「きちんとケアしているのに、デリケートゾーンが臭い…」「陰部がかゆくて…」こんな悩みを抱えていても、なかなか周りには相談しにくいですよね。
ほかにも「いつもの形状とは違うおりものが出る」「赤くなっている箇所がある」などの症状にも要注意。
陰部の臭いやかゆみの原因はさまざまですが、放っておいてもよくなることはありません。デリケートゾーンが臭い・かゆいときに考えられる疾患と原因について解説します。
Contents
考えられる皮膚トラブル
外陰腟カンジダ症
外陰部のそう痒感とおりものの変化です。
そう痒感があり、時に疼痛を感じることもあります。おりものは白く濁り、酒かす、おかゆ、ヨーグルト、カッテージチーズなどと表現される独特の性状を示します。
細菌性腟症
無症状のことが多いですが、おりものの変化や外陰部症状が現れることがあります。
おりものの変化としては、魚のような悪臭がしたり、灰色で水っぽくなったりして量が増えます。外陰部症状としては、かゆみや刺激感を訴えることがあります。
※ステロイド外用剤対象外の疾患です。専門医の治療が必要です
萎縮性腟炎
おりものの量は少なく、赤~黄色で、においを伴うこともあります。
また、出血や性交時の疼痛、排尿障害、腟の乾燥などを伴うことがあります。
閉経後の女性や悪性腫瘍などで卵巣を摘出した女性がなりやすく、「老人性腟炎」ともいいます。
※ステロイド外用剤対象外の疾患です。専門医の治療が必要です
接触皮膚炎
一般的には「かぶれ」と呼ばれています。
刺激の強いものに触れると誰にでも起こる「一次刺激性接触皮膚炎」と、アレルギーとして起こる「アレルギー性接触皮膚炎」があります。
かぶれた場所がかゆくなり、だんだん赤くなってきます。
小さなブツブツや水ぶくれができたりします。
お尻・デリケートゾーンの皮膚トラブルの対処・治療法
生理用品や下着でかぶれた場合は炎症が起こっているため、ステロイド外用剤を使用して一気に治すことが大切です。
デリケートだからといって弱いランクのステロイド外用剤を選ぶと、症状を抑えきれず、悪化する可能性があるので注意が必要です。年齢に合ったランクのステロイド外用剤を使用しましょう。
治療にあたっての注意
- 数日から1週間程度使っても改善がみられない、悪化した場合は、感染症などの場合があるので、すぐにお医者さんに相談しましょう。
- かゆみの症状が出ていても下記は感染症のため、ステロイド外用剤ではかえって悪化する場合があります。かゆみ以外に、普段と違ったおりものが出る場合や特に匂いが気になる場合には、感染症の疑いがあるため早めにお医者さんへ相談しましょう。
・ウイルス性のヘルペス
・白癬(はくせん)菌によるインキンタムシ
・外陰腟カンジダ症
・細菌性腟症
・腟トリコモナス
・萎縮性腟炎 - 赤ちゃんのおむつかぶれはカンジダとの区別が難しいため、迷ったらお医者さんに相談し、適切な治療を受けましょう。
監修

帝京大学医学部皮膚科 名誉教授
渡辺晋一先生
1952年生まれ、山梨県出身。アトピー性皮膚炎治療・皮膚真菌症研究のスペシャリスト。その他湿疹・皮膚炎群や感染症、膠原病、良性・悪性腫瘍などにも詳しい。東京大学医学部卒業後、同大皮膚科医局長などを務め、85年より米国ハーバード大マサチューセッツ総合病院皮膚科へ留学。98年、帝京大学医学部皮膚科主任教授。2017年、帝京大学名誉教授。帝京大学医真菌研究センター特任教授。2019年、『学会では教えてくれない アトピー性皮膚炎の正しい治療法(日本医事新報社)』を執筆。