カンジダの症状を知ろう!
特徴的な症状と治療法について解説

デリケートゾーンがかゆいけれど、忙しさや恥ずかしさからなかなか病院に行けないと悩んでいる方は少なくありません。
かゆみやおりものの異常などの症状が出る腟カンジダは、多くの女性が発症する感染症です。
とくに白いカッテージチーズのような特徴的なおりものが出る場合は、腟カンジダを発症している可能性があります。

本記事では、腟カンジダの特徴的な症状や、腟カンジダと間違いやすい病気を紹介します。
腟カンジダの予防策や治療法もあわせて解説するため、デリケートゾーンにかゆみがあり、カンジダを疑っている方は、ぜひご一読ください。

カンジダとは

カンジダとは、カンジダ菌という真菌(カビ)が異常増殖することにより引き起こされる疾患です。
カンジダは男女問わず感染しますが、女性のほうが性器カンジダ症を発症しやすく、症状が重くなりやすいことが知られています。
ここではカンジダの種類と、女性の腟カンジダについて詳しく解説します。

カンジダの種類

カンジダは、カンジダ属の真菌(カビ)の一種が異常増殖することにより引き起こされる疾患です。

カンジダ属による感染症は大きく2つに大別され、表在性カンジダ症と深在性カンジダ症があります。本記事では、主に皮膚や粘膜表面に症状が現れる、表在性カンジダ症について解説します。

表在性カンジダ症は、真菌が皮膚や粘膜の表面に感染し、主に炎症やかゆみを引き起こします。一般的には、腟や口腔内、爪、肌のしわなど、湿った部位に感染が起こりやすいです。

表在性カンジダ症の症状は個人によって異なる場合がありますが、一般的には、かゆみ、発赤、腫れ、乾燥、びらん、びらんからの出血などがあげられます。腟の場合、おりものの変化(量や質の異常)や腟の不快感も見られることがあります。

代表的な疾患名としては、腟カンジダ症、外陰カンジダ症、カンジダ皮膚炎、口腔咽頭カンジダ症(鷲口瘡:がこうそう)などが挙げられます。

いずれのカンジダ症も適切な治療が必要です。疑わしい症状がある場合は専門医に相談しましょう。
なお本記事では表在性カンジダ症の一つである、腟カンジダについて詳しく解説します。

カンジダとは

腟カンジダとはカンジダ菌が腟内で異常増殖し、炎症を引き起こす疾患です。
75%の女性が、生涯で一度はかかるといわれています。
カンジダ菌は健康な方でも腟内や皮膚や口内、消化管などに存在している常在菌の一種です。
通常の腟内は乳酸菌によりバランスが保たれ、カンジダ菌は他の有益な細菌と共存しています。
しかし腟カンジダは、日和見感染(ひよりみかんせん)といい、宿主の感染に対する防御力が落ちたときに、通常では病気を起こしにくい病原体により引き起こされるタイプの感染症です。
腟カンジダは、主に次のような原因で発症します。

  • 風邪や疲労、ストレスなどによる抵抗力の低下
  • 生理前後や妊娠出産によるホルモンバランスの変化
  • 抗生剤の使用による常在菌バランスの変化
  • 糖尿病
  • 通気性の悪い下着の着用
  • 性行為
  • 不適切な自己洗浄

カンジダ菌は健康な方にも存在する菌であるため、腟カンジダは女性であれば誰にでも起こりうる疾患といえます。

腟カンジダの一般的な症状

腟カンジダの自覚症状は、違和感や不快感として現れます。
さらに、腟内や陰部にかゆみや刺激感などが症状として現れます。かゆみは時々強くなり、とくに夜間や排尿時に増すことがあります。
具体的にどのような症状が現れるのかみていきましょう。

腟カンジダにより引き起こされる一般的な症状は、主に次の3点です。

  • かゆみと炎症
  • おりものの異常
  • 灼熱感や掻痒感(そうようかん)

それぞれ詳しく解説します。

かゆみと炎症

腟カンジダを発症すると、腟および外陰部に炎症が起き、激しいかゆみを感じます。
かゆみや炎症は、腟カンジダになると多くの方が悩む症状です。

おりものの異常

腟カンジダを発症すると、白くポロポロした状態のおりものが出る方が多くいます。
白くポロポロとしたカッテージチーズや酒粕のようなおりものは、腟カンジダに特有の症状です。

灼熱感や掻痒感(そうようかん)

腟カンジダは、腟がヒリヒリとするような灼熱感や掻痒感があり、痛痒いと表現する方もいます。
さらに、排尿時や性交時に痛みを感じる場合もあります

カンジダの症状と間違いやすい疾患

かゆみやおりものの異常など、カンジダと同じような症状が出るため間違いやすい疾患について解説します。

  • 細菌性腟症
  • 性病
  • かぶれによる炎症や痛み
  • 尿路感染症

細菌性腟症

細菌性腟症は、もとから体内に存在する細菌が腟内で異常に増殖し、炎症を引き起こす疾患です。
原因となる特定の菌はなく、カンジダやクラミジア、淋菌、トリコモナス以外の複数細菌の異常増殖が原因です。
細菌性腟症は約半数が無症状ですが、おりものの異臭や増加、下腹部痛、不正出血などの症状がみられる場合もあります。

性病(クラミジア、淋病、トリコモナス)

性行為で感染し発症する疾患である性感染症も、腟カンジダと同じようにかゆみや痛み、おりものの異常などの症状が出るケースがあります。
クラミジアは、性行為でクラミジア・トラコマティスという細菌に感染して起こる性感染症です。
女性は、おりものの異常や性交時の出血、下腹部痛などの症状が出ることがあります。
淋病は、性交渉で淋菌に感染して発症する性感染症です。
男性に強い症状が出る点が特徴的ですが、女性もおりものの異常や性交時の出血、下腹部痛などの症状が出る場合があります。
トリコモナスは、腟トリコモナスという原虫が腟に感染して発症する性感染症です。
性交渉による感染が多いですが、下着やタオル、便座、浴槽などを介しての感染もあります。
泡状で黄白色のおりものや、腟壁の発赤などの症状が出ます。

かぶれによる炎症や痛み

かぶれの正式名称は、接触皮膚炎といい、外部からの刺激で皮膚が炎症を起こした状態です。
かぶれの原因となる刺激は、デリケートゾーンの蒸れや、肌に合わない特定の物質によるアレルギー反応などが考えられます。
とくに女性は生理用ナプキンやおりものシート、タンポンのヒモが接触したり、経血により蒸れたりすることが、かぶれの原因になります。

尿路感染症

尿路感染症は、腎臓から尿管、膀胱、尿道までの尿路に細菌が感染し、炎症が起こる疾患です。
女性は男性に比べ尿道が短いため、尿路感染症にかかりやすいとされています。
主な尿路感染症には、腎盂腎炎(じんうじんえん)、膀胱炎、尿道炎の3つがありますが、腟カンジダと間違いやすい疾患は膀胱炎です。
急性単純性膀胱炎は、頻尿や排尿痛、残尿感などの症状がみられます。

腟カンジダの症状チェックポイント

腟カンジダの特徴的な症状は、次の2点です。

  • 白色のカッテージチーズ状のおりもの
  • かゆみや炎症

それぞれ詳しく解説します。

白色のカッテージチーズ状の分泌物

腟カンジダを発症した際に出るおりものは、白色でカッテージチーズや酒粕のような独特の状態です。
質感としては乾燥しておらず粘り気があり、腟の壁や外陰部に付着することもあります。
この白いおりものはカンジダの感染によって引き起こされるもので、真菌の過剰な増殖によって生じます。一般的に臭いはなく、かゆみや腫れ、炎症などの他の症状と一緒に現れることが多いです。
腟カンジダのおりものは、通常時の状態とは明らかに異なります。かゆみや炎症の症状と一緒に現れるため、早期に気づきやすい特徴的な症状の一つでしょう。

かゆみや炎症

腟カンジダのかゆみや炎症は、腟と外陰部に発症することが多いです。
なかでもかゆみが強いことが特徴的で、夜眠れないほどの激しいかゆみや、ヒリヒリとした灼熱感を感じることもあるでしょう。
また、炎症は赤みや腫れを伴い、触れると痛みを感じることもあります。
腟や外陰部の皮膚は元来薄くできています。炎症により過敏になり、触れるだけで不快感を覚えることがあります。

腟カンジダの症状に対する治療とは?

腟カンジダは、再発であれば市販薬で治すことも可能ですが、とくに初めての場合は本当に腟カンジダなのか正しい判断ができません。
そのため、初めての場合は婦人科や産婦人科で正しい診断、治療を受けましょう。
婦人科や産婦人科では、腟や外陰部の状態とおりものを調べ、腟カンジダかどうか確定診断をおこないます。
かゆみや灼熱感、白いカッテージチーズ状のおりものなど、腟カンジダとみられる症状が初めて出た方は、婦人科か産婦人科を受診しましょう。

抗真菌薬の使用

腟カンジダには、抗真菌薬の腟錠(腟に入れる錠剤)を用います。
治療期間は約1週間です。
外陰部にかゆみや赤みがある場合は、クリーム状の抗真菌薬を塗布します。
再発の場合は、市販の外用薬を使い、自身で治す方法もあります。

服用薬の使用

通常は腟錠による治療をおこないます。ただし、症状が重い場合や再発を繰り返す場合は、薬を内服し腟カンジダを治療することもあります。
腟カンジダの内服薬は、妊娠中や授乳中、妊娠の可能性がある方は使用できないため、注意が必要です。

腟カンジダの再発を防ぐためには

腟カンジダの原因となるカンジダ菌は、健康な女性の体にも存在する常在菌です。
そのため、女性なら誰でも発症しうる疾患です。さらに、カンジダ属真菌のバランスの乱れや免疫力の低下などによる異常増殖により発症します。
再発しやすい疾患とされており、普段の生活で注意すべき点がいくつかあります。

  • 健康的な食習慣とストレス管理
  • 清潔に保つことを意識する
  • 通気性のよい下着を意識する

それぞれ詳しく紹介します。

健康的な食習慣とストレス管理

腟カンジダは、体の免疫力が下がったり、ホルモンバランスが乱れたりした際に、普段は無害なカンジダ菌が原因となり、引き起こす疾患です。
そのため、普段から免疫力向上を意識し、バランスのよい食事を摂るよう心がけましょう。
適度な運動や十分な睡眠を生活に取り入れ、ストレスを軽減させることも重要です。

清潔に保つことを意識する

腟カンジダを避けるためには、デリケートゾーンを清潔に保ちましょう。
ナプキンやおりものシートはこまめに交換し、下着の中が蒸れないように心がけてください。
シャワーや温水洗浄便座のビデ機能で必要以上に腟を洗浄すると、腟の本来の自浄作用が低下するため、優しく流して洗浄するようにします。
とくに生理中はデリケートゾーンが気になりますが、石鹸やボディソープで腟内を洗うことは避けましょう。

通気性のよい下着を意識する

カンジダ菌は、あたたかく湿気のある環境を好みます。
さらに、デリケートゾーンが蒸れると腟の自浄作用が低下するため、カンジダ菌の増殖を助けてしまいます。
下着は通気性のよい素材で、あまり締め付けないものを選んでください。
汗をかいたり、蒸れたりしたらなるべくこまめに着替えるよう注意しましょう。

まとめ

カンジダとは、真菌(カビ)の一種であるカンジダが原因となり起こる感染症です。
女性の腟内でカンジダ菌が異常に増殖すると、腟カンジダを発症します。
カンジダ菌自体は、健康な女性の体にも存在しますが、免疫力が下がったり、ホルモンバランスが乱れたりすると、腟カンジダを発症しやすくなります。

また、再発しやすい疾患として知られておりますので、日常生活の改善を意識しましょう。
腟カンジダの症状は、かゆみや炎症とともに、白いカッテージチーズ状のようなおりものが特徴的です。
初めて腟カンジダのような症状が出た場合は、確実に診断を受け、適切な治療を受けるためにも婦人科や産婦人科を受診しましょう。
再発の場合は、セルフケアをすることも可能なので合わせて検討してみてください。

監修

花クリニック 院長

濱野 恵美

専門
日本産科婦人科学会機構専門医
日本女性医学学会専門医

経歴
2006年浜松医科大学医学部医学科卒
JA静岡厚生連遠州病院にて初期臨床研修後、豊橋市民病院、聖隷福祉事業団 聖隷三方原病院婦人科で後期研修し日本産科婦人科学会専門医を取得。その後福島赤十字病院 産婦人科 第一産婦人科、かば記念病院、新神戸ウェルネスクリニック勤務を経て、花クリニックを開院。