食事療法をもっと楽しく
FODMAP(フォドマップ)は、小腸で吸収されにくく大腸で発酵しやすい糖質の総称で、以下の頭文字を合わせた言葉です。
FODMAPは、さまざまな食品に含まれているためすべてのFODMAP食品を避けるのはよくありません。低FODMAP食の摂取によりIBS症状を軽減することが欧米を中心に報告されていますが、偏りのある食生活が続くと、過敏性腸症候群(IBS)とは異なる不調が生じる可能性があります。まずは生活習慣を整えて健康的な低FODMAP食をスタートしましょう。
規則正しい生活を送る
自律神経を整えるには、規則正しい生活を送るのがよいとされています。できるだけ毎日同じリズムで生活しましょう。
過敏性腸症候群(IBS)の方は交感神経が優位にはたらく傾向があるようです。セルフケアリラクセーションに紹介している方法もお試しください。
なるべく時間を決めて食べる
食事の時間を固定すると比較的簡単に規則的な生活リズムが作れます。交替制の仕事などで時間が決められないときは、できる範囲でよいので朝ごはんは〇時から〇時くらい、昼ごはんは、夜ごはんは……とおおよその時間を決めておきましょう。
1日3食食べる
時間を決めて3食食べると、生活リズムが整います。また、1日に必要な栄養素が摂取しやすくなります。1日分のビタミンや食物繊維などをとるのに必要な野菜(350g以上)を1食で食べるのはなかなか困難です。主食や主菜も1日分を3食に分けるほうが食べやすくなります。
主食、主菜、副菜をそろえる
献立を立てるときは、一汁三菜、一汁二菜、一汁一菜という日本の食事の形式に当てはめて考えるのがおすすめです。量のバランスは、全体の半分が主食、もう半分がおかずとなるのが理想的。おかずは、3分の1が主菜、3分の2が副菜になるようにすると整います。
過敏性腸症候群(IBS)の食事療法とは
こちらのページには、過敏性腸症候群(IBS)の方に食事で気をつけていただきたいことをまとめています。あわせてご覧ください。
以下の表を参考に、高FODMAP食品を制限します。「食事日記」に食事内容と、お腹の症状がどう変化したかを記録しておきましょう。
高FODMAP食品を控えても症状がよくならない場合は、「食事日記」を見返してきちんと除けていたかを確認します。高FODMAP食品を制限しているにもかかわらず、症状が改善しない場合は、FODMAPが原因ではない可能性があります。
高FODMAP食品 | 低FODMAP食品 | |
---|---|---|
●穀物 | 小麦粉、パン、パスタ、うどん、ラーメン | 米、もち、十割そば、ビーフン、フォー |
●いも | さといも、さつまいも | じゃがいも、こんにゃく |
●野菜 | アスパラガス、たまねぎ、にんにく、にら、長ねぎ、さやえんどう、グリンピース | トマト、かぼちゃ、だいこん、なす、にんじん、白菜、ほうれんそう、もやし、赤パプリカ |
●果物 | 柿、すいか、桃、さくらんぼ、レーズン、りんご、なし、アボカド | いちご、ぶどう、キウイフルーツ、オレンジ、レモン |
●きのこ・海藻 | しいたけ、えのき、マッシュルーム | 焼きのり |
●豆 | 大豆、納豆、絹ごし豆腐、豆乳、いんげん豆、ひよこ豆、あずき | 木綿豆腐 |
●肉・魚・卵 | ソーセージ | 牛肉、豚肉、鶏肉、魚、卵 |
●乳製品 | 牛乳、ヨーグルト、生クリーム、プロセスチーズ、クリームチーズ | カマンベールチーズ、チェダーチーズ、モツァレラチーズ |
●油脂・調味料・甘味料 | トマトケチャップ、固形スープの素、はちみつ、高果糖シロップ、濃縮果汁、糖アルコールを人工甘味料として添加している加工品 | バター、マーガリン、オリーブオイル、マヨネーズ、塩、みそ、しょうゆ、酢、砂糖 |
●菓子・その他 | カシューナッツ、ピスタチオ、アーモンド、スナック菓子、洋菓子、あんこ、ウーロン茶、アイスクリーム、プリン、ミルクチョコレート、ガム、キャンディ | ポップコーン、せんべい、タピオカ、緑茶、紅茶、コーヒー、ココア、アーモンドミルク |
●穀物 | |
---|---|
高FODMAP食品 | 小麦粉、パン、パスタ、うどん、ラーメン |
低FODMAP食品 | 米、もち、十割そば、ビーフン、フォー |
●いも | |
高FODMAP食品 | さといも、さつまいも |
低FODMAP食品 | じゃがいも、こんにゃく |
●野菜 | |
高FODMAP食品 | アスパラガス、たまねぎ、にんにく、にら、長ねぎ、さやえんどう、グリンピース |
低FODMAP食品 | トマト、かぼちゃ、だいこん、なす、にんじん、白菜、ほうれんそう、もやし、赤パプリカ |
●果物 | |
高FODMAP食品 | 柿、すいか、桃、さくらんぼ、レーズン、りんご、なし、アボカド |
低FODMAP食品 | いちご、ぶどう、キウイフルーツ、オレンジ、レモン |
●きのこ・海藻 | |
高FODMAP食品 | しいたけ、えのき、マッシュルーム |
低FODMAP食品 | 焼きのり |
●豆 | |
高FODMAP食品 | 大豆、納豆、絹ごし豆腐、豆乳、いんげん豆、ひよこ豆、あずき |
低FODMAP食品 | 木綿豆腐 |
●肉・魚・卵 | |
高FODMAP食品 | ソーセージ |
低FODMAP食品 | 牛肉、豚肉、鶏肉、魚、卵 |
●乳製品 | |
高FODMAP食品 | 牛乳、ヨーグルト、生クリーム、プロセスチーズ、クリームチーズ |
低FODMAP食品 | カマンベールチーズ、チェダーチーズ、モツァレラチーズ |
●油脂・調味料・甘味料 | |
高FODMAP食品 | トマトケチャップ、固形スープの素、はちみつ、高果糖シロップ、濃縮果汁、糖アルコールを人工甘味料として添加している加工品 |
低FODMAP食品 | バター、マーガリン、オリーブオイル、マヨネーズ、塩、みそ、しょうゆ、酢、砂糖 |
●菓子・その他 | |
高FODMAP食品 | カシューナッツ、ピスタチオ、アーモンド、スナック菓子、洋菓子、あんこ、ウーロン茶、アイスクリーム、プリン、ミルクチョコレート、ガム、キャンディ |
低FODMAP食品 | ポップコーン、せんべい、タピオカ、緑茶、紅茶、コーヒー、ココア、アーモンドミルク |
MONASH Universityのアプリなどをもとに作成
お腹の不調をもたらすFODMAPの種類も量も個人差があると考えられています。その種類と量を把握して、食べられるものを増やすのがこの時期の目的です。
制限していたFODMAPを含む食品を1種類ずつ、少しずつ量を増やしながら試します。食べてもお腹の症状が出なければ、その食品はその量まで食べられる食品です。
過敏性腸症候群(IBS)の症状を起こす原因になるものがわかったら、それを除いて食生活を組み立てましょう。
多くの食品を除去すると、選択肢の少ない食卓となり、栄養面でも偏りが生じます。除去する食品を減らすのに加え、お腹と全身の健康のために栄養バランスも意識しましょう。
低FODMAP食は、高FODMAP食品を食べない食事方法ではありません。あくまでも、お腹と相性の悪い食品を探るための方法です。注意したいのは、過敏性腸症候群(IBS)において最初に行う治療方法ではないということです。また、進め方によっては栄養バランスが著しく偏ってしまいますので、低FODMAP食を自己判断で進めるのはよくありません。必ず医師や管理栄養士に相談してからはじめてください。
執筆者プロフィール
【健康ライター、管理栄養士】
管理栄養士として健康づくりに役立つ情報発信をしたいと考え、健康ライターになる。主にWEBサイトや書籍などで、健康・育児関連の記事を執筆。栄養素のはたらきを重視したレシピづくりも行っている。忙しいときでも手軽につくれる簡単レシピが得意分野。最近は、食べ物をもっと深く知るために作物の育て方などを勉強中。