日焼けで皮がむけるのはなぜ?理由とアフターケアの方法を解説


夏場によく遭遇する皮膚トラブルといえば「日焼け」。一口に日焼けといっても、皮膚がわずかに火照って小麦色に焼けるような軽いものから、まるでやけどをした時のような赤みやヒリヒリ感、痛みを伴うようなものまで、症状の程度はさまざまです。

そんな日焼けの中でも、特に注意したいのは、皮がむけてしまうようなひどい日焼けです。海や山などでのレジャーや、炎天下でのスポーツのあとに起きやすく、痛みや見た目の問題から日常生活に支障が出ることもあります。

今回は、日焼けで皮がむけてしまうメカニズムや、日焼けに対する正しいアフターケアについて解説します。

なぜ日焼けで皮がむけるのか

日差しのまぶしい季節に、野外でスポーツやレジャーを楽しんだあと、ふと気が付くと皮膚が真っ赤になり、数日たってから日焼けした部位の皮がぺろっとむけてしまうことがあります。

なぜ、日焼けで皮がむけてしまうのか、そのメカニズムを理解するために、まずは私たちの正常な皮膚の構造について知っておきましょう。

皮膚の層構造とターンオーバー

身体を覆っている皮膚は、一見すると1枚のシートのように見えますが、その断面を顕微鏡で拡大すると、細胞が幾重にも積み重なった層構造になっていることが分かります。

皮膚の層構造は大まかに3層に分かれており、深部から順に、主に脂肪組織で満ちた「皮下組織」、汗腺、皮脂腺、毛包などの器官や皮膚を支えるコラーゲンなどが存在する「真皮」、身体の表面を覆っている「表皮」の各層が積み重なってできています。

最も身体の表層にある「表皮」は、さらに「基底層(きていそう)」、「有棘層(ゆうきょくそう)」、「顆粒層(かりゅうそう)」、「角質層(かくしつそう)」の4層に分かれています。表皮は手の平や足の裏を除くとわずか0.2㎜ほどの厚さしかない組織ですが、体内の水分が外に逃げるのを防ぐとともに、摩擦や熱、光線などによる外的刺激をブロックしたり、アレルゲンや細菌の進入を防いだりするバリアとして重要な役割を担っています。

表皮では、基底層で生まれた皮膚の細胞(基底細胞:ケラチノサイト)が、有棘層、顆粒層を経て細胞分裂を起こしながら角化細胞(かくかさいぼう)へと変化し、角質層へと押し上げられ、やがて古くなるとアカとして自然に剥がれ落ちるという、「ターンオーバー(皮膚の細胞の生まれ変わり)」が常に起きています。

日焼けによるダメージの修復過程で皮がめくれる

皮膚のターンオーバーは、通常およそ28~48日間で周期的に繰り返されていているのですが、外的な原因によって表皮が傷つくと、その周期が乱れることがあます。その原因の一つが日光に含まれる紫外線です。一度に大量の紫外線を浴びると、身体の表面を覆う表皮の細胞がダメージを受け、ターンオーバーのサイクルが大きく乱れます。

紫外線によってダメージを受けた表皮の細胞は身体の表面へとどんどん押し出されて排除され、そのかわりに新しい皮膚が大急ぎで作られるために、皮膚のターンオーバーが通常のペースよりも早くなります。このようにして、皮膚が紫外線によるダメージを修復する過程では、ターンオーバーが異常に早くなり、表面の皮がむけてしまいます。

皮がむけるかどうかは日焼けの種類が関わっている?

異なる波長の紫外線が引き起こす2種類の日焼け

実は、日焼けを引き起こす紫外線には、波長の異なる2種類があり、それぞれ「UVA(紫外線A波)」、「UVB(紫外線B波)」と呼ばれています。一口に日焼けといっても、UVAの影響を多く受けたのか、UVBの影響を多く受けたのかによって、日焼けの症状が異なります。

それが2種類の日焼け、「サンタン」と「サンバーン」です。「サンタン」とは、日光にあたったあと、徐々に皮膚が褐色に変化し、いわゆる「小麦色の肌」になるタイプの日焼けです。このサンタンは、主にUVAがメラニンの産生を促すことで起きます。

一方、「サンバーン」は、UVBによって起きる日焼けで、日光にあたった部分の皮膚の赤みやヒリヒリ感、水ぶくれなどの炎症が主な症状です。サンバーンの症状は、8時間~24時間でピークに達し、2~3日で消えるのが特徴です。

サンバーンによる炎症が皮むけを引き起こす

サンタンとサンバーンの2種類の日焼けのうち、皮むけに関わっているのはUVBによって起きるサンバーンです。

なぜUVBによるサンバーンで皮膚に炎症と皮むけが起きるのかというと、UVBには表皮の細胞内のDNAに到達し、細胞を破壊する作用が強いからです。かろうじて細胞が生き残ったとしても、DNAが傷ついたままにしていると、がん化してしまう恐れがあるため、それらは全て異物とみなされ、体内の免疫細胞によって排除されてしまうのです。

日焼けのあと、赤みやヒリヒリ感などの自覚症状があるまさにその時、皮膚の中では、免疫細胞による攻防が繰り広げられています。また、ダメージによって失われた細胞を補うため、表皮の奥では大急ぎで新しい細胞が産生され、傷ついた細胞のかわりに置き換わっていきます。日焼けのあと、剥がれてくる皮は、UVBによってダメージを受けた表皮細胞の残骸なのです。

ちなみに、サンバーンの症状の出方には、もともとの体質も大きく関係しており、個人差があります。同じように海で1日遊んだのに、皮膚が真っ赤になる人と、赤くならずに褐色になる人がいるのはそのためです。また、普段はサンバーンが起きにくい人でも、内服薬や塗り薬、貼り薬の影響で、日焼けの症状が強く出てしまうこともあります。

皮がむけてきたら取ってもいいの?

皮がめくれてくると、気になってついつい指で取りたくなってしまいます。しかし、無理に剥がすのはよくありません。めくれかけている皮の下には、新しく作られた表皮細胞が形成され始めていますが、まだまだ未熟で、さまざまな刺激に対して敏感だからです。

皮を無理に取ってしまうと、未熟な新しい表皮も一緒にめくれてしまうこともあります。未熟な表皮が傷つくと、皮膚の深いところまで影響が及びやすくなるため、色素沈着を起こしてシミが残ったり、皮膚に色ムラができたりして、完治するのに更に時間がかかってしまいます。日焼けのあとをきれいに早く治すためには、無理に皮を取るのではなく、皮が自然に剥がれ落ちるのを待ちましょう。

早く治すためにおすすめのアフターケア

サンバーンによる皮膚の炎症は、日光を浴びた直後から2~3日かけて進行します。その間、ケアをせずに放置していると、症状が悪化していくため、日焼けしたあとはすぐにアフターケアを開始することが大切です。アフターケアのポイントは、「冷却」、「保湿」、「遮光」の3つです。

すぐに冷やす

日光にあたったあと、皮膚に赤み・火照り・ヒリヒリ感や痛みがある時は、炎症反応が起きているサインです。できるだけすぐに患部を冷やし、炎症と痛みの広がりを抑え、症状の進行を抑えることが大切です。ただし、氷水などで冷やし過ぎると、皮膚をさらに傷めてしまう恐れがあります。水道の流水を使って30分以上冷やすとよいでしょう。背中~腕全体など、広範囲に症状がある場合は、患部全体に濡れタオルをかけて、その上から扇風機の風をあてて冷却する方法もあります。

ステロイド外用剤で炎症を抑える

患部を冷やしてもなかなか赤みや痛みは治まりません。このような時は、炎症反応が残っていますのでステロイド外用剤を数日間使用し、炎症をしっかり抑え込み悪化させないようにしましょう。

保湿剤でうるおいを与える

日焼けによるダメージを受けた皮膚は、表面が荒れた状態になっていて水分が抜けやすく、極度に乾燥しています。乾燥した皮膚は、健康でみずみずしい皮膚に比べて外的刺激に弱く、皮膚の再生能力も劣ってしまうため、日焼けをしたあとは、保湿剤を塗って皮膚にうるおいを与えましょう。皮膚をみずみずしく保つことによって、外的刺激から患部を守るとともに、新しい表皮を形成しやすい環境を整えることができます。

日光によるダメージを防ぐ

新しい表皮が完成し、皮膚のバリアとして十分に機能するようになるまでの間、日光による新たなダメージを防ぐ必要があります。できたばかりの未熟な表皮に強い日光があたると、再び炎症が起きたり、シミなどの色素沈着が起きやすくなったりするからです。外出する時は、地域ごとの紫外線情報をチェックし、紫外線の多い時間帯をなるべく避けて行動するようにしましょう。また、日焼け止めや長袖の衣服、サングラス、日傘などを活用するなどして、皮膚に直射日光があたらないように工夫することも大切です。日焼け止めを使う場合は、UVBに対する防御効果を示すSPF値(Sun Protection Factor)が高いものを選ぶようにしましょう。

皮膚科を受診する目安

日焼けによって皮膚が赤くなり、皮がめくれても、たいていは時間の経過とともに自然に回復します。ただし、日焼けした部位に水ぶくれができていたり、強い痛みがあったりする場合や、日焼けから3日以上たっても症状が改善しない場合、または悪化しているような場合は、すみやかに皮膚科を受診し、医師の治療を受けましょう。

監修

帝京大学医学部皮膚科 名誉教授

渡辺晋一先生

1952年生まれ、山梨県出身。アトピー性皮膚炎治療・皮膚真菌症研究のスペシャリスト。その他湿疹・皮膚炎群や感染症、膠原病、良性・悪性腫瘍などにも詳しい。東京大学医学部卒業後、同大皮膚科医局長などを務め、85年より米国ハーバード大マサチューセッツ総合病院皮膚科へ留学。98年、帝京大学医学部皮膚科主任教授。2017年、帝京大学名誉教授。帝京大学医真菌研究センター特任教授。2019年、『学会では教えてくれない アトピー性皮膚炎の正しい治療法(日本医事新報社)』を執筆。

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