ウルソデオキシコール酸(UDCA)とは?胆汁酸との関係ウルソデオキシコール酸(UDCA)とは?胆汁酸との関係

胃腸薬の有効成分のひとつ、
ウルソデオキシコール酸(UDCA)。
あまり聞き慣れない名前ですが、
消化器官に対してさまざまな働きかけをし、
総合的に消化機能を高めてくれる
働き者の成分
です。
そんなウルソデオキシコール酸が
体内で
どのように作用するのかについて解説します。

[監修]勝矢 由紀子

大学病院勤務の後、現在は埼玉県、都内のクリニックなどにて一般内科、消化器内科外来、内視鏡検査を担当。

  • 01 ウルソデオキシコール酸(UDCA)とは?01 ウルソデオキシコール酸(UDCA)とは?
  • 02 「熊胆」とウルソデオキシコール酸の関係02 「熊胆」とウルソデオキシコール酸の関係
  • 03 胆汁酸の分泌を促進するウルソデオキシコール酸03 胆汁酸の分泌を促進するウルソデオキシコール酸
  • 04 胆汁酸の分泌機能を高めるウルソデオキシコール酸04 胆汁酸の分泌機能を高めるウルソデオキシコール酸
  • 06 こんな場面で役立つウルソデオキシコール酸の力05 こんな場面で役立つウルソデオキシコール酸の力
  • 06 まとめ06 まとめ

01

ウルソデオキシコール酸
(UDCA)とは?

ウルソデオキシコール酸(UDCA)について説明する前に、UDCAと関わりが深い胆汁と胆汁酸についてお話します。

胆汁とは
胆汁は肝臓で作られる液体で、脂肪の消化吸収を助ける働きがあります。肝臓で作られた後胆のうで濃縮、貯蔵されます。食物が十二指腸に入ると、胆汁は、胆のうから十二指腸へと排出されて、そこで脂肪の消化吸収を促進する仕組みです。
胆汁酸とは
胆汁の97%は水分で、固形分の主な成分が胆汁酸です。胆汁酸には物質の表面(界面)に働きかけて性質を変える「界面活性作用」があり、これによって脂肪を分解しやすいかたちにすることができるのです。
油汚れを落とす洗剤と同じような作用で、胆汁酸もその作用にちなんで「生体内の石鹸」「腸内の洗剤」などと呼ばれることがあります。
ウルソデオキシコール酸(UDCA)とは
肝臓で合成される胆汁酸には、5つの種類が存在します。肝臓で合成されるタイプ(一次胆汁酸)と、一次胆汁酸が腸内細菌によって変換されて作られるタイプ(二次胆汁酸)があり、ウルソデオキシコール酸(UDCA)は後者のタイプのひとつです。
UDCAは肝臓や胃腸など消化に関わる臓器に広く作用して、脂肪の消化を促進します。

02

「熊胆」とウルソデオキシ
コール酸の関係

熊の胆汁を乾燥した「熊胆(ユウタン)」は、漢方医学で使用される生薬の一種です。その歴史は古く、奈良時代、遣唐使によって日本に伝来したと言われています。
古くから動物の胆汁は薬として使用されていましたが、熊胆は特に効果があるとされていました。その熊胆の主成分を科学的に合成したものが、UDCAなのです。
熊胆の有効成分であるUDCAの解明、それを科学的かつ効率的に作り出すことができる合成方法の確立、そして製剤化、全て日本人の手によって行われています。

体内で胆汁酸をリサイクル「腸肝循環」

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胆汁酸の分泌を促進する
ウルソデオキシコール酸

胆汁酸は、腸での脂肪の消化吸収に働いた後、95%以上が腸管で再び吸収されて肝臓に取り込まれます。この流れは「腸肝循環」と呼ばれています。ようするに、胆汁酸のほとんどが体内でリサイクルされているのです。
しかし、肝臓の機能が低下すると胆汁の量が減ります。そうなると腸肝を循環する胆汁酸が不足し、脂肪の消化吸収もうまくいかなくなってしまいます。
そこでUDCAの出番です。経口摂取したUDCAはそのまま腸肝循環のサイクルに入り、肝臓に働きかけることで胆汁酸の分泌を促進。脂肪の消化力を高めてくれるのです。

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胆汁酸の分泌機能を高めるウルソデオキシコール酸

胆汁酸には5つのタイプがあることに触れましたが、それぞれ水への溶けやすさ・混ざりやすさ(親水性)が異なります。実は、水と溶けにくかったり混ざりにくかったりするタイプほど、消化器官を刺激して傷つけてしまうのです。
UDCAは、5つのタイプの中でもっとも親水性が高い性質を持ちます。そのため、消化器官を傷つけることはなく、むしろ細胞を保護するかたちで消化力を高めます。
また、UDCAを継続的に服用することで消化器を刺激するタイプの胆汁酸が徐々にUDCAに置き換えられていくことが分かっています。

05

こんな場面で役立つ
ウルソデオキシコール酸の力

年齢を経るにつれて脂肪の消化機能は衰えると考えられています。「脂っこい食事で胃がもたれてしまった」なんて経験、多くの人にありますよね。消化機能が衰えると、以下のような症状を自覚することがあります。

・胃もたれや腹部膨張感・食欲不振・胸のつかえ など・胃もたれや腹部膨張感・食欲不振・胸のつかえ など

これらはいずれも脂肪の消化が関係している症状です。UDCAの服用を始めて脂肪の消化促進が行われることで、症状の緩和が期待できます。
>脂肪で胃がもたれる仕組みと、胆汁酸の役割

[まとめ]人類の歴史とともに長く愛用されてきた生薬・熊胆の主成分がウルソデオキシコール酸(UDCA)です。もともと体内に存在する成分でもあり、消化器官を傷つけることなく脂肪の消化促進をサポートしてくれる貴重な存在です。UDCAは、高カロリーの食事で胃腸トラブルを起こしがちな現代人の食生活に欠かせない心強い味方と言えるでしょう。[まとめ]人類の歴史とともに長く愛用されてきた生薬・熊胆の主成分がウルソデオキシコール酸(UDCA)です。もともと体内に存在する成分でもあり、消化器官を傷つけることなく脂肪の消化促進をサポートしてくれる貴重な存在です。UDCAは、高カロリーの食事で胃腸トラブルを起こしがちな現代人の食生活に欠かせない心強い味方と言えるでしょう。