皮膚のバリア機能に合わせた治療
年齢によって異なる皮膚のバリア機能に合わせ、
充分な効き目の薬を選ぶことが大切です。
赤ちゃんや子どもの皮膚は薄くてデリケートです。
また皮脂分泌も少なくバリア機能が充分ではありません。
年齢によって異なる皮膚のバリア機能に合わせ、充分な効き目の外用ステロイドランクを選ぶことが大切です。
皮膚のバリア機能と年齢の関係
皮膚のバリア機能を担っているのは、主に角質層と皮脂膜です。赤ちゃんや子どもは角質細胞が未発達で、さらに角質層を覆う皮脂が少ないため、バリア機能がたいへん低く、汗や唾液、鼻汁、食べこぼし、気温の変化、衣類によるこすれなどのちょっとした刺激に敏感となり、湿疹を起こしやすいのです。
また、赤ちゃんや子どもの皮膚のようにバリア機能が脆弱だと塗布した外用ステロイドは皮膚によく浸透しますので、薬効が強くでます。
年齢による外用ステロイドランクの選択(目安)
子どもや赤ちゃんの皮膚には、バリア機能に合わせて適切なランクの外用ステロイドを選択することが大切です。
※ストロングランクは赤ちゃんや子どもにも使えますが、皮膚のバリア機能が未成熟なため、薬剤が浸透しやすく、ウィークやマイルドランクでも大人にストロングランクを使った場合と同程度の効果が期待できます。
Q.なぜ?赤ちゃんや子どもの皮膚はバリア機能が低いの?
A.角質層が未成熟だから
皮膚は表皮、真皮、皮下組織に分かれています。一番外側の層を「角質層」といい、レンガの壁のように角質が積み重なり、その隙間を角質細胞間脂質が埋め、外部の刺激から体を守っています。
また天然保湿因子が水分を保持することで、なめらかで潤いのある健全な皮膚を維持しています。
赤ちゃんや子どもの皮膚は成長過程にあるため、角質の細胞は小さく未発達で、皮膚自体も薄めです。また角質細胞間脂質や天然保湿因子も少なく、乾燥しやすい状態です。
A.皮脂分泌量が少ないから
皮膚は角質層の外側に「皮脂膜」という皮脂と汗が混ざり合った天然のクリームが覆い、皮膚から水分の蒸散を防ぎ、皮膚を乾燥や刺激から守っています。しかし赤ちゃんや子どもは皮脂分泌が少なく皮脂膜が不充分です。
生後3ヵ月頃までは母親からのホルモンの影響が残っていて皮脂分泌が盛んですが、それを過ぎると皮脂分泌が少なくなります。皮脂分泌は性ホルモンに影響されますので思春期頃から活発に分泌されはじめます。