『乾癬(かんせん)』の原因・症状・治療法【症例画像】

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乾癬(かんせん)とは

  • 乾癬とは、皮膚の炎症とともに、角質層が厚く、硬くなる病気で「炎症性角化症(えんしょうせいかくかしょう)」の一種です。
  • 皮膚が赤くなって(紅斑[こうはん])硬く盛り上がり(肥厚[ひこう])、さらにその上に、銀白色のうろこ状のかさぶた(鱗屑[りんせつ])がたくさんできて、ポロポロとはがれ落ちます。
  • かゆみがない場合もありますが、患者の約50%にはかゆみの自覚症状があります。
  • 難治性疾患で、症状の軽快と悪化を繰り返します。
  • 青年期~中年の男性に比較的多く発症します。
  • 「かんせん」という呼び名ですが、感染症ではないため、人から人へうつることはありません。
  • 乾癬は症状によって以下の5つの種類に分類されます。

尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)

乾癬の代表的な病気で、乾癬全体のほぼ90%をしめます。

乾癬性関節炎(かんせんせいかんせつえん)

関節症性乾癬(かんせつしょうせいかんせん)ともいいます。乾癬の影響によって、関節部分の腫れや痛み、こわばりなどの関節炎の症状が現れます。乾癬患者の約3~10%にみられます。

滴状乾癬(てきじょうかんせん)

扁桃腺炎や薬剤の影響が引き金になって、全身に水滴のような丸く小さい発疹が現れます。乾癬全体の約4%をしめ、子どもや若い人が発症しやすい病気です。

乾癬性紅皮症(かんせんせいこうひしょう)

尋常性乾癬が全身に広がって、身体全体が赤くなった状態です。非常に稀な病気です。

膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん)

汎発性膿疱性乾癬(はんぱつせいのうほうせいかんせん)ともいいます。発熱や悪寒とともに、膿の溜まった発疹(膿疱)がたくさん現れます。膿疱はすぐに潰れて潰瘍になります。非常に稀な病気で難病に指定されています。

  • 医療機関での診断・治療が必要な病気です。根本的な治療法は確立されていませんが、専門医の適切な治療を受けることによって、症状を緩和したり、発症を防いだりすることができます。

原因

  • 乾癬になると、皮膚は厚みを増して硬く、うろこ状のかさぶたになり、毎日ポロポロとはがれ落ちるようになります。これは、何らかの原因によって免疫系が異常をきたすことで、正常な皮膚のおよそ10倍の速さで皮膚の細胞が増殖し、ターンオーバーを繰り返すためです。
  • 乾癬の根本的な原因はいまだ完全に解明されていませんが、もともと生まれ持った「遺伝的要因」に、「環境要因」が加わることで発症すると考えられています。
  • 環境要因には、「内的要因」と「外的要因」があります。

 

  1. 内的要因…肥満、妊娠・出産、高脂血症、糖尿病、睡眠不足、ストレスなど、身体の中で起きる変化が発症の引き金になります。
  2. 外的要因…外傷や日焼けなどの皮膚への物理的刺激、皮膚の乾燥、食べ物、気候の変化、感染症、薬剤の影響などが発症の引き金になります。

症状

  • 境界線のはっきりした円形の赤み(紅斑[こうはん])を伴いながら、皮膚が分厚く盛り上がり(肥厚)、銀白色のうろこ状のかさぶた(鱗屑)になってはがれ落ちます。
  • 銀白色のうろこを無理にはがすと、点状の出血がみられます。
  • 病変の数はさまざまで、複数の病変がくっついて大きくなることがあり、稀に症状が全身に広がることもあります。
  • 尋常性乾癬の約50%はかゆみを伴い、入浴、アルコール、辛い食べ物などで身体が温まるとかゆみが起きやすくなります。
  • 症状のない場所でも、圧迫したり、擦ったりするなどの刺激が加わることで、新たに乾癬の症状が現れます。そのため、乾癬は、ひじ、ひざなどの関節周辺や、腰回り、おしり、頭部、髪の生え際など、日常的に刺激が加わりやすい部位にできます。
  • 乾癬の中には、爪の変形や関節炎を伴うものもあります。

治療法

  • 乾癬は専門医による診断と治療が必要です。「乾癬かな?」と思う症状が現れた場合や、乾癬の症状が悪化した場合は、専門医を受診しましょう。
  • 乾癬に対する根本的な治療法はまだ確立されていませんが、専門医が適切な治療を行うことによって、症状が出ないようにコントロールします。
  • 主な治療法は、「外用療法」「光線療法」「内服療法」「生物学的製剤」の4つです。

外用療法

皮膚の炎症を抑える「ステロイド外用剤」や皮膚の異常な増殖を抑える「活性型ビタミンD3外用剤」などの塗り薬を用いた治療法です。

光線療法

治療用の紫外線を患部または全身にあてて、免疫系の過剰な働きを抑える治療法です。紫外線に反応する特殊な薬剤を内服あるいは塗布した上で、治療用紫外線を照射する方法もあります。十分な効果をえるためには、治療期間中は定期的に通院して照射を受ける必要があります。

内服療法

乾癬の症状を抑えるレチノイドやシクロスポリン、メトトレキサートなどの飲み薬による治療です。かゆみ症状が強い場合はかゆみを抑える抗ヒスタミン薬を、関節痛などの痛みがある場合は消炎鎮痛剤を併用して症状を緩和します。

生物学的製剤

生物学的製剤は化学的に合成した薬ではなく、生体の中で抗体ができる仕組みを利用して作った新しいタイプの薬です。注射もしくは点滴によって炎症や免疫異常に関係する物質に働きかけることができます。
生物学的製剤による治療は、外用療法・光線療法・内服療法が効かない患者に対して行われます。この治療を開始できるのは、日本皮膚科学会から生物学的製剤使用を許可された施設のみです。

  • 専門医は患者の状態やライフスタイルに合わせて、これらの4つの治療法を単独で、もしくは併用して治療を進めます。
  • 乾癬の発症・悪化には、日常的なストレスや食生活の乱れも関係していることがあります。乾癬の治療では、医師の指導のもと、日々の生活習慣を見直すことも大切です。
  • 皮膚が乾燥すると乾癬が悪化しやすくなるため、乾燥しやすい季節には、保湿剤によるスキンケアを心がけましょう。
  • 乾癬は、何かのきっかけで発症を繰り返しやすい病気です。一度よくなったと思っても、自己判断で治療を中断せず、専門医の指導に従って適切な治療を受けましょう。

監修

帝京大学医学部皮膚科 名誉教授

渡辺晋一先生

1952年生まれ、山梨県出身。アトピー性皮膚炎治療・皮膚真菌症研究のスペシャリスト。その他湿疹・皮膚炎群や感染症、膠原病、良性・悪性腫瘍などにも詳しい。東京大学医学部卒業後、同大皮膚科医局長などを務め、85年より米国ハーバード大マサチューセッツ総合病院皮膚科へ留学。98年、帝京大学医学部皮膚科主任教授。2017年、帝京大学名誉教授。帝京大学医真菌研究センター特任教授。2019年、『学会では教えてくれない アトピー性皮膚炎の正しい治療法(日本医事新報社)』、2022年『間違いだらけのアトピー性皮膚炎診療(文光社)』を執筆。

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