『ケロイド』の種類と症状、原因、治療法

ケロイドとは

  • ケロイドとは、一般的に皮膚にできた切り傷ややけど、ひどい湿疹が治る過程で、その傷痕の細胞が過剰に増え、赤く盛り上がってできる「瘢痕(はんこん)」のことをいいます。
  • 医学的には長期にわたって症状が続いて治療が困難な「真性(しんせい)ケロイド」と、治療に対する反応性がよく次第に盛り上がりが落ち着いていく「肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)」の2つの病態があります。
  • 皮膚は多少傷がついても自然治癒し、ほとんど元の状態に戻ります。この傷が治る過程のことを「創傷治癒(そうしょうちゆ)」といいます。真性ケロイドや肥厚性瘢痕では、何らかの原因によって創傷治癒の過程が長引き、皮膚を形作る「コラーゲン」などの繊維や血管などの組織が異常に増えることで、傷痕が赤く盛り上がるようになります。
  • 傷痕が赤く盛り上がる見た目の問題や患部のひきつれによる動きづらさ、圧痛、かゆみなどの不快な症状を伴うケースもあります。

ケロイドの種類と症状

  • ケロイドには、真性ケロイドと肥厚性瘢痕という病態の異なる2つの疾患が含まれます。一般的にはこの2つを総称して「ケロイド」と呼ぶ人もいますが、これらは全く違う疾患です。

真性ケロイド

真性ケロイドとはケロイド体質を持つ人に生じる瘢痕です。症状は境界がはっきりしている赤みのある肉の盛り上がりができ、時間の経過とともに周囲の健康な皮膚にまで広がっていく特徴があります。赤い盛り上がりは、コラーゲンやそれを作る細胞が過剰に増えたり、それに伴って血管が塊になったり、炎症を起こす細胞が増えたりすることによってできるものです。常に炎症が起きているため、強いかゆみと痛みを伴います。患部はだんだんと硬くなり、周辺の皮膚や関節が動かしにくくなります。治療による効果が得にくく、再発や悪化が起きやすい疾患です。全身どこでも発生しますが、特に胸の中心部、肩周囲、耳周辺、恥骨など皮膚が常に伸ばされている場所に多くみられます。

肥厚性瘢痕

皮膚の細胞が深くまでダメージを負ったことによって創傷治癒過程が長引いた場合に、誰にでも起こりうる瘢痕です。初期の段階は真性ケロイドと見た目はよく似ていますが、傷のあった場所を越えて、まわりの皮膚に広がることはありません。一時的に痛みやかゆみが生じたり、ミミズばれのように盛り上がりが大きくなったりすることはあっても、半年から1年程度で平坦な傷痕になります。ただし、盛り上がりが無くなった後も白っぽい傷痕として残る、瘢痕がクレーターのようにへこむ、萎縮性瘢痕(いしゅくせいはんこん)になることもあります。全身どこにでもできる可能性がありますが、関節部などの引っ張る力がかかりやすい部位にできる傾向があります。適切な治療を受けることで、症状の改善が期待できます。

真性ケロイドの原因

  • 真性ケロイドの背景として、まずはケロイド体質があります。一般的に、ケロイド体質は白色人種よりも黄色人種や黒色人種など、色素の多い人種に多いといわれています。
  • ケロイド体質を持つ人の皮膚の細胞が深くまでダメージを負った時、それをきっかけに発症します。傷の深さや大きさに関係なく、小さな傷から真性ケロイドを生じることもあります。中には、虫刺されやニキビ、ピアスなどの小さな傷からも真性ケロイドができる場合があります。
  • 思春期から壮年期にかけての発症例が多く報告されています。

肥厚性瘢痕の原因

  • 肥厚性瘢痕は皮膚の奥深くにある真皮層に及ぶようなダメージを負った場合、その創傷治癒過程で誰にでも生じるリスクがあります。
  • 傷が深いためその修復に時間がかかり、炎症が長引いた結果、コラーゲンなどの繊維組織が過剰に増えて起こります。

ケロイドで医療機関を受診する目安

  • 皮膚の細胞が深くまでダメージを負った後、皮膚の異常な盛り上がりや強いかゆみ、痛み、ひきつれなどの不快な症状が続く場合は皮膚科や形成外科を受診しましょう。特にケロイド体質の人はできるだけ早めに受診してください。
  • ケロイドは「皮膚線維肉腫(ひふせんいにくしゅ)」など、全く別の病気と似ている場合があります。鑑別するには専門医による診断が必要ですので、気になる症状がある時は医療機関を受診しましょう。
  • 肥厚性瘢痕はたいてい自然に治りますが、症状が強いケースや真性ケロイドの場合は早に適切な治療を受けることが大切です。

ケロイドの治療法

  • 真性ケロイドと瘢痕性ケロイドは病態の異なるそれぞれ別の疾患ですが、治療法の考え方は同じです。
  • ケロイドには「保存的治療」と積極的な治療法である「外科的治療」があり、必要に応じて組み合わせて行います。

保存的治療

  • 保存的治療には、主に「圧迫療法」「外用療法」「局所注射療法」「内服療法」などがあります。
  • 圧迫療法はサージカルテープやシリコンゲルシート、サポーターなどで創部を固定する方法、外用療法はステロイド剤配合のテープなどを用いる方法、局所注射療法はステロイド剤を患部に注射する方法です。内服治療では抗アレルギー剤などを用います。

外科的治療

  • 保存的治療で効果が期待できない肥厚性瘢痕やケロイド、ひきつれによる動きづらさなどがある場合は病変部を切除することもあります。手術痕からのケロイドの再発を防ぐため、放射線治療を組み合わせることもあります。ケロイドを切除すると、その傷痕がさらなるケロイドとなることがあります。手術療法は関節などに生じたケロイドのために、手足を動かしにくい場合などに限られます。

監修

帝京大学医学部皮膚科 名誉教授

渡辺晋一先生

1952年生まれ、山梨県出身。アトピー性皮膚炎治療・皮膚真菌症研究のスペシャリスト。その他湿疹・皮膚炎群や感染症、膠原病、良性・悪性腫瘍などにも詳しい。東京大学医学部卒業後、同大皮膚科医局長などを務め、85年より米国ハーバード大マサチューセッツ総合病院皮膚科へ留学。98年、帝京大学医学部皮膚科主任教授。2017年、帝京大学名誉教授。帝京大学医真菌研究センター特任教授。2019年、『学会では教えてくれない アトピー性皮膚炎の正しい治療法(日本医事新報社)』、2022年『間違いだらけのアトピー性皮膚炎診療(文光社)』を執筆。

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