麻疹のような症状が現れた場合はすみやかに医療機関を受診してください。

毛虫皮膚炎の予防法

毛虫皮膚炎を予防するには、有害な毛虫に近づかないことが大切です。庭や公園などでツバキやサザンカに毛虫が発生していないかよく確認し、発生していた場合は近づかないようにしましょう。たとえ直接毛虫に触れなくても、毛虫が枝葉から落ちてきたり、毒毛が飛んできたりして被害に遭うことがあります。

緑の多い環境でのレジャーやガーデニングを楽しむ時は、長袖・長ズボン、軍手、帽子、スカーフなどを着用し、肌の露出を控え、毛虫に刺されないようにすることも大切です。自宅の庭に、毛虫が発生しやすい樹木がある場合は、あらかじめ剪定や薬剤散布により毛虫を駆除することも予防に有効です。

監修

帝京大学医学部皮膚科 名誉教授

渡辺晋一先生

1952年生まれ、山梨県出身。アトピー性皮膚炎治療・皮膚真菌症研究のスペシャリスト。その他湿疹・皮膚炎群や感染症、膠原病、良性・悪性腫瘍などにも詳しい。東京大学医学部卒業後、同大皮膚科医局長などを務め、85年より米国ハーバード大マサチューセッツ総合病院皮膚科へ留学。98年、帝京大学医学部皮膚科主任教授。2017年、帝京大学名誉教授。帝京大学医真菌研究センター特任教授。2019年、『学会では教えてくれない アトピー性皮膚炎の正しい治療法(日本医事新報社)』、2022年『間違いだらけのアトピー性皮膚炎診療(文光社)』を執筆。

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