腟カンジダの検査・治療法を徹底解説!

腟カンジダは女性によく見られる疾患で、かゆみやおりものの変化などの症状を引き起こします。
そして、腟カンジダは、再発しやすい疾患とされており、実際に発症すると治療や再発の心配など、さまざまな不安を抱く方も多いでしょう。
本記事では、腟カンジダの原因や代表的な症状をはじめ、さまざまな検査や治療法について詳しく解説します。
腟カンジダによるデリケートゾーンのトラブルに悩んでいる方や、腟カンジダが再発して困っている方は参考にしてください。

腟カンジダの原因と症状について

腟カンジダとは、腟内常在菌であるカンジダ属真菌に属するカンジダ菌が異常増殖して発症する感染症です。
常在菌とは健康な方の体内に日常的に存在し、病原性を示さない菌のことです。
本来であれば、腟内は乳酸菌の一種であるデーデルライン桿菌(かんきん)が乳酸を分泌し酸性に保たれており、雑菌が増殖しないシステムが作られています。

しかし、腟内の菌バランスが崩れると腟カンジダは発症します。
具体的には、糖尿病や妊娠、月経前などで腟内環境が変化したり、さらには抗菌薬の連用により腟内の細菌が減少し、真菌であるカンジダ菌が増殖した場合などが挙げられます。
腟カンジダは、生殖年齢である18歳~45歳頃の女性に多く発症し、女性であれば誰でも発症する可能性がある一般的な疾患です。

そして、腟カンジダの代表的な症状は、陰部のかゆみと、おりものの変化の2つです。
かゆみは我慢できないほど強く、灼熱感や刺激感を伴う場合もあります。
おりものは、カッテージチーズや酒かすにたとえられるような、白くポロポロした状態になります。
とくに、おりものの変化は腟カンジダの特徴的な症状であり、再発した場合に自身で判断できるとともに、他の疾患と見極めるポイントでもあります。

腟カンジダの検査方法

腟カンジダが疑われる症状に初めて気づいた場合は、専門医療機関である婦人科や産婦人科で検査を受けるようにしましょう。
腟カンジダとよく似た症状が現れる疾患は細菌性腟症など、ほかにも存在し、症状が悪化する場合もあります。
検査をおこなって、どのような疾患にかかっているのかを医師に適切に診断してもらうことが重要です。
ここでは、カンジダ菌の検出方法について解説します。

カンジダ菌の検出方法

カンジダ菌の検出方法は、女性の場合腟分泌物を、男性の場合は尿を採取して検査をおこないます。
また、皮膚を検査する場合には、綿棒でこすって検体を採取します。
カンジダの代表的な検査方法は次の2つです。

カンジダ検査 : 検鏡法

検鏡法は、顕微鏡を使用してカンジダ菌の存在を確認する方法です。
患部から採取した検体をスライドに塗布し、菌の特徴を観察します。
検鏡法は比較的早く結果がわかるとともに、簡便におこなえる検査です。
しかし、カンジダ菌の存在の有無や量は確認できますが、種類までは調べられないことがデメリットです。

カンジダ検査 : 培養法

培養法は、カンジダ菌の存在と種類を確認するための方法です。
試料を培地に接種し、菌の増殖を促します。増殖した菌の形態や特徴を観察し、菌を同定したり、菌に対する感受性を調べたりします。
培養に時間とコストがかかる点がデメリットです。
医療機関の設備や対応によって検査できる方法が異なります。詳しい検査方法については、受診した医療機関の医師に相談しましょう。

腟カンジダの治療法と手順

腟カンジダを発症した場合には、早期に専門医療機関を受診しましょう。(ただし、再発の場合は、市販薬での治療も可能)
ここでは、病院を受診するとどのような流れで診断や治療をおこなうのか、具体的に説明します。

病院を受診

腟カンジダの特徴的な症状である陰部の違和感や白くポロポロとしたおりものなどの症状がある場合、まずは婦人科や産婦人科などの専門医療機関を受診しましょう。
病院では医師がこれまでの症状の経過や、過去に発症した疾患などについて問診します。
初めて腟カンジダを発症した場合と、再発を繰り返している場合では治療法が異なるケースがあります。自身の状況を医師に正しく伝えることが大切です。
腟カンジダが疑わしい場合、まず外陰部の確認と腟の内診をおこないます。その際、腟の分泌物を採取して顕微鏡で検査する検鏡法や培養検査をおこないます。
検査の結果、腟カンジダと診断された場合には、今後の処置や治療内容について医師の指示に従いましょう。

また、検査の結果が出るまでに時間がかかるケースでは、症状やこれまでの経過から腟カンジダの可能性が高いと判断し、診断がつくより前に治療を開始する場合もあります。
後日に腟カンジダと判明した場合には治療継続となりますが、腟カンジダ以外の疾患と分かった場合には、治療方針を変更するケースもあります。

病院での処置

腟カンジダに対しては、腟剤や内服薬の投与などの治療を行います。
腟剤の使用方法は、1回1錠を6日間使う場合と、6日間かけて効果を発揮する錠剤を1回投与する場合があり、症状や状況に応じて相談し、使い分けます。
効果が不十分な場合には、追加治療をおこなうケースもあります。
腟剤を使っても症状が改善しないときには、再度医師に相談しましょう。

また、内服薬を使う場合には、投与後4~7日目を目安に効果判定をおこない治療効果の有無を確認します。
ただし内服薬は、妊娠している方や授乳中の方には使用できないことに注意しましょう。
再発した腟カンジダの場合には市販薬も使用できますが、不安な場合は医師や専門家に相談してください。

外陰部の症状が強い場合は外用薬を併用

腟カンジダによる炎症が外陰部までおよぶ場合には、外用薬を使い、1日に2~3回外陰部に塗ります。
ただし、外用薬を使用する場合には、まずは塗る部位を清潔に保つ必要があります。
汚れが付着したまま外用薬を使うと、外用薬が皮膚に到達せず、十分な効果が発揮されない場合もあるからです。
さらに汚れなどが溜まり、より症状が悪化する可能性もあるため、清潔な状態で外用薬を使用しましょう。
シャワーを浴びたり、患部の汚れをふきとったりした後にクリームを塗るよう意識しましょう。

また、クリームを塗るときには、清潔な手でおこなうことも大切です。
石鹸と流水で手をよく洗った後、清潔なタオルで手を乾燥させ、指にクリームをつけて症状が出ている部位にのせ、優しくのばすようにしましょう。

衛生環境を意識

腟カンジダを治し、再発を予防するためにも、陰部を清潔に保つことが大切です。
蒸れにくく通気性のある下着を着用し、下着が濡れた場合は取り替えるなど、清潔な状態を意識しましょう。
シャワーの際に石鹸を使うと、陰部の皮膚や粘膜が刺激されて、反対に炎症を増悪させることが多いため、炎症があるうちはお湯で陰部を優しく洗い流すことがおすすめです。
シャワーや入浴後にはデリケートゾーンを乾かして、外用薬はほてりがおさまった状態で塗ること、そしてナプキンやおりものシートなどはこまめに交換することも重要です。

腟カンジダの治療についてのよくある質問

腟カンジダの治療に関して、よくある質問をここでは紹介します。

腟カンジダの場合は何科を受診すればよいですか?

腟カンジダを疑う症状が出た場合には、専門である婦人科や産婦人科を受診するようにしましょう。
腟カンジダを診断するためには、内診をおこなった後、おりものや患部の分泌物を採取しなければいけません。
月経がまだきていない10代の女性の場合は、小児科でも診察を受けられます。
ただし、病院によっては対応していないケースもあるため、事前に病院やクリニックに問い合わせるとよいでしょう。

腟カンジタは自然治癒しますか?

まれに、腟に本来備わっている自浄作用によって自然に治ることもあります。
症状が軽度であれば自浄作用で治る可能性もありますが、通常は自然治癒は期待できません。
腟カンジダの症状がある場合、日常生活に支障をきたすほどの不快な症状が続きます。
そのため、速やかに専門医療機関を受診することで、早期の治療が可能です。迷わず早めの受診をおすすめします。
また、デリケートゾーンの悩みは、なかなか他人に相談しにくいものです。
しかし、医療機関に行かずに我慢していると、腟カンジダによる炎症などが拡大する場合があります。
症状が慢性化し、治療が困難になるケースもみられます。
さらには妊娠中に腟カンジダに感染し発症した場合、産道などから赤ちゃんに感染することもあるため、腟カンジダを治療しないことは危険です。
症状が軽度のケースでも、放置せずに専門医療機関を受診して、速やかに治療を開始し治すようにしましょう。

腟カンジダは再発することがありますか?

腟カンジダが再発する可能性は十分にあります。
1年に何度も腟カンジダ症の再発を繰り返し辛い症状に悩む方もいます。
腟カンジダの原因菌であるカンジダ菌は、健康な方にも存在する常在菌です。
そのため、一度腟カンジダが治癒したとしても、カンジダ菌が増殖しやすい腟の環境下などでは、カンジダ菌が過剰に増えて再発することがあります。
なお、再発の場合は市販薬でセルフケアをすることも可能です。

腟カンジダが再発した場合に気をつけることを教えてください

再発した場合に気をつけることは、腟カンジダのような症状が現れていても異なる疾患のケースがあるため、前回の腟カンジダと異なる症状があれば医療機関を受診しましょう。
医師の診察を受ければ、腟カンジダだと診断してもらえることにくわえて、適切な薬を処方されることがメリットです。
症状や状態によっては、より効果が期待できる薬を医師から提案してもらえるため、医療機関で相談してみましょう。
また、おりものシートや下着が汚れたら交換し、通気性がよく体を締め付けない下着や衣類を選んでデリケートゾーンを清潔に保つようにしましょう。
入浴時にデリケートゾーンをせっけんで洗い過ぎない、腟内まで洗浄しないことも重要です。

まとめ

腟カンジダは、腟内環境が変化して、カンジダ菌が異常増殖することで発症する疾患です。
カンジダ菌は常在菌であり、女性であれば誰でもかかる可能性があります。
持病に糖尿病がある方、抗菌薬を内服した方などは腟カンジダを発症しやすくなります。
代表的な症状は、我慢できないほどの強いかゆみと、カッテージチーズのような白くポロポロとしたおりものが現れるなどがあります。
腟カンジダを疑う症状に気づいた場合には、速やかに婦人科や産婦人科を受診しましょう。
腟カンジダの治療法は、腟剤や内服薬の投与です。自身の症状を詳しく伝え、医師のアドバイスを受け治療を開始してください。
日常生活では、デリケートゾーンを清潔に保ち、症状が強い場合には外用薬であるクリームを併用します。
腟カンジダは再発するケースが多いため、再発を予防するような生活スタイルを心がけましょう。

監修

花クリニック 院長

濱野 恵美

専門
日本産科婦人科学会機構専門医
日本女性医学学会専門医

経歴
2006年浜松医科大学医学部医学科卒
JA静岡厚生連遠州病院にて初期臨床研修後、豊橋市民病院、聖隷福祉事業団 聖隷三方原病院婦人科で後期研修し日本産科婦人科学会専門医を取得。その後福島赤十字病院 産婦人科 第一産婦人科、かば記念病院、新神戸ウェルネスクリニック勤務を経て、花クリニックを開院。