乳児・子どもの皮膚トラブルをセルフ治療する時の注意点

乳児・子どもの皮膚トラブルをセルフ治療する時の注意点

赤ちゃんや子どもの皮膚は薄くてデリケートです。また皮脂分泌も少なくバリア機能が充分ではありません。

そこで、赤ちゃんや子どもの湿疹・皮膚炎は、年齢によって異なるバリア機能に合わせ、充分な効き目の外用ステロイドランクを選ぶことが大切です。

赤ちゃんや子どもの皮膚の構造

バリア機能が高い皮膚

バリア機能が低い皮膚

皮膚は表皮、真皮、皮下組織に分かれています。一番外側の層を「角質層」といい、レンガの壁のように角質が積み重なり、その隙間を角質細胞間脂質が埋め、外部の刺激から体を守っています。

また天然保湿因子が水分を保持することで、なめらかで潤いのある健全な皮膚を維持しています。

赤ちゃんや子どもの皮膚は成長過程にあるため、角質の細胞は小さく未発達で、皮膚自体も薄めです。また角質細胞間脂質や天然保湿因子も少なく、乾燥しやすい状態です。

皮脂分泌量の年齢変化

皮脂分泌量の年齢変化

皮膚は角質層の外側に「皮脂膜」という皮脂と汗が混ざり合った天然のクリームが覆い、皮膚から水分の蒸散を防ぎ、皮膚を乾燥や刺激から守っています。

しかし赤ちゃんや子どもは皮脂分泌が少なく皮脂膜が不充分です。生後3ヵ月頃までは母親からのホルモンの影響が残っていて皮脂分泌が盛んですが、それを過ぎると皮脂分泌が少なくなります。

皮脂分泌は性ホルモンに影響されますので思春期頃から活発に分泌されはじめます。

年齢によって異なる皮膚のバリア機能

年齢により異なる皮膚のバリア機能

皮膚のバリア機能を担っているのは、主に角質層と皮脂膜です。

赤ちゃんや子どもは角質細胞が未発達で、さらに角質層を覆う皮脂が少ないため、バリア機能がたいへん低く、汗や唾液、鼻汁、食べこぼし、気温の変化、衣服によるこすれなどのちょっとした刺激に敏感となり、湿疹を起こしやすいのです。

また、赤ちゃんや子どもの皮膚のようにバリア機能が脆弱だと塗布した外用ステロイドは皮膚によく浸透しますので、薬効が強くでます。

年齢による外用ステロイドランクの選び方

子どもや赤ちゃんの皮膚には、バリア機能に合わせて適切なランクの外用ステロイドを選択することが大切です。

年代層
(目安)
赤ちゃん
(2歳未満)
子ども
(幼児~小学生)
大人
(中学生以上)
高齢者
(65歳以上)
ランク ウィーク マイルド ストロング ストロング

監修

帝京大学医学部皮膚科 名誉教授

渡辺晋一先生

1952年生まれ、山梨県出身。アトピー性皮膚炎治療・皮膚真菌症研究のスペシャリスト。その他湿疹・皮膚炎群や感染症、膠原病、良性・悪性腫瘍などにも詳しい。東京大学医学部卒業後、同大皮膚科医局長などを務め、85年より米国ハーバード大マサチューセッツ総合病院皮膚科へ留学。98年、帝京大学医学部皮膚科主任教授。2017年、帝京大学名誉教授。帝京大学医真菌研究センター特任教授。2019年、『学会では教えてくれない アトピー性皮膚炎の正しい治療法(日本医事新報社)』、2022年『間違いだらけのアトピー性皮膚炎診療(文光社)』を執筆。

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