デリケートゾーンのかゆみの原因は?
症状の特徴と解消法を解説

デリケートゾーンのかゆみは、多くの女性が経験する悩みです。
しかし、その原因はさまざまであり、正確な診断と適切な対処が必要です。
デリケートゾーンのかゆみはさまざまな原因によって引き起こされますが、ムレやかぶれ、乾燥、ホルモンの変化、さらにはカンジダ感染症などが一般的な要因として挙げられます。
デリケートゾーンのかゆみに悩んでいる方々にとって、この記事では役立つ情報をお伝えします。
かゆみの原因や予防法、ケアのポイントを理解し、快適な日常生活を送りましょう。

デリケートゾーンのかゆみの原因と特徴

はじめにデリケートゾーンのかゆみの原因について解説します。
何かしらの症状には必ずその原因があるため、特徴と照らし合わせて自身に当てはまるものがないかチェックしてみてください。

かゆみの原因が「ムレ」の場合

デリケートゾーンの湿度や通気性の悪化によって、皮膚が蒸れてしまうことでかゆみが生じる場合があります。
とくに暑い季節や運動後など、汗をたくさんかく状況では注意が必要です。
また、濡れた下着やタイトな衣類もムレを促進させる要因となります。
通気性の良い下着を着用し、濡れたらすぐに交換するなど、デリケートゾーンの通気性を意識し清潔に保つことをこころがけましょう。

かゆみの原因が「かぶれ」の場合

かぶれは接触皮膚炎という正式名称で、外部からの刺激によって炎症がおきている状態を指します。
そのなかでもデリケートゾーンのかぶれは、洗剤や柔軟剤、摩擦の強い下着などの刺激が原因となり、かゆみを引き起こす場合が多いです。
また、体質にもよりますが自身のアレルゲンに触れることで、かゆみを引き起こすこともあります。

かゆみの原因が「感染症」の場合

デリケートゾーンのかゆみを引き起こす感染症には、カンジダ感染症や細菌性腟症などが挙げられます。
カンジダ感染症の症状には、かゆみのほかに、おりものの異常、外陰部の違和感、痛みや腫れなどがあり、カンジダ菌が異常に増殖することで発症します。
細菌性腟症は、腟内環境の乱れやカンジダ感染症と同様に細菌が増殖することにより感染します。
主な症状は、発熱、発赤、腫れ、痛みなどの炎症反応です。カンジダ感染症との大きな違いはおりものの異臭で、外陰部やおりものに魚臭のような臭いがあります。
デリケートゾーンのかゆみは、個人によってかゆみの度合いが異なりますが、かゆみが強くなったり、症状が長期間続いたりする場合は、早めに医師に相談するようにしましょう。

かゆみの原因が「乾燥」の場合

デリケートゾーンの皮膚が乾燥している場合も、かゆみが生じることがあります。
乾燥は肌のバリア機能を低下させ、刺激物や細菌の侵入を許しやすくなるため、かゆみを引き起こす原因となります。

かゆみの原因が「ホルモン変化」の場合

ホルモンは、女性の生理周期や妊娠、更年期などにより変化します。
これらのホルモンの変化によって、ホルモンバランスが乱れたり、免疫力が弱まったりすると、デリケートゾーンの皮膚にも変化が生じ、かゆみを引き起こすことがあります。
それぞれ詳しくみていきましょう。

生理周期によるホルモンの変化

特に月経前後に、エストロゲンやプロゲステロンなどのホルモンバランスが変わり、デリケートゾーンの皮膚が敏感になりやすくなります。

妊娠によるホルモンの変化

妊娠中もホルモンの変化が起こり、デリケートゾーンのかゆみが生じることがあります。
妊娠によってエストロゲンやプロゲステロンの分泌量が増え、血行が増加するため、かゆみや炎症が起こりやすくなるといわれています。
また、妊娠中は免疫機能が低下しやすく、カンジダなどの真菌や細菌の感染リスクも高まるため、とくに注意が必要です。

更年期によるホルモンの変化

更年期に入ると女性ホルモンの分泌が減少し、ホルモンバランスが不安定になります。
これによりデリケートゾーンの皮膚や粘膜が乾燥しやすくなり、かゆみが生じることがあります。

以上がホルモン変化とかゆみの関係についてです。ここからは、デリケートゾーンのかゆみに対して、日常的にどのようなケアが考えられるのか、予防法にも触れつつ解説していきます。

デリケートゾーンのかゆみの予防法と日常ケアのポイント

デリケートゾーンのかゆみは女性にとって非常に不快な症状です。
自身で簡単にできるケアも多いため、日常的に意識してみましょう。

適度な衛生管理

デリケートゾーンのかゆみを予防するためには、適度な衛生管理が重要です。
温水を使用した優しい洗浄や、pHバランスに配慮した無香料のケア用品を選びましょう。
また、衛生用品の使用と交換頻度も意識するようにしましょう。

適切なトイレケア

適切なトイレケアはデリケートゾーンの健康を保つために重要です。
正しい拭き方を守り、前から後ろに向かって拭き取ることで大腸から細菌や真菌が腟に移動することを防ぎます。
また、トイレ後は手洗いを徹底しましょう。

皮膚に優しい下着を選ぶ

デリケートゾーンのかゆみを予防するためには、皮膚に優しい下着を選ぶようにしましょう。
素材は、合成繊維よりも通気性の良い綿素材がおすすめです。締め付けの少ないデザインやサイズの下着を選ぶことも大切です。

皮膚に対して過度な摩擦を避ける

デリケートゾーンの皮膚は非常に薄くできているため、過度な摩擦はかゆみを引き起こす可能性があります。
タオルで強くこすったり、過度なシェービングは避けましょう。

健康的な生活習慣を

バランスの取れた食事や適度な運動を心がけましょう。ストレスを軽減するためのリラックス法や良質な睡眠も大切です。
十分な水分摂取や栄養バランスの良い食事を心がけ、喫煙や過度なアルコール摂取などにも注意しましょう。
また、睡眠の質を高めるため、寝具は通気性の良さを意識しましょう。綿やリネン素材が肌に優しく、湿気を逃してくれます。

デリケートゾーンのかゆみが続く場合

デリケートゾーンのかゆみが続く場合は、先ほどの章でも解説した日常ケアの見直しをおこなうとよいでしょう。
ここからは、それぞれのケア方法について具体的に解説するとともに、デリケートゾーンのかゆみの原因の一つでもある、カンジダ感染症についても詳しくみていきます。

衛生習慣の見直し

デリケートゾーンのかゆみが続く場合、衛生習慣の見直しは外せない要素の一つです。
適切な衛生管理をおこなうことで、かゆみの原因となる細菌や真菌の増殖を抑えることができます。

洗浄方法について

まず、正しい洗浄方法を理解し実践することが重要です。
デリケートゾーンを洗う際には、温水を使用し優しく洗うようにしましょう。
洗浄剤を使用する場合は、デリケートゾーン専用のもので、pHバランスに配慮した刺激の少ない洗浄剤を選びます。洗浄剤は泡立て優しく撫でるように洗い、強い力でこすることは避けましょう。
また、洗浄後はしっかりすすぎ、残留物を残さないようにしましょう。

下着の着用について

清潔な下着の着用を心がけましょう。吸湿性の高い綿素材の下着を選び、毎日の交換はもちろんのこと、パンティーライナーを使用する場合もこまめに取り換えるようにします。
また、タイトな下着や合成繊維のものは通気性が悪く湿度が高まるため、できるだけ避けるようにしましょう。

トイレでのデリケートゾーンの拭き方について

排泄後は、正しい拭き方を実践しましょう。前から後ろに向かって、優しく拭くことが大切です。
これによって、細菌や真菌をデリケートゾーンに持ち込むリスクを低減できます。

臭いケアについて

過度な除毛や、かゆみを引き起こす可能性のあるデオドラントスプレーなどの使用は避けましょう。
これらの製品には刺激物質が含まれている場合があり、デリケートゾーンの皮膚にダメージを与える可能性があります。
肌の健康には自然な状態を保つことが一番重要です。

刺激の少ないタオルで優しく拭く

デリケートゾーンを拭く際には、刺激の少ない柔らかいタオルを使用しましょう。
タオルは、柔らかく肌触りの良い素材を選ぶことが大切で、天然繊維のタオルや綿素材がおすすめです。合成繊維やゴワゴワした素材は、皮膚を傷つけたり刺激を与えたりする可能性があるので避けましょう。
また、タオルの清潔さも重要です。デリケートゾーンを拭く際は、必ず清潔なタオルを使用しましょう。使用済みのタオルは雑菌や汚れが付着している可能性があるため、定期的に洗濯して清潔な状態を保つことが大切です。
とくにかゆみが続く場合は共用のタオルの使用は控え、清潔な状態を保つために定期的に洗濯するようにしましょう。
拭き方については、優しく軽い力で拭くことがポイントです。強くこすると皮膚を傷つけてしまう可能性があります。
デリケートゾーンは皮膚が薄く敏感なため、指の腹を使って軽くなでるように、または優しくタッピングするイメージで水分を拭き取ると良いでしょう。
拭き終わった後は、デリケートゾーンが完全に乾くまで待つことも大切です。湿ったままにしておくと、湿度が高まり雑菌の増殖を促す可能性があります。

皮膚の適切な保湿

皮膚を適切に保湿することで乾燥や炎症を防ぎ、デリケートゾーンのかゆみを和らげることができます。

デリケートゾーンには、刺激の少ない、pHバランスが合った適切な保湿剤を使用することが重要です。
さらに無香料で、皮膚にやさしい成分が含まれているものを選びましょう。
保湿剤にはクリームやローションなど様々なタイプがありますので、自分の好みや肌の状態に合わせて選ぶことが大切です。保湿剤を使用する際は、清潔な手で適量を取り、優しくデリケートゾーンに塗布しましょう。
摩擦を避けるために、強くこすらず、指の腹を使って軽くなじませるようにしましょう。
保湿剤は毎日のケアに取り入れることで、デリケートゾーンの乾燥やかゆみを防ぐ効果が期待できます。
ただし、香料やアルコールが含まれる製品は刺激となる場合があるため、特にお肌の弱い方は、無香料で刺激の少ないものを選ぶとよいでしょう。

健康的なライフスタイル

健康的なライフスタイルを維持することもデリケートゾーンのかゆみを軽減するために重要です。
まずは、バランスの取れた食事と十分な水分摂取を意識しましょう。
食事については、栄養バランスを考慮し、野菜、果物、たんぱく質、脂質などをバランスよく摂取しましょう。さらにビタミンやミネラル、抗酸化物質などを積極的に摂り、免疫力を高めるとよいでしょう。
水分摂取については、十分な水分を取ることで、体内の水分バランスを保ち、皮膚の乾燥を防ぎます。一度に大量に摂取するより複数に分けてこまめな水分摂取を心がけましょう。

また、ストレス管理も重要です。ストレスは、ホルモンバランスの乱れや免疫力を低下させる要因となります。リラックスする時間を持ち、日頃から自身に合うストレス解消法を見つけておきましょう。

さらに適度な睡眠も、体力の回復と免疫力の向上に重要なポイントです。規則正しく生活リズムを整え、睡眠時間を確保しましょう。

不規則な生活や睡眠不足は、ストレスを増加させ、免疫機能の低下に直結します。健康的なライフスタイルに整えることは、デリケートゾーンだけでなく、体全体の不調や疲労にも効果があります。

カンジダ感染症などの可能性を考える

かゆみが長く続く場合、カンジダ感染症などの疾患が原因の可能性もあります。
その場合は、専門医に相談して適切な診断と治療を受けることが重要です。
カンジダ感染症は抗真菌薬を使用して治療することが一般的で、症状が悪化する前に早期に診断を受け、医師の指示に従って治療をおこないましょう。
またカンジダ感染症は女性によく見られる疾患ですが、男性にも感染することがあります。
パートナーとの性的接触によって感染が広がる可能性もあるため、相手との互いの健康を考えて治療を受けることを念頭におきましょう。

かゆみの原因がカンジダ感染症だった場合

かゆみの原因がカンジダ感染症の場合は、以下のような特徴的な症状が現れます。
当てはまるものがないかチェックしてみてください。

おりもの状態をチェック

カンジダ感染症が原因でかゆみが生じる場合、おりものの状態にも変化が現れます。
異常な量のおりものやカッテージチーズ状や酒粕のようなポロポロとしたおりものが見られることがあります。
自身のおりものの状態を注意深く観察し、異常がある場合は専門医に相談しましょう。

デリケートゾーンのかゆみや炎症、掻痒感や灼熱感

カンジダ感染症によるかゆみは、炎症や掻痒感、灼熱感といった症状を伴うことがあります。このような症状が続く場合、カンジダ感染症の可能性を疑いましょう。

通院や医薬品での治療を検討する

カンジダ感染症が疑われる場合は、専門医の診断を受けることが重要です。検査をおこない、診断を受け、適切な医薬品での治療をおこないます。
とくに初めての場合は、自己判断や市販の医薬品の使用は避け、専門医の指示に従いましょう。早期の治療がデリケートゾーンのかゆみ改善につながります。
カンジダ感染症は、婦人科・産婦人科・レディースクリニックなどで診察をしてくれるため、まずは医師に相談してみましょう。
また、再発の場合は市販薬を使用したセルフケアも可能です。自身の症状にあった市販薬を探してみるとよいでしょう。

まとめ

デリケートゾーンのかゆみは、さまざまな原因によって引き起こされます。
ムレやかぶれ、乾燥、ホルモンの変化などが一般的ですが、かゆみが強い場合は、細菌感染症やカンジダ感染症などが疑われる可能性もあります。
その場合は、専門医に相談し、早期に適切な治療をすることが最も重要です。

そして衛生管理や皮膚の保湿、健康的な生活習慣の確立、清潔な下着の着用、適切なトイレケアなどが、かゆみの予防に役立つポイントになります。
自身の体調や症状に敏感に対応し、適切なケアを行うことで、快適で健康なデリケートゾーンを維持しましょう。

監修

花クリニック 院長

濱野 恵美

専門
日本産科婦人科学会機構専門医
日本女性医学学会専門医

経歴
2006年浜松医科大学医学部医学科卒
JA静岡厚生連遠州病院にて初期臨床研修後、豊橋市民病院、聖隷福祉事業団 聖隷三方原病院婦人科で後期研修し日本産科婦人科学会専門医を取得。その後福島赤十字病院 産婦人科 第一産婦人科、かば記念病院、新神戸ウェルネスクリニック勤務を経て、花クリニックを開院。