皮膚トラブルのセルフ治療の注意点「炎症悪化サイクル」とは?【動画解説】

皮膚トラブルのセルフ治療の注意点「炎症悪化サイクル」とは?

「炎症の悪化サイクル」に注意!

湿疹・皮膚炎などの皮膚トラブルでは、かゆみを伴うため、「かゆいからかく」「無意識にかき続ける」 「かき壊すことで炎症は悪化し、患部が化膿してジュクジュクしてくる」「炎症がかゆみを起こし、さらにかゆくなる」「かゆいからまたかく」という悪循環に陥り、症状はどんどん悪化してしまいます。これを「炎症の悪化サイクル」といいます。
つまり、かゆくてかき続けることは、自分で皮膚の炎症を起こし、悪化させていることなのです。

早期治療の重要性

患部をかき壊してしまうと、治療期間が長引くだけでなく、治ってからも傷痕が残ることがあります。また、かき壊した傷口は細菌が増殖し、化膿しやすい状態になります。

症状を早く治すためには、以下の2つがポイントです。

  • 原因を取り除くこと
  • かかない(新たな刺激を与えない)こと

つまり、炎症の悪化サイクルを断ち切ることが、症状を早く治す近道といえます。
さらに、皮膚トラブルに気づいたら、すぐにしっかりとした治療を行いましょう。かゆみは、炎症が起きている間は続きます。従って、強い抗炎症作用を持った薬で炎症を抑える必要があります。

代表的な薬としてステロイド外用剤があります。

ムービーで解説「湿疹三角と炎症の悪化サイクル」

かゆみ対策の第一歩

かゆみ対策の第一歩は、かゆみを悪化させる原因を取り除くことです。また、どうしても我慢できない場合には、薬によるかゆみの治療を行います。

かゆみを悪化させる可能性のあるものは以下のものです。ストレス、香辛料、発汗、急に体を温めること、アルコール、睡眠不足、ハウスダスト、下着などによる圧迫

薬剤によるかゆみの治療は、皮膚の炎症を伴う場合にはステロイド外用剤を塗ります。皮膚が乾燥していれば保湿剤を塗りましょう。飲み薬として抗ヒスタミン剤を服用する場合もあります。

正しい知識でセルフメディケーションを。

「セルフメディケーション」とは、健康や医療に関する情報・知識を駆使して、健康管理や軽い病気、ケガの手当を自らの判断で行うことです。

湿疹・皮膚炎などの皮膚トラブルは、皮膚で炎症が起こり、赤み、腫れ、かゆみなどが症状としてあらわれます。かゆみの症状が強い時には、我慢できずについかいてしまいますが、かくことが刺激となってさらに炎症が強まり、またかゆくなるという悪循環に陥ってしまいます。 患部をかき壊してしまうと、治療期間が長引くだけでなく、治ってからも痕が残ってしまいます。

また、かき壊した傷口は細菌が増殖し化膿しやすい状態です。皮膚トラブルに気づいたら、すぐにしっかりとした治療を行うことが大切です。 外からの刺激を最初に受け止める大切な役割を担う皮膚についても、正しい知識でOTC医薬品を上手に使うことができる賢い生活者になりましょう。

市販されている湿疹・皮ふ炎用治療薬

湿疹・皮膚炎の治療には、主に外用剤が使われます。外用剤には複数の成分が配合されていますが、代表的な成分を挙げてみましょう。

分類 働き 主な成分
ステロイド成分 炎症を抑えます フルオシノロンアセトニド
プレドニゾロン
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル
デキサメタゾン酢酸エステル
非ステロイド性抗炎症成分 ウフェナマート
グリチルレチン酸
グリチルリチン酸二カリウム
抗ヒスタミン成分 かゆみを抑えます ジフェンヒドラミン
ジフェンヒドラミン塩酸塩
クロルフェニラミンマレイン酸塩
鎮痒成分(かゆみ止め) クロタミトン
抗生物質 殺菌の増殖を抑えます フラジオマイシン硫酸塩
殺菌消毒成分 イソプロピルメチルフェノール
クロルヘキシジン塩酸塩

それぞれの成分の働きや使い方、注意点など、よくわからない場合は薬剤師さんに相談してみましょう。

市販のステロイド外用剤で治療できる皮膚トラブル

接触皮膚炎、虫さされ、あせもなどは市販のステロイド外用剤で治療できます。
ただし、症状が重い場合、範囲が広い場合、再発を繰り返す場合はお医者さんに診てもらいましょう。

治療できる疾患 接触皮膚炎、虫さされ、あせも、日焼けによる炎症、一時的な洗剤かぶれ・手荒れ、乾燥する季節のドライスキンに伴う軽度のかき壊し
治療できない疾患 みずむし、皮膚カンジダ症、口唇ヘルペス、帯状疱疹、水ぼうそう、はしか
専門医に相談のうえで治療すべき疾患 アトピー性皮膚炎、じんましん、脂漏性(しろうせい)皮膚炎、乾癬(かんせん)、掌蹠膿疱(しょうせきのうほう)症、軽快悪化を繰り返す手湿疹、広範囲で繰り返す掻痒(そうよう)症、皮脂欠乏性湿疹

ムービーで解説「ステロイド外用剤について」

ステロイド外用剤は50年以上の歴史がある薬で、私たち皮膚科ではアトピー性皮膚炎をはじめとする様々な 炎症性皮膚疾患の治療に欠かすことができない薬です。

ステロイド外用剤は、症状を速やかに抑え、小さい範囲に短期間使用する場合には副作用の心配もほとんど ないことから、市販薬としても販売されています。

皮膚科に行くほどでもないと思われる症状の方のために、市販のステロイド外用剤について説明します。

ステロイドと非ステロイドの違いは?

ステロイド外用剤の副作用って怖い?

ステロイド外用剤の正しい塗り方は?

監修

帝京大学医学部皮膚科 名誉教授

渡辺晋一先生

1952年生まれ、山梨県出身。アトピー性皮膚炎治療・皮膚真菌症研究のスペシャリスト。その他湿疹・皮膚炎群や感染症、膠原病、良性・悪性腫瘍などにも詳しい。東京大学医学部卒業後、同大皮膚科医局長などを務め、85年より米国ハーバード大マサチューセッツ総合病院皮膚科へ留学。98年、帝京大学医学部皮膚科主任教授。2017年、帝京大学名誉教授。帝京大学医真菌研究センター特任教授。2019年、『学会では教えてくれない アトピー性皮膚炎の正しい治療法(日本医事新報社)』、2022年『間違いだらけのアトピー性皮膚炎診療(文光社)』を執筆。

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