『角栓』とは?原因と対処・予防法を解説


鼻の頭や小鼻にできるプツプツ、ザラザラした「角栓(かくせん)」。角栓にはかゆみや痛みはないものの、目立つ場所に密集してできるので皮膚の美しさに影響します。さらに毛穴に角栓が詰まることで凹凸ができ、メイクが浮いてしまうこともあります。

角栓ができるメカニズムや角栓を防ぐためのケア方法、角栓を悪化させる習慣など、角栓にまつわる情報を解説します。

角栓って何?

角栓とは、毛穴から分泌される皮脂や古い角質などが混ざり合って固まり、毛穴に栓をするように毛穴の中に留まったものです。角栓の成分の約7割は古い角質、残りの3割は皮脂です。角栓は毛穴に詰まっているので、一度できてしまうと自然にとれることはなく、だんだん大きくなっていきます。角栓が大きくなると毛穴が目立って見えるようになります。その状態から角質に含まれる皮脂が酸化すると、黒っぽいブツブツに見えます。

角栓は皮脂の多い鼻からおでこにかけてのTゾーンによく見られますが、頬や顎にもできることがあります。皮脂の分泌が比較的少ない幼少期の子どもには角栓はありませんが、皮脂の分泌が盛んになる思春期以降になると、人によっては角栓が目立ちます。適切なケアをせずに角栓ができた状態を放置していると、毛穴の開きが大きくなって皮膚の質感もミカンの皮やイチゴの表面のような凹凸になります。周囲の皮膚よりも角栓はやや固くなっていて、角栓ができているあたりを指で触るとザラザラします。

角栓ができると毛穴の黒ずみや凹凸、ざらつきなどの不快な感覚を抱きますが、角栓そのものは病気ではありませんので、基本炎症やかゆみなどを伴うこともありません。

角栓ができる原因

角栓ができる主な原因は「皮脂の過剰な分泌」と「皮膚のターンオーバーの乱れ」です。本来、毛穴から分泌される皮脂は皮膚をベールのように包み、乾燥や外部刺激から守る働きを担っています。しかし、体質や体調の変化、間違ったスキンケアなどによって皮脂の分泌が過剰になると、行き場を失った皮脂が毛穴に溜まり、やがて角栓になります。

角栓のできやすさには個人差が大きく、乾燥肌よりも皮脂が多いオイリー肌の方が角栓ができやすいといわれています。また、皮膚は一定のサイクルで古い細胞から新しい細胞へと入れ替わる「ターンオーバー」を繰り返しています。しかし、紫外線や摩擦などの肌ストレスや間違ったスキンケア、加齢などによってターンオーバーが乱れると、古い角質が排出できずに皮膚表面に溜まり、皮脂と混ざり合うことで角栓ができます。

角栓を悪化させる習慣

角栓を取り除こうとして、指や爪、ピンセットなので皮膚をつまんで押し出そうとする人がいますが、これは間違ったケア方法です。角栓を押し出せたとしても周囲の皮膚を傷つけてしまったり、そこから細菌が入り込んで感染を起こしたりする場合もあります。また、何度も繰り返していると無理に押し出した時の圧力で毛穴が広がることもあるので絶対にやめましょう。

強力な吸着力で毛穴を取り除くタイプの毛穴パックは、一気に角栓を取り除くことができる手軽な方法ですが、まわりの皮膚を剥がしてしまうことでかぶれを起こしてしまう場合もあります。その他、強力なピーリング剤で自己処理をしたり、スクラブ剤でゴシゴシこすったりするようなケアはターンオーバーを乱し、新たな角栓ができやすくなるなどのリスクがあるので注意してください。

角栓の予防法

角栓を予防するには皮脂のバランスを整え、ターンオーバーを正常化させることが重要です。身体の内外からのケアを行い、老廃物を溜め込まないようにしましょう。外からケアを行う場合は正しい洗顔方法と保湿ケアの習慣を身につけ、皮膚を清潔に保つことが大切です。皮膚表面や毛穴に溜まった古い角質、皮脂の汚れを取りのぞき、ターンオーバーを促しましょう。

身体の内からのケアも大切です。規則正しい生活習慣、健康的な食生活、ストレスを溜めないなどの工夫をし、ターンオーバーを整えましょう。基本は睡眠です。睡眠は乾燥や摩擦などによる皮膚のダメージを回復し、ターンオーバーを促す大切な時間です。睡眠不足が続くとターンオーバーが乱れやすくなるなど、皮脂のバランスが崩れやすくなるため注意しましょう。

タンパク質やビタミン・ミネラル類は皮膚の健康に必要な栄養素であり、ターンオーバーに欠かせません。しかし、現代人の多くはこれらの栄養素が不足しがちです。主菜・副菜をしっかり摂取するよう心がけましょう。また、ストレスはゼロにすることはできませんが、気持ちをリセットする時間を作ったり、軽い運動をとり入れてリフレッシュしたりするなどして、ストレスを溜めすぎないように工夫しましょう。

監修

天下茶屋あみ皮フ科クリニック 院長

山田貴博 先生

2010年名古屋市立大学医学部卒。NTT西日本大阪病院(現・第二大阪警察病院)にて初期臨床研修後、大阪大学大学院医学系研究科 神経細胞生物学講座助教として基礎医学研究に従事。阪南中央病院皮膚科勤務を経て、2017年天下茶屋あみ皮フ科クリニック開院。

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