腟カンジダって何?
かゆみや症状の特徴、治療法について解説!

腟カンジダって何?気になる女性のための基本解説

腟カンジダは、女性の陰部に生じる真菌感染症です。この病気はカンジダ菌によって引き起こされ、一般的な症状にはかゆみ、腟内の炎症、おりものの異常などがあります。
カンジダ菌は腟内に常在していますが、体内の常在菌バランスが崩れることで増殖し、腟カンジダの症状を引き起こします。特に免疫力が低下している場合や妊娠中の女性が発症しやすく、適切に治療を行えば改善しますが、ときに再発することもあります。
再発のリスクを減らすためには、適切な治療と適度な衛生管理を行い、免疫力を維持することが重要です。

それでは、どの程度再発するのかをみていきましょう。

再発しやすい「腟カンジダ」

腟カンジダは、女性の5人に1人が発症し、さらにそのうち2人に1人は再発を経験しているというデータがあります。
理由として、カンジダ菌が女性の腟や周囲の組織に常在しているため、環境や体調の変化によって増殖しやすくなることが挙げられます。また、適切な治療が行われないケースや、一度完治しても免疫力の低下などが原因で再発することがあります。

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腟カンジダの原因とは?知っておきたいポイント

腟カンジダはなぜ発症するのでしょうか。一般的なポイント4つを具体的にみていきましょう。

ストレスなどの体調の乱れや免疫力低下

ストレスや疲労、不規則な生活リズムなどが免疫力を低下させ、カンジダ菌の増殖を促す可能性があります。免疫力が低下すると、体内にある常在菌のバランスが崩れやすくなり、カンジダ菌の異常な増殖が起こりやすくなります。

ホルモンの変化(月経周期や妊娠)

ホルモンの変化も腟カンジダの原因の一つです。月経周期の変化や妊娠中の女性では、ホルモンのバランスが変動し、腟内の環境も変わります。この変化によって、カンジダ菌の増殖が促され、特に妊娠中はホルモンの変化が著しく、腟カンジダの発症リスクが高まります。

デリケートゾーンのムレ

デリケートゾーンのムレや汗なども、腟カンジダを発症する原因の一つです。カンジダ菌は暖かく湿った環境を好み、デリケートゾーンのムレや汗によって増殖が促されます。特に長時間濡れた水着を着たり、密着した衣服などの通気性の悪い環境や湿度の高い状態で過ごすことは、カンジダ感染のリスクを高めることにつながります。

抗生物質の使用

抗生物質の使用も腟カンジダの原因の一つです。抗生物質は細菌を抑える効果がありますが、同時に有益な細菌も殺菌してしまいます。そのため、腟内の常在菌バランスが崩れ、カンジダ菌の増殖が起こりやすくなります。抗生物質を使用する際には、医師の指示に従い正しく使用することが重要です。

ここまで腟カンジダを発症する一般的なポイントを解説しました。では次に、腟カンジダの具体的な症状をみていきましょう。

腟カンジダの症状とは

腟カンジダの一般的な症状は以下の通りです。

腟や陰部のかゆみ

腟カンジダの症状の一つは、腟や陰部のかゆみです。かゆみは掻いてしまうことでさらに、炎症や傷が生じる可能性もあります。

おりもの状態が白くポロポロとしている

腟カンジダを発症すると、おりものの状態が変化します。一般的な特徴としては、おりものが白くポロポロとしたカッテージチーズや酒粕状になるなどが挙げられます。

普段と比較しておりものの量が多い

腟カンジダにより、通常よりもおりものの量が増えることがあります。おりものは体内の異物を排出する働きを持っており、感染が進行するとその反応が活発になるため増加します。量が増えることで不快感を感じることもありますが、個人差や生理周期によってもおりものの量は変動するため、単一の症状として判断するのではなく、他の症状と併せて考えることが重要です。

腟カンジダの一般的な症状は以上となります。当然これらの症状には個人差があり、必ずしも全ての人で同じような状態になるわけではありません。少しでも異常や違和感、体調不良を感じたら、専門医に相談しましょう。
では次に、似ているといわれる疾患の特徴もみていきましょう。

腟カンジダじゃない?似ている病気とは

腟カンジダに似ているといわれる疾患はいくつかあります。本記事では、萎縮性腟炎、トリコモナス腟炎、細菌性腟症について解説します。

萎縮性腟炎

萎縮性腟炎は、一般的に更年期以降の女性に見られることが多く、エストロゲンの減少によって腟組織に影響が及ぶ病気です。また、更年期だけでなく、産後の生理が再開していない期間でもしばしばみられます。症状としては、腟の粘膜が乾燥し、血行が悪化するため、腟の壁が薄くなり、腟の乾燥感やかゆみ、炎症、腫れ、痛みなどがあげられます。また、性交痛や排尿障害が起きたり、おりものが黄色く膿状になる場合があります。

トリコモナス腟炎

トリコモナス腟炎は、性行為などを通じて感染する性感染症の一種であり、原虫であるトリコモナスによって引き起こされます。症状としては、腟内や外陰部にかゆみや痛みが生じます。また、排尿時や性交時に痛みを感じることもあり、おりものの量や質も変化し、異臭や異色(黄色や緑色)のおりものが生じることがあります。さらに、尿道炎や尿の頻度増加、尿が刺激的に感じ、性器周辺に炎症が生じて、腫れたり赤くなったりすることもあります。ただし、トリコモナス腟炎は感染した女性が無症状のケースもあり、自然治癒することもあります。

細菌性腟症

細菌性腟症は、腟内の微生物のバランスが崩れ、異常な増殖が起こることで引き起こされる病気です。細菌性腟症の特徴的な症状として、おりものの変化があります。おりものは通常、白色や乳白色ですが、細菌性腟症ではおりものが灰白色や灰色を帯び、魚のような強い臭いがします。この臭いは通常、性行為後や月経の前後により強くなる傾向があります。また、細菌性腟症によって腟内のpHバランスが崩れるため、かゆみや腟の炎症が生じることがあります。痒みは軽度から中等度のもので、外陰部や腟入口の周辺にも広がることがあり、排尿時や性交時にも痛みや不快感を感じることがあります。

腟カンジダ含め、おりものの異常や陰部の違和感などの症状については、他人に相談しにくいものです。できるだけ早めに専門医に相談し、正確な診断と適切な治療を受けることをおすすめします。
では、腟カンジダにかかった場合、どのような治療になるのでしょうか。具体的にみていきましょう。

腟カンジダの治療法とは?

腟カンジダの特徴的な症状がある場合は、早めに専門医を受診しましょう。再発の場合は、市販薬を使用し治療することも可能です。
一般的な治療法は以下の通りです。

抗真菌薬の使用

腟カンジダの治療には抗真菌薬が一般的に使用されます。これらの薬は真菌の増殖を抑える殺菌作用があります。抗真菌薬は腟錠、クリームが処方されます。短期間に何度も再発を繰り返したり、症状が重い場合は経口薬が処方されることもあります。これらは指示通りに使用することが重要であり、症状の改善後も治療期間を守る必要があります。抗真菌薬の使用から3日程で症状が改善し、6日程で症状が消失するでしょう。

生活環境の改善も重要

腟カンジダの治療中は、生活環境の改善も重要です。また後ほど詳しく解説しますが、衛生習慣の改善、下着の見直しなどが効果的です。そして、カンジダ菌は常在菌のため、疲れたりストレス過多になったりすると増殖します。充分な睡眠、バランスの取れた食生活なども意識するとよいでしょう。

薬は用法用量を正しく守ることが重要です。また生活環境について自分自身での改善を意識しましょう。特に腟カンジダは再発しやすい病気とされています。日常生活の見直しを行い、免疫を高めていきましょう。
それでも再発した場合はどのような点に注意すれば良いのか、最後にみていきましょう。

もしかして再発?繰り返す腟カンジダ

腟カンジダの再発を防ぐための
ライフスタイル改善

腟カンジダは再発しやすい病気です。適切な治療をおこなっても、免疫力の低下やストレスフルな状態が治りにくさや再発を引き起こす可能性があります。何度も再発を繰り返している方は、さきほど解説したライフスタイルの改善をまずは行なっていきましょう。

清潔に保つことを意識する

過度な洗浄や石鹸の使用は腟の自然なバランスを崩す可能性があります。優しい洗浄を心掛け、適度な清潔さを保つようにしましょう。

健康的な食習慣とストレス管理

免疫力の向上は再発予防につながります。バランスの取れた食事を摂り、充分な栄養を補給しましょう。また、ストレスは免疫力低下の要因となるため、適切なストレス管理が重要です。

通気性のよい下着を意識する

腟周辺の通気性を確保するために、綿や吸湿性のある素材の下着を選びましょう。過度な湿度やムレを避けることで、再発のリスクを減らしていきましょう。

まとめ

腟カンジダは女性によく見られる感染症であり、カンジダ菌によって引き起こされます。一般的な症状は腟や陰部のかゆみ、おりものの異常などです。
適切な治療法としては、抗真菌薬の使用や生活環境の改善がありますが、そもそもの感染を防ぐために清潔な衛生習慣の保持、健康的な食習慣とストレス管理などから、ライフスタイルの見直しをはかるようにしましょう。

監修

花クリニック 院長

濱野 恵美

専門
日本産科婦人科学会機構専門医
日本女性医学学会専門医

経歴
2006年浜松医科大学医学部医学科卒
JA静岡厚生連遠州病院にて初期臨床研修後、豊橋市民病院、聖隷福祉事業団 聖隷三方原病院婦人科で後期研修し日本産科婦人科学会専門医を取得。その後福島赤十字病院 産婦人科 第一産婦人科、かば記念病院、新神戸ウェルネスクリニック勤務を経て、花クリニックを開院。